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「愛」と【アイ】についての話

はじめに🌟

元々、赤坂アカ先生と横槍メンゴ先生の作品のファンであったこともあって、【推しの子】という作品は連載開始時から毎週楽しみに読んでいた。
作品が知られるにつれて、周りの友達にも薦めることが多くなり、結果的に見事に沼った友達が周りに増えた。

ファン待望のアニメが放送されてから数日後、そんな【推しの子】に沼った友達と感想戦をしていた。
その中でした『「愛」と【アイ】についての話』が後々思い起こしてて、あれ面白かったな〜と思い、せっかくなら、文字に起こしたくなった次第。
覚えてる限りでまとめつつ書き殴ろうと思います。

先に言っておくと長いです。十分弱くらいかかると思います。
一番言いたいことは終わりに書いてます。
また、ネタバレを含むので未視聴・未読の方はご注意ください。


「愛」について

愛っていろんな文脈で使われる言葉ですよね。
それこそ【推しの子】でフィーチャーされている”アイドル”で言うと、僕は乃木坂46が好きで、同じく乃木坂46を好きな友人とよく、
「このメンバーって愛されてるよね。」とか、
「これってまさにグループ”愛”だよね。」とか、
「このメンバーの関係って”愛”だよね。」とか話してたりしてた。
特に、その友達は「愛」という言葉を使って乃木坂についてのことをでよくTwitterで発信してる人です。とても乃木坂「愛」が強い友達です。


愛という言葉はとても多くの意味を内包しているのと同時に、とても感覚的な言葉だと思う。
愛という言葉で指し示すのが一番伝わりやすい場合ってのは多々ある気がする。

そんな「愛」という言葉を動詞形にして受動態に変えて考えてみる。
「愛”される”」となる。
こうなると、さまざまなの意味の言葉を包括して表していた「愛」という言葉と違い、意味が割と限定されるように思う。
基本的には「好かれる+大切にされる」という意味で捉える人が多いんじゃないかな。自分はそう捉えた。
みんなから好かれていて、みんなから大切にされている。そんな人を、そんな場合を形容するには「愛される(愛されている)」という言葉はうってつけだと思う。


さて、ではこれを能動態の「愛”する”」に変えるとどうだろうか。
先ほどのを参考に「好いてる+大切にする」を表す言葉だと理解するのが手っ取り早いと思う。
のだが、この「愛する・愛してる(以下、愛してるで統一)」という言葉、人(主にパートナーや恋人)に面直で言う言葉として、僕は元来あまり好きじゃない。

感覚的な言い方で終始しちゃうけど、大切にしている相手に直接「僕はお前を大切にしてる」ってわざわざ意思表示をするってことに対していまいちピンとこない。
それは本来、態度や行動で示すものであって、それができてるなら、わざわざ言葉で相手に伝える必要はないと思うわけ。

僕が斜に構えてるだけかもだけど(だから個人の意見だと思ってネ)、端的に言ってしまえば、『相手に伝えたい(表したい)気持ちは「好き」、なんだけど、それを直接言うのはガラじゃない。だから「愛してる」にしとこ』みたいな自尊心めいたものを感じてしまう。どことなく偉そうにも感じてしまう。
(ただ、相手がその言葉を直接欲していて、それに応える時は別だとは思う。それはとても素直でまっすぐで素晴らしいことだと思う。)


少なくとも、それなら僕は好きな人には直球の言葉で「大好き!」って言いたいし、これまでもそうしてきたと思う。

昔、バイト先で、バイトの後輩と交際していた、一個上の社員がいた。その社員が職場内で「愛してる」って言ってたのを聞いたことがある。
当時から「なんだこいつキメェ」って思ってた。
どんくらい経ってからの話かは忘れたけど、その社員はその後輩との関係を維持したまま、系列店舗の別スタッフとセクロースしてた。どの口がほざくかと思ってた。
可愛がっていた大切な後輩だったということもあり、問答無用即断即決でチンコロした。
(ちなみにその社員はその何年後かも浮気をしてバレている。バカ。)


畢竟、何が言いたいかっていうと、「愛する。愛してる。」って軽々しく使うヤツにロクな人間はいない。(個人調べ)


