逆裁オタク、はじめてのタカラヅカ

人生の8割をオタクとして生きてきたアラサーが、人生初の宝塚、初めての2.5次元の舞台「大逆転裁判」を生で観劇して正気を失ってきた記録です。
大千穐楽のこのよき日に、よせばいいのにわざわざデジタルタトゥーを刻むべく公開しました。
ほぼ本人の衝動のままに書いているので取り止めはないです。
自分で読み返すのも長すぎるので目次を置きます。気になるところだけチラ見して、オタクの妄言を鼻で笑っていただくぐらいがちょうどいい程度の駄文に仕上がりました。


自分語りと劇場にたどり着くまで

逆裁と観劇と私

そもそも私は逆転裁判に大人になってからどハマりしたタイプです。
ある日実家に帰ったら家族がPS4で逆転裁判をやっていました(今思うと蘇る逆転の最終盤とかだった気がします)。
無論作品タイトル自体は知っていましたが、なんとなく手を出してこなかった作品でした。
家族がプレイしてるシーンの前後のつながりも良くわからないけどなんか妙に展開が気になってしまって、そのまま逆裁123をダウンロードして帰りの新幹線からやり始め、そのまま見事にどハマりしてしまいました。
それ以降、検事、4〜6、大逆裁と順調に進みズブズブと肩まで沼に浸かっています。
主要キャラは全員好きですが、特に検事に推しが多めです。

一方舞台に関して言えば劇団四季は何本か観劇に行っており、お芝居自体は好きなもののそれ以外は無知な人間です。
元々住まいが東北のど田舎だった事もあって、華やかな演劇自体に無縁な方でした。
2.5次元に関しては映像でテニミュやロードエルメロイ2世とかは拝見したものの、実際に観劇に行ったことはありません。
宝塚もまた興味はあったけれど、実際に見にいったことはありませんでした。子供の頃にBSか何かで流れていた作品の映像(確か明智小五郎シリーズの黒蜥蜴だったような記憶がぼんやりあります)を見て何やらめちゃドキドキした記憶があった程度です。
ただ、逆裁にハマった勢いでで宝塚版逆転裁判の映像を2作品目まで拝見したことで、宝塚への漠然とした憧れと逆裁の舞台への観劇したさは募っていました。
そんな中、色々な事情が重なって関西に引っ越しをし、人生で一回くらいは生で宝塚観劇してみたいよなーと思っていた矢先に飛び込んできたのが、

大逆転裁判、宝塚歌劇団で舞台化の報でした。

率直に観たすぎました。
先ほども申し上げた通り、私は逆裁の愛すべきキャラクターたちの中でも検事に推しが多いのですが、大逆転裁判に登場するバロック・バンジークス検事が最大級に推しなのです。
人生で唯一リアコになりかけ、滅多に買わないグッズ類を買い求めたくらいには推しです。

・ただでさえ観たい逆裁×宝塚
・しかも最推しのいる大逆転裁判

ここで観にいかないでいつ観にいくの?死ぬの?
くらいの感覚で、右も左もわからぬひよっこがチケット戦争に参加しましたが、
物凄い競争率の宝塚チケット戦争に新兵は敢えなく敗北を喫し、しょぼくれ倒していたのです。
しかし、10年来のベテランヅカオタの知人に何気なくこの話をしていたことが私の運命を変えてくれました。

知人「鳩村さんお疲れ様です!大逆転裁判、26日の15時の回のチケットを譲りたいという人がいるのですが、ご都合いかがですか?」
私「マジすか!!!いけます!!!むしろどんな予定を捨ててもいきます!!!!!!!!」

おおよそこんなやりとりの果てにチケットを奇跡的に入手することができたのです。
本当にありがとう知人様……譲ってくださった方……
この時点で私はこの回が大阪公演千秋楽だということには1mmも気がついていなかった程度には浮き足立っており、とにかくあのタカラヅカの逆裁舞台化が生で見れるのだという事実に情緒をめちゃくちゃにされ大興奮していました。
こんなんで舞台見に行って(主に自分の理性とか)大丈夫か?と思っていましたが、
案の定大丈夫ではなかったです。

