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PrejectRCL ZET REQUIEM:NOVELIZED これまでのあらすじ


【これまでのあらすじ】

illust:Hi-GO!

A.D.22XX年。

統一国家『ネオ・アルカディア』を巡る戦禍から数年後――

大量破壊兵器によって多数の犠牲と生活圏の破壊を引き起こした『バイル事変』の後、人間と高性能ロボット『レプリロイド』は互いに手を取り合い、再生した自然が芽吹く『エリア・ゼロ』にて、新たに復興の道を歩み始めていた……。

◆SECTION1

エリア・ゼロとは遥か昔の『イレギュラー大戦』時、宇宙に浮かぶスペースコロニー『ユーラシア』が地上に落下した跡地を指し、かつては爆心地だったことからグラウンド・ゼロと呼称されたこともあったという。

現在地上が荒廃し、自然が大幅に減少した原因こそユーラシアの落下だが、その落下した一部の環境維持装置が奇跡的に機能し、周囲の自然環境を回復して今に至る。長年に渡り人が立ち入らなかったのも項を奏した可能性がある。

そもそもバイル事変の舞台となった統一国家ネオ・アルカディアは、百年以上前の『イレギュラー戦争』の折に名を馳せた、生ける伝説ともいえる『蒼き英雄』によって、崩壊した世界を統一するために平定されたものである。

この世界に唯一の国家であり、人間にとっては崩壊した世界の大気汚染を免れられる唯一の生活圏でもあった。そのため労働の大半はロボットであるため汚染の影響を受けないレプリロイドが担い、人間は都市にて保護されているような状態が続いていた。

◆SECTION2

先の戦禍でネオ・アルカディアの科学者ながらレジスタンスと共に蜂起し、立ち向かった人間の少女『シエル』は、自らの行いが事件の一端となった責任を感じ、エリア・ゼロにて人とレプリロイドが真に並び立てるための研究に日々没頭していた。

かつて政府への抵抗活動の中で追い詰められた彼女は廃棄された研究所にて伝説の『紅き英雄』を発見し、彼と共にネオ・アルカディアと対立しながらも共生の道を諦めなかった。その道のりは決して楽なものではなく、ひたすら困難を極めていった。

そもそも、争いの発端はエネルギー資源の不足であり、国家を維持するためネオ・アルカディアは不当にレプリロイドを国家に仇なす存在として『イレギュラー』認定し、処分という形で間引きしていたのだった。

それを快く思わなかったシエルはレジスタンスを結成し、ネオ・アルカディアの頂点であり、かつていくつもの戦争を終わらせた『蒼き英雄』との戦いを選んだ。彼はかつての親友だった紅き英雄によって打ち倒された。

同時に倒された『彼』はある時期から消息不明となったオリジナルの『蒼き英雄』の代理としてシエルが幼い頃に生み出した紛い物であったことが発覚する。

そして、シエルはレジスタンス活動の傍ら、エネルギー不足を解決するための『システマ・シエル』というエネルギー機関を生み出した。本来ならばこれで問題は解決していたはずだったが、歴史はそれを許さなかった。

かつて蒼と紅の英雄と共にイレギュラー大戦を終結に導いたものの、多大なる被害を出したことで政府に宇宙へ追放された『ドクター・バイル』が帰還したのである。それも、紅き英雄によって葬られたはずの蒼き英雄を伴っての凱旋だった。

表向きには蒼き英雄の死が伏せられていたことを逆手に取り、バイルはレプリロイドの再生技術を用いることで蒼き英雄を自らの傀儡として復活させたのであった。それはバイルが国家の支配権を握るに等しく、後の『バイル事変』の発端ともいえる出来事であった。

そこから前述の大規模災厄を引き起こし、蒼き英雄を罠に陥れ殺害した後に政権を奪取したバイルは、恐怖政治によって人間とレプリロイドを追い詰めていった。彼の目的は自らを追放した『世界そのもの』への復讐だった。

結果として衛星軌道上からの大量破壊兵器の直撃もあり、ネオ・アルカディアの中枢はあらゆる意味で崩壊。そして紅き英雄もその戦いの中では二度と戻ることはなかった。

こうして最悪の事態は免れたものの、人々とレプリロイドは新たな生活圏を求めて大地をさ迷うこととなった。

◆SECTION3

その後、バイル事変以前から一部の集団が移住し始めていたエリア・ゼロは新たなる生活拠点として台頭し、先の事件で活躍した科学者のシエルは代表格の1人として研究と同時に私設自警団となる『ガーディアン』を設立。界隈の治安維持に努めていた。

今や『イレギュラー』という言葉は、ネオ・アルカディアに仇なす存在から、エリア・ゼロをはじめとした生活圏を脅かす存在……機能不全を起こし野生化したレプリロイドや工業用メカニロイド、ネオ・アルカディアの残党といったものを指すようになっていた。

あくまで国家が破綻した後の自治区であり、インフラや法の整備も追い付かず、日々をしのぐことで精一杯なエリア・ゼロにおいて、自警団の配備は急務とされた。

それは、世界が未だ問題を抱え、力によってその解決をはかる因果から解放されていない証拠でもあった……。



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