君たちはどう生きるのか、よくわからないが、
率直な感想は、よくわからなかった
理解が追いつかないまま、どんどん進行していく
しかし、慌てることなく、混乱することなく、退屈することなく
置いてきぼりにされた感はない
学生のときに「風の谷ナウシカ」を観て、こんな世界を作れるヒトがいるんだ、と驚愕
その後、新作のたびに新しい驚きと感動を与えてもらった
ところが、作品を重ね「千と千尋」あたりから、理解が追い付かなくなるコトが増えてくる
しかし、作品に対して嫌悪感は感じない
それは、その作品のスクリーンの後ろにいる監督を見ているからである
たくさんの驚きと感動を与えてくれた監督の創造する世界なのだから、理解出来なくても、間違いないのだ
これは監督が成熟し更なる進化していく速度に、自分が追い付いていないからだ、と言い聞かす
黒澤明監督の作品を劇場で観たときと同じ感覚
学生の頃、黒澤作品は名画座でもかからず、ビデオ化もされず、まれに深夜のTVで放映されるだけ、
小さなブラウン管の中で、苦悩する志村喬や躍動する三船敏郎に胸踊らせた
こんな、凄い監督がいたのか
そして、ずいぶん歳を重ね、新作として公開された「影武者」「乱」を大きな劇場のスクリーンで観た
よくわからなかった
監督の進化するphilosophyに追い付けない
でも満足である
クロサワの作品を共有できている
たくさんの作品で、たくさんの驚きと感動を与えてくれた監督が創造した世界を共有できている
そして、安心して、心地良い時間を堪能する
この「君たち」も同様なのであろう
知ったかぶりの理屈を付けて注釈するよりも、自信たっぷり理解できなかったと公言して、この監督の世界に酔いしれればいいのだ
たくさんの作品と時間を費やし、この監督の世界観を身体で覚えさせてもらっているため、鑑賞している間は、わたしにとっては至福の時間なのであるから
黒澤監督については、この後、「夢」「八月の狂想曲」「まあだだよ」を閑散とした映画館で観た
さすがに、安っぽい劇場の椅子に沈み混んでいく焦燥感を味わった
それはそれで納得する時間ではあったが
さて、これから、どうするか
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