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ペルソナ3無印・フェス・ポータブル・リロードの違い解説

ペルソナ3に初めて触れる人がどのタイトルを選ぶべきか以前はてブロでも指南記事を書いたが、リロード発売も近づいてきたのでnoteでも改めて紹介したい。
ペルソナ3は派生作も多くゲームだけでも何度か作り直されているので、初めてプレイする人のソフト選びの参考になると幸い。
なお、記事内の画像は全てアトラス公式サイトから引用させて頂く。


ペルソナ3

通称『ペルソナ3無印』。2006年発売のPS2専用ソフト。2024年に発売される『ペルソナ3リロード』のリメイク元となるオリジナルがこれ。
PS2でプレイできるP3は『ポータブル』と大きく異なる点が複数あり、その最たるものがアニメーションムービーと人形劇の有無。
『ポータブル』では容量と工数削減のためにアニメムービーと人形劇が削除されてしまっているが、『無印』『フェス』は『ペルソナ4』と同じくプレイヤーアバターを街中で走り回らせる事ができる他、キャラクター達の人形劇も鑑賞できる。
また主人公の使用可能武器が片手剣に限定されず、拳武器や弓矢や鈍器も扱えるのもPS2版の特権。モーションも武器種ごとに専用のものが作られているためプレイしていて飽きない。

つねに個性豊かなキャラの動きが楽しめる『無印』『フェス』
ADVのように主人公の一人称視点になり、キャラのバストアップのみが表示される『ポータブル』

『Burn My Dreadがゲーム起動直後にOPとして真っ先に流れる、後述の後日談シナリオが存在しないなど、元祖P3の雰囲気に一番どっぷり浸れるのが『ペルソナ3無印』の特徴。
が、仲間の戦闘AIがお粗末だったりお遊び要素もまだ追加されていなかったりと、P3を遊び尽くすには不自由な点も多い。
今の時代にあえてこのタイトルを最初にプレイするメリットはあまり多くないと言える。


ペルソナ3フェス

2007年発売のPS2専用ソフト。通常版(単独起動版)もあるが、P3無印が手元にある場合、アペンド版を選べばより安価にフェスをプレイできる。
本作は簡単に言うと無印のアッパー版。無印のシナリオや要素はそのままに、新コミュ・新エピソード・新ペルソナ・新難易度を盛り込み、ダンジョン内での衣装着せ替え要素やエリザベスとのデートも追加されている。

また仲間の戦闘AIも無印から大幅に改善されており、仲間に直接指示はできなくともほぼ問題なく楽しめるようになった。
そして本編『エピソードユアセルフ』の正統後日談である『エピソードアイギス』がプレイできる唯一のソフトでもある。後日談含め、後述の『ポータブル』には収録されていない要素が多い作品なので、ペルソナ3を遊び尽くすならこのソフトを購入する事をおすすめする。


※2024/3/13追記:フルリメイク作品『ペルソナ3リロード』でエピソードアイギスもリメイクされる事が公表された。有料DLCで9月配信予定。

ただし、後日談のシナリオは発売当時大炎上した問題作。詳しくはネタバレ覚悟で調べて。

当時を知る人によるとフェス発売後はファンサイトが多数閉鎖したとのこと。この一文で察してほしい。
後日談そのものはアニメ化も漫画化もされておらず、エピソード自体は『P4U』シリーズなどに受け継がれているものの現在の公式ではほぼ黒歴史扱いとなっている。ついでに言うとその『P4U』ですらとある重要な設定が後日談とは食い違っていたりする。

なおゲーム起動時にはフェス版OPが流れるが、無印OPも鑑賞は可能。

新規OP映像の他に後日談用のアニメムービーも多数収録されている



ペルソナ3ポータブル

2009年発売のPSP専用ソフト。後にPSvitaにも移植され、PS4やPC、Switch、xboxシリーズ対応のHDリマスター版もリリースされた。
『フェス』の『エピソードユアセルフ』を元にした移植リメイク作だが、後日談は収録されていない。
また無印の項で説明したとおり、容量削減のために演出面が大幅にダウングレードされており、PS2版とはほぼ別ゲーと化している。アドベンチャーパートがADV風になったためモブキャラのバストアップ絵や主人公のモノローグが新たに追加されていたりするが、削除された分を埋めるに足りているとは言えないクオリティとボリューム。