オタク、梅芸に立つ

知人様を通して手に入れたチケットを握りしめ、1人梅田芸術劇場ドラマシティシアターに向かいました。
(向かうまでの段階で、宝塚観劇とかいうハイソなイメージの世界を前に貧民オタクは何を着ていいかすらもわからず悩み倒し、緊張で前日あんまり寝れなかったことは内緒です。まさに前後不覚(漱石さんのポーズ))
劇場のロビーに向かうまでの段階で、周りの人の圧倒的な女性率、しかもお上品なマダムや「お嬢さん」という形容がふさわしい若い女性の多さに慄きながら会場入り。
入った瞬間、

スクリーンの圧倒的な"""""圧"""""

これを観た段階で「来てしまった」感がものすごく、生まれたての子鹿より震えながら座席を探しました。
この日のために購入したオペラグラスを首から下げ、オタクの義務として物販で買い求めたプログラムを熟読しながら開幕を待ちます。
そしてついにその時がやってきたのです。


初めてすぎたオタクの妄言

※以下公演のネタバレを含みますのでご注意ください。



さようなら正気

1幕を終えた段階で、オタクは1人でここに座ったことを後悔していました。
胸の中で沸騰しそうな色々な気持ちを吐き散らす相手が誰もいないからです。
正気を保てなくなったオタクは幕間に突入した瞬間立ち上がって物販にダッシュ。
真顔のまま購入予定のなかったポストカードやコレクションカードを光の速さで購入。
ロビーまで出て外の空気を深く吸いながらiPhoneを取り出し、メモに一心不乱に何かを書き殴り始めました。


〜以下、当時の気が触れたメモの抜粋です〜


なっ…成歩堂龍之介だぁぁ!?!!!??

えっ!!!?!?本人!?!!?!?ほんにんか!??いや本人やんけ限りなく!!?!?!?
足なが?!?!?股下2mか!?!?!?!?ていうか歌うま!!!?!?なにごと!!?!?!?!?!?!?!???

ウワッ後ろの映像ちょっと待ってくれ目が足りない既に足りなわーーーーーーーー幕上がったら全員おるやんけ!?!!?

えっおる亜双義すさとさん漱石さんアノシャアイリスちゃんも閣下もみんなお…
アーーーーーーッッッ推しもおるーーーーーぅ!!!!!!

あっあっ死ぬ わたし今日ここで死んで大英帝国に骨埋める

オタクこの時点で号泣 円盤の購入を胸に誓う


〜以下、より一層見てられないので終了〜

開幕5分で、そのあまりの再現度と完成度の高さに涙と鼻水を垂れ流してズビズビいいながら正気を失ったキモオタがそこにいました。
この段階でアナウンスされてもいない円盤購入を心に誓ったようです。正気を失っているので。
こんな調子で完全に気が触れてしまったオタクのメモが、幕間と観劇終了後の帰宅の電車の間に書き殴った分だけで7000字を終える怪文書になっていました。帰宅してシャワーを浴びた後、スマホを見返した時が一番怖かったです。
記録としてそのまま載せることも考えたのですが、あまりにキモすぎて忍びないので怪文書から感想文と呼べる程度になれるようがんばってまとめていきます。


※以下、公演のオチどころか原作である大逆転裁判、逆転裁判シリーズのネタバレを大いに含む上終始正気を失っているのでご注意ください。


各キャラクターについて

なるほど君


マジで一々の表情、ポーズ、角度、全部本当になるほど君でしかなくて凄すぎました。
成歩堂龍之介は実在した…
龍之介はゲームやってる時は半分プレイヤー自身なのであまり意識していなかったのですが、客観的に見ると龍之介かっこいいよな…と新鮮にしみじみしてしまいました。
龍之介の好きなところは真っ直ぐな善良さと全身から溢れる優しさ、そして適度な「龍一の先祖っぽさ(たまに見せるモノローグの辛辣さ、適当さなどです)」なのですが、もうずっとその好きな龍之介が舞台上にいたので終始ニコニコしながら見ていました。
というか宝塚版の成歩堂龍之介、そもそも顔がものすごくいい。スタイルも良ければ声もいいし歌も素晴らしいし、原作版の龍之介以上に滲み出る包容力も凄まじかったです。
宝塚のHPで事前に拝見していたビジュアルからして顔が良すぎないか?と思っていたのですが、想定の20000000000倍は視覚・聴覚に訴えかけてくる”””良さ”””がありました。それでもどうみても龍之介なので、本当にすごかったです(語彙力)
(もちろんゲーム版の龍之介だって大概いい男ですが、それにしたって五感に直に響く良さに終始メロメロでした)
観劇に勤しむタイプのオタクではないのですが、それでも「これが華か…」とずっと思ってました。
今回座席がほぼ一番後ろの列のほぼど真ん中だったのですが、これが万一客席に降りてなるほど君が通るゾーンの近くに座ってたらワンチャンガチ恋になった可能性がありました  本当に危なかった

