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Skegss - Running from Nothing

なんとなくYouTubeでスケグスが出ているNMEのホーム・セッションズを見ていたら、わりとしみじみしたので訳した。スケグスはオーストラリアのバイロン・ベイでベン・リード、トビー・クリーガン、ジョン・ラニの3人とあと(本業に専念するため)すぐ辞めたプロサーファーのノア・ディーンというイモくさい4人のオージーが組んだタラタラしたサーフロック〜ガレージバンド。プロフィールには"Dumb band"(マヌケバンド)と書いてある。ウケる。

最近よく聴くんだけどなんかいいんだよね。田舎からヒッピーの集うバイロン・ベイに出てきて大工や石工やサーフショップをやりつつバカ騒ぎしながらバンド組んで、サーフィンやったりスケボーやったりしている享楽的な連中といえばそうなんだけど、湿度のない軽いサウンドに乗っかっている歌詞がちょっと切なかったりしていい。ベニーのボーカルも陽気だが、ちょっと舌足らずで訛っていて高めのしゃがれ声で、なんだか夕方の子どもみたいな切なさがある。同じニューサウスウェールズ州とは言ってもシドニー出身のヴァインズはここまで訛っていない(というか州内と言ってもそもそもめちゃくちゃ広いが)。まあ彼らはデビューしてしばらくLAにいたのである程度訛りを直しているというのもあるのかもしれないが、ベニーは話すときも歌もダラダラしたオージーの英語で何言ってるのかよくわからない。でもしみじみする。ちなみにベニーとドラムのジョニーはフォースターというバイロン・ベイとシドニーの真ん中あたりにある海しかない小さな街の出身である。行ったことないけど、綺麗な海以外ホントに何もないところだということだけはわかる。

ミュージック・ビデオを観ているとアホな連中だなあとおもうが、インタビューなんかだとベースのトビーがペラペラ話して、ベニーは借りてきた小学生みたいにぎこちない笑みを浮かべて黙っていたりするので、わりとシャイなのかもしれない。ジョニーは座ってるだけ。コメント欄には「こいつらラリってる」と書いてあった。初期は変な名前で活動していたらしく、ベニーはBen Ben Bograilと名乗っていたという事実がツボってしまい、一ヶ月くらいが経った。うんうん、ベン・ベンはあれだろ、ジョン・ジョン・フローレンスだよな、で、ボグレイルって何? 便所の聖杯?? 便器のことか?? 発想が完全に小学生。ウケる。

ところでこれはどんな曲かというと、30手前の男による「おばけなんてないさ」である。いくつになっても怖いものはわりと減らないし、いつもつるんでる連中との楽しい瞬間瞬間のエアポケットのようなさびしさってなんでこんなに際立つんだろうともおもうし、おれはそれよりベニーんちがめっちゃジャングルなことのほうが気になる。バイロンのあたりもワライカワセミっているんだっけ? シドニーのほうはいないんだよな〜〜 


Skegss - Running from Nothing from Rehearsal (2021)


存在しないものから逃げてる
存在しないんだからおれに取り憑いたりできないはずだよ
ソファの上に泊まってる
だってリビングに幽霊はいないから
誰も家の中になんかいやしない
だけど気配をかんじるんだ
べつのエネルギーを
まるで別個のものみたいな

夢から落っこちた
それでシーツに着陸したにちがいないね
目覚めたらそこにいたから
眠っちゃったんだよな

夢から落っこちた
何かべつのシーンから抜け落ちた
そしてそこで目が覚めたんだ
眠っちゃったんだよな

存在しないものから逃げてる

存在しないものから逃げてる
存在しないんだからおれに取り憑いたりできないはずだよ
ソファの上に泊まってる
だってリビングに幽霊はいないから
ビールをのみに来てよ
ちょっとだけ
うん、おれはどんなオバケにも関わらないようにしてるんだ






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