PS2版では自由に走り回れたマップも本作ではポインタ移動で簡略化。右下の丸いピンクのポインタを動かしてキャラに話しかける仕組み。ちなみに背景のキャラは単なる一枚絵なので誰も動かない

本作の目玉は女性主人公の追加。シナリオ面ではオリジナル主人公との差分にかなり力が入っており、専用のシナリオやBGMも多い。スタッフが「移植用の調整も含めてほぼ新作一本分の労力がかかった」とこぼした程。
一方オリジナル版の主人公には独自の追加要素が無いどころか、扱える武器が片手剣に固定となった(おそらく工数削減のためポータブル女性主人公が薙刀固定となり、それに合わせてのダウングレード)。
戦闘システムなどが『ペルソナ4』に寄ってより遊びやすくなったり、総攻撃の新規イラストが追加されたり、2周目以降の追加要素があったりはするものの、PS2版をプレイした事のある人達にとっては不満の多い移植作となった。
オリジナルの雰囲気にそぐわない女主人公ルートのUIやシナリオを受け入れられない人も多く、筆者もその内の一人。

2022年リリースのHDリマスター版では更に細かい調整が加えられている。
遊びやすさという点では現時点でダントツ1位のソフトだが、まもなく発売される『ペルソナ3リロード』の方がより遊びやすくなっている。女性主人公ルートを遊びたいという訳ではないなら、あえてこのタイトルを購入するメリットは無い。
ちなみに『ポータブル』も新規OPで作り直されているが、『フェス』と同じくタイトル画面で放置していると無印OPが流れる仕様。


ペルソナ3リロード

2024年2月2日発売のリメイク作。PS4、PS5、xboxシリーズ、PC対応。
「オリジナル(無印)を元にした『P3』の決定版」とスタッフが4gamerとファミ通の開発者インタビューで明言している。『フェス』の後日談や『ポータブル』の女性主人公は搭載されていないが『フェス』『ポータブル』の要素が全く無い訳ではなく、また『ペルソナ5ザ・ロイヤル』並みに遊びやすくしたとも語っている。
『ポータブル』がPSP移植の簡素なリメイク作だったのに対し、こちらはフルリメイク作品となっている。

グラフィックとアニメムービーの一新、デザインおよび操作性の向上、新曲と新衣装の追加、本編とコミュのフルボイス化など新要素が目白押し。
制作チームはオリジナル版ではなく『P5R』と同じチームだが、昔オリジナル版を遊んだスタッフ達により愛とこだわりがこもったリメイク作に仕上げられている。
スタッフはディレクターが橋野桂氏から山口拓也氏、コンポーザーが目黒将司氏から喜多條敦志氏、キャラクターデザイナーが副島成記氏から嶋田あずさ氏にバトンタッチ。『P4U』『P3D』も担当した和田和久氏がゼネラルプロデューサーを、元カプコン所属の新妻良太氏がプロデューサーを務める。
コミュキャラの声優と楽曲ボーカルが変更されるなど挑戦した点も多いが、トレーラーと開発者インタビューを見る限りリメイクとしては期待十分と言えるだろう。

スタイリッシュな演出とUIはオリジナル版の時点でほぼ完成されていたが…→
Pシリーズを象徴する召喚カットインも『リロード』され一新。令和らしく進化しつつも元祖『P3』の持つ尖った空気が見事に再現されている

『P5』で大きく話題になった総攻撃カットインも逆輸入。『ペルソナ3』らしいクールなデザインとなっている。

また、有料DLCで『エピソードアイギス』もリメイクされる事が決定。エクスパンションパスの第3弾として9月配信予定となっている。
本編とは異なり、本作のディレクターは橋爪悠氏が務める。