あと龍之介が使っている鞄が移植版のEカプコン限定特典の大學指定鞄だったり、汗拭くタオルが成歩堂法律事務所粗品タオルだったりしたことも細かな愛を感じていました。

宝塚版の龍之介は明確に寿沙都さんを異性としてバチクソに意識していましたが、その描写がとにかくいちいち可愛かったです。
寿沙都さんと手を繋ぐの繋がないのでヤキモキしている姿や、寿沙都さんの亜双義に向ける気持ちは「そういう好き」じゃないとわかった瞬間の安心ぶりが可愛すぎました。
アノシャの大ファンであるすさとさんへのリアクションがこの子本当にファンなんだなぁと若干引いてるようにも、少し嫉妬でぐぬぬとなってるようにも見えてよかったです。
「恋する青年」の良さが、主演の瑠風さんのお力で龍之介という役を通して存分に感じられて柄にもなくときめきました。
「龍すさ地雷です!」という方がいらっしゃったらと思うと勝手に心配になりましたが、私自身は龍すさサイコーだと思っているのでありがたみしかなかったです(何の心配をしてたんやお前)。
ともかく絵面の一つ一つに滋養がありすぎる。
以前の逆裁の映像を拝見したときにも「宝塚での舞台化に際しての恋愛描写はある程度避けられないところなのかな」と感じていたので若干不安だったのですが…
そうだったとしても今作は原作から見て大きな無理がなくてよかったです(この辺の話は後述します)

ともかくこれ以上なく凛々しくて爽やかで最高の龍之介でした。
ありがとう瑠風輝さん ありがとう世界


寿沙都さん


顔が良い 声がかわいい 体格もばっちり
マジで終始「本人??????????」と思い続けていました。
可愛くて麗しい、しっかり寿沙都投げもかましてくれる寿沙都さんでした。
寿沙都さんを実写化するとなると最大のハードルは謎すぎる髪型ですが、これも完全再現されてたのもすごかったです。
どうなってるのか見たいので円盤くれ

あとソロ曲が美しくて可愛くて切なかったです…
この場合の「あの方」は龍之介ですか!?亜双義ですか!?!??どっちですか!?!!?!?とずーーーーっとなっていました
「愛でも恋でもなく慕ってる」といったフレーズがどちらにせよ寿沙都さんから彼らへの気持ちそのものだなと思っているのであまりに染みました…ぐううぅ好き………

原作の寿沙都さんは可愛いだけでなく、肝の座り倒したつえー女です(英国についたばかりで、初対面で威圧的に向かってきたグレグソンに一切怯まずカマせる女です)。
そういった「最高につえーいい女の寿沙都さん」的なシーンはストーリー上ありませんでしたが、ロンドンとアノシャに浮かれたり、亜双義を思ったり、有能な仕事ぶりを通して龍之介を支えたり、いつもの愛しいすさとさんがたくさん見れて大満足でした。
(あのすさとさんで原作2-1見たすぎる 後生だから頼む)


シャーロック・ホームズ(アノシャ)