【アイ】について

さて、話を戻して、
推しの子の1話(アニメの話)って、展開のインパクトで抜けがちだけど、
・アイの生育環境
・アイの年齢(享年)が若干ハタチであること
この二つって割とキーポイントな部分だと思ってる。


作品内で幼少期のアイの家庭環境が劣悪なのはたまに示唆されてることで、アニメの1話からも
・片親に暴力を受けていた
・その親は窃盗で捕まった
・釈放後、親から会いにくることはなかった
くらいのことが判明してる。
実際、この生育環境はかなり"最悪"に近いと思うのよね。

少なくとも親からの”愛”を知らないってことは確かで、そんな子供が、我が子を産んで豊かに育てることってかなり難しいと思うわけ。
だって「愛し方」も「愛され方」も知らないから。虐待の連鎖って言葉もあるくらいだよね(少なくともアイはそういうことをするタイプの人間ではないだろうけど)。

アイはファンからは”愛されていた”存在だと思う。少なくとも東京ドームを埋めることができる5万人以上のファンから”愛されていた”。
でも、その「愛されていた」に本当に「大切にされていた」という意味はあるのかな、って考えると、多分その意味は内包されていないんじゃないかなあと思う。
ファンから「大切な存在だと”思われていた”」なら成立するかもしれない。けど「大切にされていた」は成立しないと僕は思う。

それはアイドルファンという存在は「アイドルを大切に扱うような立ち位置にそもそも立つことができないから」だ。(加えて言うなら、アイドルってのはファンに消費されるコンテンツとも言われているくらいである。)
「アイはファンから愛されていた。」この言い方自体に(前述のことを勘定に入れても)違和感を感じるはしない。違和感を感じることがないということは、「アイはファンから愛されていた」は成立自体はするのだろう。
でも「大切にされていた」とは言い難い。

そういう意味では、アイを大切に思っていた、大切にしていたのはルビたん、アクたん、ミヤコさん、そして壱護社長、だけなんじゃないかと思う。そして、その四人が(アイのことを大切に思っていたことが間違いないのは大前提として)アイのことを「愛していた」かと問われると、なんとも言えないところであると思う。
壱護社長がワンチャン…う〜んでも愛してるとは違うような。間違いなく心底大切に思ってるのはわかるけど、”愛してる”と形容するのは違う気がする…【推しの子】ファンの皆さん、どうでしょうかね?


『【アイ】の「愛」』について

さて、死の間際、最期も最期にアクたんとルビたん(以下、二人で統一)にアイが伝えた「愛してる」について。
最初の方で「愛してる」≒「好いてる+大切にする」だと、仮定したが、親から子への愛してるは「(大)好き」というよりは「可愛いと思ってる・可愛がる」と言い換えた方が適当かもしれない。

では、アイはどうだったかと考えると、B小町ライブでの二人の「バブバブバブバブバブバブバブバブ!!!」見た時の反応だったり、それ以外のいろんなシーンからもアイがアクルビのことを我が子として間違いなく可愛いと思っていて、可愛がっていたことは間違い無いだろう。

じゃあ、「大切にしていたか」という面ではどうかだが、結論から言えば、アイは二人のことをとても大切にしていたと思う。
二人が幸せな人生を歩めるように、割と早い段階から真剣に(ハーゲン○ッツを食べながら笑)「もっと稼がなきゃ」と考えてたり、仕事が増えて忙しい中でこっそりとお忍びで二人のお遊戯会を見に行ったり、少なくとも言葉で「あなたたちのことは大切にしてたよ」と伝えなくてもわかるくらいには大切にしていたと思う。
だから、「ごめんね、言うのこんなに遅くなって。」とアイは言ってたけど、それを二人に伝える必要性は(二人がその言葉を求めたことがないのも含めて)実はそんなに無かったのだと僕は思う。


それでもアイは二人に「愛してる」と伝えた。

ずっと言えなかった。口に出したその言葉が嘘だとわかってしまったらその時が怖いから。自分のことを大切にしてくれなかった人たちと同じように、自分は人を大切にすることができない人間だと分かってしまったら怖いから。
けど、アイはずっと二人に向けて「愛してる」と口にしたがっていた。