まとめと派生作品

以上、ざっくりとではあるが各タイトルの紹介でした。
派生作品も含めて箇条書きでまとめておく。

ペルソナ3無印

元祖P3。ゲームとしてはやや遊びにくい。
余計なものが無い生まれたままのP3であるとも言える。Pシリーズの第一歩となる名作。

ペルソナ3フェス

無印のアッパー版。遊びやすくなり後日談も追加。ただしシナリオを追うには覚悟が必要。
猛毒も潜んでいるが名作。
リマスター化を望む声が上がっているものの、未だに動きは無い。

ペルソナ3ポータブル

フェス版『エピソードユアセルフ』の携帯機移植リメイク作。
演出面を犠牲に女主人公ルートをプレイできる。安価なリマスター版もあり遊びやすい。後日談は無い。

ペルソナ3リロード

無印を元にしたフルリメイク作。シナリオはそのままにグラフィックとシステムを一新。
ポータブル女主と後日談は無し。※エピソードアイギスは有料DLCで9月配信予定。

PERSONA3 THE MOVIE

全4作の劇場アニメ。フェスの『エピソードユアセルフ』を元にしているが、後日談の存在を前提としている事が分かるエンディング。
原作シナリオの咀嚼とそのアウトプットが見事。主人公のキャラ付けと成長描写、天田と荒垣の関係の再構成、最終章とラストシーンの演出は特に評価が高い。名作。

漫画版ペルソナ3

『エピソードユアセルフ』コミカライズ作品。 作者はFiFSの曽我部修司氏。全11巻で完結済み。
序盤は作風が独特なノリでコメディチックの上、時系列シャッフル形式で進行するため同人っぽい印象を受ける(良くも悪くも昔のコミカライズクオリティという感じ)。最初の数巻はお世辞にも読みやすいとは言えないが、シリアスな雰囲気になってからは演出と作画の進化が凄い。絵柄は良いけど漫画に不慣れな同人っぽいコミカライズから、絵もシナリオもSSRのコミカライズにまで成長するので初期と後期ではほぼ別物。
中盤からクライマックスにかけては文句無しの名作。

PERSONA3 the Weird Masquerade

全5作の舞台版。『ポータブル』を元にしており男主人公編と女主人公編の2パターンの物語が存在する。
なかなかのボリュームの上2.5次元なので人を選ぶがクオリティはハイレベル。キャストは蒼井翔太、阿澄佳奈、大河元気、田野アサミ、ZAQ、植田圭輔など有名所が揃っている。
ストレガ周りのオリジナルシナリオとラスボス戦の迫力は一見の価値あり。生身の人間が演じているのでとにかく熱量が凄い。名作。

ペルソナ3ダンシングムーンナイト

(一応)本編時間軸のファンディスク。P3キャラの初HDリアル頭身化ゲーム。所謂ダンス音ゲー。
ゆるく平和に遊べるが、後日談をプレイしたファンには刺さりまくる内容。名作。

ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス

本編時間軸のファンディスク。『ペルソナ4』との公式クロスオーバーおまつりゲー。3DS専用。
各キャラのパーソナリティがやたら誇張されており、それぞれのファンからするとこれは…となる点もあるがメインシナリオの完成度は高い。
P3ルートとP4ルートに分かれており、ソフト1本で2周楽しめる豪華仕様。探索とバトルも凝っていて楽しい。あとキャラデザがデフォルメされていて可愛い。名作。


無印を除き上記タイトルを全て購入・プレイ及び鑑賞したP3ファンによる紹介のため、偏った説明になった事は了承していただきたい。
アトラス作品は高難易度ゲーが多いイメージが強いが、Pシリーズは低難易度も選べて気軽に楽しめる。本編を気に入ったらぜひとも派生作品にも手を伸ばしてほしい。

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