出演された皆さん全員再現度の高さがものすごかったけど、アノシャは殊更すごかったですね‥
そもそものビジュアルの良さはいうに及ばす、喋りのヘラヘラとした緩急が思ってていたアノシャそのものでした。決めポーズ含め、モーションの再現度もものすごく、なんかもうあいつおったわという感想しかありません。
正直アノシャについてはあまりにイメージしてた通り過ぎて「当たり前にいる」感じがしてしまい逆にかえってうおーっ!アノシャだーッ!とならなかったかもしれません。
率直な感想は
あっ、いる…うわ、おる……はわわ……(はわわ)
でした。
観劇中は終始「顔がいい…ヘラヘラしてる…かっこいい…歌が上手い…ヘラヘラしてる…顔がいい……ヘラヘラしてる……」と繰り返す妖怪になっていました。
アノシャといえばトンチキ推理ですがその辺はなりを潜めて、原作より素直に名探偵しててそれはそれで新鮮でよかったです。
原作再現としての実験劇場を法廷でやってくれたのも嬉しかったです。

今回以下のものが全て見れましたが、全て「いやアノシャやないかい」という感想が漏れました。終始よかったです。

 全然面会に来ないなるほど君にギャーギャー言ってるアノシャ
 ロンドンをご案内してくれるアノシャ
 監獄のアノシャ
 アイリス相手でも変わらずヘラヘラした大人だけど、ちょっとだけ嬉しそうな感じもするアノシャ
 むちゃくちゃをあっさりやってのけてヘラヘラしてるアノシャ
 映像で登場している間もずーーーーーーっと好き放題やってるアノシャ

並べてみてもアノシャ欲張りセットすぎてどうかと思いました(錯乱)

あとこれは龍之介もですが、フィナーレ?で踊っている時のキャラではなく「演者ご本人」で舞台に立ち踊るお姿があまりにもイケ散らかしていてすごかったです
突然素のビジュアルの良さとパフォーマンスの素晴らしさで横合いから殴られて気絶するかと思いました


バンジークス卿


原作における最愛の推しです。

ストーリー上、この時点での原作バンジークス卿は、日本人である龍之介への優しさは一切見せません。
威圧感が強く、冷徹で恐ろしい、でも歴代逆裁の検事達の中で考えても(グラス割ったりボトル投げたり鋼鉄の暴れん坊を検事席に叩きつける以外は)比較的まともに検事してる”死神”がそこにいて、めっちゃよかったです。
この時点で変に優しさを見せず、彼のキャラ性を守ってくれたことが嬉しかったですし、今後続編などで彼本来の人の良さが見れる日を一層期待したくなってしまいました
(でももし舞台であの人の本質的な人の良さや優しさを見せつけられたら私その場で死ぬかもしれないなと思う)

当たり前のように顔が良くて震えましたが、私が一番ときめいたのはむしろ全体の立ち姿でした。
調べたら演者の優希しおんさんはダンスがとにかくお上手な方だそうですが、本当に身のこなしがずーーーーーーっと美麗でした。
神の聖杯&ボトル&鋼鉄の暴れん坊踵落とし完全再現はもちろん有り難み200000000点でしたが、そもそもの歩き方、マントの捌き方、お辞儀の仕草、そのどれもが貴族たる優雅な推しで惚れ惚れしっぱなしでした。
歩く滋養でした。
なんなら次回は原作通り法廷でマント脱衣してくれてもええんやで…?(強欲の壺)

原作の卿は192cmとかいう脅威の高身長設定なのですが、優希さんは160cm代の方だそうですね。
実は事前に調べたときその点はちょっと不安だったりもしました。
私は原作卿の体型も大好きなのです……
圧倒的に大柄で威圧感があり、とても冷徹に見える死神と、フィジカル的にも卿よりずっと小柄ながら依頼人を信じる一心で彼に立ち向かう龍之介という構図が大好きだったりします。
(龍之介は原作だと168cmくらいで、演じていらっしゃる瑠風さんより小柄です)
しかし優希さんの卿はそれを感じさせないくらい立ち姿が美しく、迫力があったと思います。
(というか美しすぎてずっと見惚れていたので身長自体意識に登らなかったのもあります……)
最後のヴォルテックス卿にちょっぴりおこなバンジークス卿はかわいかったです。
基本原作通りに眉間に皺寄った渋い顔だったのでカーテンコールで笑顔が見えた瞬間あまりの尊さに天を仰ぎました。


亜双義


これまた顔がいい・歌上手い・脚長い・鉢巻似合う亜双義ですごかったです。
これは原作履修したオタクのPTSDみたいなものですが、彼が出てくるたびに原作1-2までのあれそれ思い出してずっと泣いていました。
龍之介とのデュエットが聴けると思ってなくてそれもまた号泣でした。
2人で互いを思いあいながら
背中を合わせ
視線をかわし
でも決して見つめ合うことはなく
1人そっとスポットライトから出ていく亜双義見て泣かない訳がなかったです。