話が少し脱線するが、星野アイ役の高橋李依さんが、好きなシーンとして、アイが二人のおでこにキスをして「行ってきます」と言うシーンを挙げてるんだけど、高橋さんは「この時、アイは"愛してる"って言葉がよぎったんだけど、言葉を選んで"行ってきます"にしたんじゃないか」という風に読み込んでいたらしい。(声優さんの読み込み力すごいね脱帽。)

本筋に話を戻す。
なぜアイは口に出すことが怖い言葉を、口にしたがっていたのか。
それは、アイは幸せってところだけはホントでいたかったから、だ。
そして最後にアイはその言葉を口にすることができたのだ。だから、最後にアイは本当の幸せを手にすることができたのだ。


少し別の視点から考えると、「人を愛する」ことがよくわからなかったアイだけど、そんなアイを結果的に変えたのは他でもない、アクアとルビーなんだよね。
自分のことを(それこそ生前から)大切に思ってくれていた、自分のことを大好きでいてくれたアクアとルビーのおかげで、アイは自分が"大切な人を大切に思える人間である”と最後に知ることができたんだと思う。

アイの「愛してる」という言葉は結果論的に読者・視聴者の中で、それを知るキッカケのピースであった「アクアとルビーに対する感謝」という形に姿を変えるとも考えられるんじゃないかなあ。


だから、以上のことを踏まえた上で、僕の中ではアイの「愛してる」という言葉と、その言葉を口にしたこと、は自分の中でとても腑に落ちた。
アクアとルビーのことが大好きで、愛おしくて、そして何よりも二人のことが大切だ。自分で口にしたその嘘も虚飾もない言葉とその言葉を紡がせてくれたアクアとルビーにアイは救われたのだ。
そして、アクアとルビーも、この「愛してる」という嘘偽りのない母の想いを受け取ることができたのだ。

そして、アイの享年は若干20才。
多分、愛を知らずに生きてきた期間の方が遥かに長い。しかも15才なんてまだまだ子供だよね。
そんな子供だったアイが5年という短い期間の中で、アクアやルビーとの生活を通して、「愛を知って、本当の意味でも母になった」っていう事実はなんというか、かなり偉大なことだと思う。
そして、この短い生涯のさらに短いこの間だけでも、アイが本当の意味での幸せな人生を歩めていたという"事実"が、あのしんどい展開において、僕の中でたった一つの"救い"になった。


今回、アニメや劇場上映を見て、改めて僕は感動したのだ。


おわりに🎀

と、とっ散らかった文章になりましたが、何が言いたいかって言うと、
愛してるって言葉があんま好きじゃない一人の人間でさえ、アイの愛してるにはいたく感動しました。ってことです。
それだけです。

まあ書いてて、「(前半の方では愛で伝えたいのは好きって気持ち、的な書き方してるのに、後半では大切にしてるって伝える方に重心が置かれてる、的な内容になってね?あれ?)」とか思ったり、
アニオリの刺される直前の回想の壱護社長やミヤコさん見てたら、「(いややっぱ二人はアイを愛してたんちゃうかな…)」って思い始めてきて考えがブレたり、
「(そもそも愛してるの言葉の対象がパートナーなのか、我が子なのかで内包する意味って変わるよな…)」
とか考えてました。白状します。

まあ、ね。細かいことは、ね。ご容赦ください。
砕けた言い回しとお堅い言い回しが混じってますが、思った以上に文章量が増えすぎてもう推敲する気は起きません。
でもノブユキが見たら「(これで)ショーダウンと行こうぜ!」って言ってくれるはずです。
ツッコミどころは優しい目で見てあげてください。今ガチ初回放送のアクたんを見るルビたんと重曹ちゃんくらいの優しい目で見てください。
それでも詰めてくるような人にはきっとルビたんがこう言ってくれるはず。



「辛辣ぅ~」



引用元・出典

トップ画像 
Twitterアカウント『【推しの子】』TVアニメ公式
2023年4月13日 午前0:30のツイートより画像を引用 ·https://twitter.com/anime_oshinoko/status/1646173833030955011/photo/4

YouTube【推しの子】チャンネル
【推しの子】突撃!アフレコレポート#01 【ゲストは赤坂アカ先生&高橋李依さん&伊東健人さん】
2023/04/13 投稿の動画より高橋李依さんのインタビュー内容を引用
https://youtu.be/W98r9zv_9yw?t=311


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