【和訳】What Sarah Said/Death Cab for Cutie


ぼくらのやろうとするすべてのことは
終わりに向かって過ぎ行く時間への
ちっぽけな祈りなんだと
小便と409の匂いに満ちた集中治療室で
靴を見つめていたときにそう気づいた

呼吸を整えながら自分に言い聞かせた
今日はもう充分過ぎるほどやったと
液晶画面の波が弱まっていくたび
きみは少しずつ遠ざかってゆく
ぼくのもとから遠ざかってゆく

自動販売機と古い雑誌に囲まれた
たださよならを告げるだけの場所
心のなかの壊れたカメラだけが頼りの
ぼくらの思い出が
吹きすさぶ風のようにヒリヒリと痛んだ

きみは正しかったね
そばにいられないなら失ってしまうほうがいい
辺りを見回せば
みんな目を伏せていて
楽しげなのはテレビだけ

待合室では気が休まることなんてない
悪い報せを待つ落ち着かない足取りがあるだけ
やがてナースがやって来て
みんなが頭をあげた
だけどぼくはサラの言ったことを考えてた
「愛とは誰かの死を見守るもの」


それならきみの死を見ているのは誰だろう?


※注

father time
:「時間」の擬人化。鎌と砂時計を持った、髭のおじいさん。死神のニュアンスもある気がします。

409
:アメリカの有名な消毒薬、fomula 409のこと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?