亜双義から龍之介にかけられる「親友」の呼びかけは切なくて切なくて、同時に何より嬉しかったです。

あとエンディングのカーテンコールの際、バンジークス卿と亜双義が一緒に出てきた瞬間推しが並びで揃ってしまって動揺が凄かったです。胸が熱すぎてここでもちょっと泣きました。


アイリスちゃん


可愛い可愛いアイリスちゃんだ……
正直大人がアイリスちゃんを演じるというのに若干の不安があったのですが、軽々飛び越えてくる圧倒的な可愛さでした。
これはアノシャもメロメロですわ
日本から来た2人のために日本茶ブレンド作ってくれるアイリスちゃんの優しさに泣きました。
賢くて可愛くて子供らしさもある反面、どんな事件が起きていても誰よりも落ち着いて振る舞える原作通りのアイリスちゃんでよかったです。
全然お茶飲まないなるほど君にぷりぷりしてるとこも可愛かったなあ……
あまりの賢さにアノシャの出番を一個潰すのもgoodでした。
映像のアノシャがイッッキイキしてましたね。
アイリスちゃんが出してくれたお茶の缶が初回特典の紅茶缶だったり、マグカップ塗神の大逆裁絵柄20周年マグでそこでも小躍りしていました。


グレグソンくん

威圧感あるけど適度にちょろいグレグソン君めっちゃよかったです。
ゲームだと彼がフィッシュアンドチップスを食べながら喋っていてもテキストは普通の文章なので意識していなかったのですが、
食事しながらだから喋りがもごもごしている様は舞台だからこそ感じられる臨場感かもな、と思ったりもしました。
あとお歌もよかったです。
スコットランドヤードはマジで大変。


ヴォルテックス卿

原作では威厳の奥に胡散臭さかおる紳士でしたが、宝塚では胡散臭さは鳴りを潜めて普通にめっちゃかっこいいヴォルテックス卿でしたね。
あの原作の胡散臭さはよりによって「メグンダルの弁護をさせることでなるほど君を見極めよう」とかいう、何か思惑がない限りクレイジーとしか思えない挙動のせいもあったんだなと思わされました。

それがなかったら胡散臭いとか黒幕臭いとかよりも普通にかっこいいんだよな、卿…
宝塚版の卿のかっこよさは、この後わかる彼の真実や今後の展開を思うとなお一層味わいが深かったです。


漱石さん

四字熟語完全再現、スクリーンの芸こまぶりも含めて本当に嬉しくてキャッキャしていましたとも
でもそれ以上に色々なものにビビっていたり、ウギーーーーッてなってたり、わなわなしてたり、驚いたりする挙動の全てがめっっっっっっちゃくちゃに漱石さんで素晴らしかったです。
ビジュアルや仕草はもちろん、表情がとにかく原作通りでニヤニヤしっぱなしでした。


ニーナさん
とにかく美しい人だったし、いい声で歌もダンスも上手い人だなぁとしみじみしていました。
そして何より挙動の全てが完全に原作にいたタイプのオリキャラでしたね…

ブレイクモーション完璧に原作のノリそのままでした。それでもスカートのひらみがマジで優雅でキレがあったところにプロを感じました(意味不明)
ミステリアスで冷たく見えて、情にあつく、大切な人のためなら全てを捨てられるいい女
オタクの大好物なのでもっと眺めていたかったです。


ブラッド大使
めちゃくちゃお芝居がよかったです…祖国を憂う悲哀の人…終盤の独白めちゃくちゃ切なかったもんな…
感情移入でホロリとくるほど、人柄の優しい人でかつ本当に魅力的でした。
誰よりも強い信念と愛があったからこそ、自分自身を止めることはできなかった人。
彼のような人だったからこそニーナさんは祖国を裏切ったのだと素直に思えるほど、誠実な人に見えました。
またそんな彼だから、事件に立ち向かいながらも彼の葛藤や痛みに寄り添おうとする龍之介がより一層素敵に見えた気がします。


