1回戦ジャッジによる作品評 竹中 朖
ジャッジにあたって
竹中 朖
私は批評を生業とする者でもなく、批評言語を内在させてものを見ているわけでもありませんが、長年に亘って文章を書く人と並走する仕事を出版の現場で続けてきました。
文章とは人格そのものでもありますから、ときにこの並走作業(片々たるものであっても)は深刻な対立や、人間関係の抗いがたい陥穽へ落ち込む事態をも惹起します。むしろそれを前提になにものかを生産する稼業であるという覚悟めいたものを持って、他人の生産する文章と対峙する日々を過ごしています。いや、これ