ローラ&パット

マーーーージで本筋に1ミリも絡まないのにただただ可愛いあいつらがいてニッコニコになってしまいました。
あの2人の登場は原作愛でしかないと思います。


女王陛下

原作でもビジュアル出なかったのに大活躍ですね!?!!?となりました。
バンジークス卿の証人入廷時の台詞が「ご入廷いただこう」みたいな敬語の言い回しだった時「ん????卿はそんな言い回ししないが????解釈違いか?????」となった次の瞬間、女王陛下が現れたので納得しかなくなりました。
「英国は過ちを認めることを恐れない」の台詞は原作で見せた彼女の行動とも一致するもので、そこも納得感がありました。
とにかく歌声が美しく、凄まじく伸びる高音もとても素敵でした。


サイバンチョ

原作の逆裁時代を思い起こさせる優しい素敵おじいちゃんサイバンチョの100倍くらい威厳があってイケてました
でも大使にかける声の一つ一つに優しさや公正さが滲んでいて、「やっぱりあのサイバンチョだ…」と思いました。


陪審員のあの人

どこのナニ里さんちのご先祖様ですか!?!!?!?!?

ファンサがすぎるが!?!?!??!??

ありがとう


ストーリーと演出まわり


最初に宝塚逆裁のテーマから始まった段階でもう正直半泣きでした。
大使の特権のくだりは逆転検事思い出したし、要所要所で過去作品へのリスペクトも感じられましたね。
原作の前後の時期のエピソードで説明されるような話が上手に違和感なくストーリーの中で説明されてたのも流石だなあと勝手に感心していました。

なるほどくんの最初の依頼人がメグンダル氏じゃなくてアノシャなのも、今後のなるほどくんのメンタルの安定にめっちゃ良さそうだし流れ上違和感もなくてよかったですね。
よりアノシャとなるほど君のコンビ感があった気がします。
そもそも大逆裁の新しいお話が見れたというだけでもうオタクは胸いっぱいだったので最高でした。
純粋に舞台のシナリオとして見た時も、ホームズものっぽさと逆裁ぽさの塩梅がちょうどよく感じました。


宝塚の舞台と恋愛についてちょっと思うこと

昔映像で見た宝塚版「逆転裁判」はキャラクターが全員英語版の名前、かつニックが金髪でした。
これはやっぱり原作との差別化を意識していたのだろうなと思っています。

この場合原作と違う!というのは別に悪いことではなくて、宝塚の作品として恋愛要素を付け足そうとしたときに出る違和感を受け止めさせるためのクッションだったのかなと思っていて…

以下は完全にオタクの妄想ですが…
逆裁を宝塚で舞台化するにあたって「なるほどくんと原作ヒロインである真宵ちゃんに恋愛をさせるのは違う」となったのではないかと思うのですよ。
(ナルマヨ地雷とかではないんですが、私は少なくとも1〜3の2人は恋愛感情じゃなく相棒でいて欲しい派です)
私の個人的な感覚からそう思うというのもあるのですが、特に原作1・2・3だとなるほど君と真宵ちゃんて成人とティーンなので、そんな条例に引っかかるような恋愛を堂々とするなるほど君、違和感を覚える人も多いのでは?と思うのです
(龍之介と寿沙都さんだって20代とティーンですが、この時代なら寿沙都さんの年齢は所謂結婚適齢期だと思うのでそんなに違和感なかったです)

そうでなくとも原作のなるほど君は真宵ちゃんはじめ女性キャラはそっちのけで御剣へのクソデカ感情を見せつけてくる男であり、女の匂いが皆無です。さらに仮に恋愛をさせるとなると、ちなみというデカすぎる存在がいてだいぶやりづらそうに見えます。
やりづらいからこそ、宝塚版は金髪のニックという「なるほど君だけどなるほど君ではないなるほど君」にすることで違和感やファンの抵抗感を減らそうとしたのではないかと思っています

また、宝塚版1のヒロインは、明らかに「蘇る逆転」に登場する宝月巴さんを下敷きにしたキャラでした。しかし彼女の名前が巴さんの英語名のラナではなくレオナという違う名前の女性だったのは「巴さんがなるほどくんの幼馴染で彼女!?」という違和感をなくすべく、巴さんをモデルにした別人にしたというのもあるのだと思いました。
その改変は、宝塚という舞台の中でゲーム原作の逆転裁判という新しい風を劇団ファンの皆さんになるべく違和感なく受け入れてもらうために必要な要素だったと理解しています。が、原作ファンとしては正直寂しくもありました。
この作品では巴さんだけではなく、原作版で彼女にまつわる事件の鍵を握る巌徒局長も別の人物として登場していました。
もちろんあの宝塚版の逆転裁判シリーズ自体は素晴らしい出来だったとは思います。
しかし、仕方ないとは思いながらも、本当に大好きな彼ら自身の人生を、あの事件を宝塚では観られないんだろうなと寂しく思ったのは事実です。
だからこそ、今回ほとんど原作の要素を壊さずに宝塚で舞台化してくださったことがすごく嬉しかった。

大逆裁という作品はそもそも世界観からして宝塚で映えること間違いなし、
そして恋愛要素としては、原作では描かれないものの、ストーリー上主人公の恋のお相手に振っても比較的違和感が少ないヒロインとして寿沙都さんがいる。
(両思いかどうかは不明にせよ、どちらかが相手を異性として意識しているといった設定にしても大きく原作を壊さないな、といった意味です)
こうした前提もあり、より宝塚として舞台化しやすい作品だったと思います。
でも、それでも原作の龍之介とすさとさんの距離感を大切に、安易に2人を両想いのカップルにはしなかった宝塚の制作陣の皆さんには感謝しかないです。
「宝塚版としては2人に恋愛要素があるのもアリだよね」と思えたのはこの辺の塩梅もあったと思っています。

(安易に恋愛にしないでくれてありがとう!は心から思っていることなのですが、
とは言え、あの本編最終盤で見た
すさとさんにマントを着せる龍之介
龍之介から帽子を奪って被るすさとさん
そしてそれを綺麗に被せ直す龍之介、すさとさんの肩を抱く龍之介…
という件は正直龍之介にしろすさとさんにしろ惚れるしかないのでは!?!!?というほど存分にイチャイチャしててむず痒くて甘酸っぱくて死ぬかと思いました。
少なくとも私がすさとさんなら多分即恋に落ちるし私が龍之介でもこれ以上なくドキドキしてますます惚れ込みまくったと思います。
正直真顔を1mmも保てない程度にはときめきました。ありがとう宝塚)


1人の原作ファンが見た宝塚大逆裁

ここまでひたすら書き連ねながら、この幸福をうまいことまとめる言葉は何一つとして出てこないなと感じます。
ここまで書いたくせに、いい感じのまとめとか何もありません。

多くのファンの方が語っている通り、とにかく幸せで、あっという間に上演時間が終わってしまったなと思います。
舞台として形を変えて大逆裁に出会ったことで何より感じたのは、やっぱりこの作品が好きなのだということでした。
観劇後は、あまりの感動と喜びで情緒が乱れすぎて仕事が1mmも手につかないまま無駄な時間を数日過ごしました。
普段から2.5の舞台を見ている人はこういう気持ちを日々感じて生きているのかな、と考えるとよくまともに日常を送れているなとつくづく思いますし、そういうファンの皆さんを心から尊敬します。
同時に宝塚を推している人もこんなに美しいものに出会って観まくっていたら煌めきとときめきが強すぎて感受性とか情緒とか焼ききれたりしないのかなと思います(本当に心から尊敬して褒めています)。
このたった一回の経験だけで、オタクは寿命が半世紀分は伸びました。

劇場で彼らに出会えただけで涙が出るほど、この作品が大好きだったのだな、と改めてわからされる時間でした。
本当に本当に幸せな舞台、幸せな2.5次元初観劇でした。
こんなに大切な彼らに、劇場で、素晴らしい演者さんの演技で出会わせてくれたこと、原作を大切に愛してくださったこと、ファンとして死ぬまで噛み締めると思います。
劇場でみんなと一緒に現場で「異議あり!」出来たこと、孫の代まで語り継ぐレベルの幸福です。
この喜びには一切異議なしです。
本当にありがとうございました。

追伸
最低でもあと300回は見たいので早く円盤ください。

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