マガジンのカバー画像

The Ancient: Echoes of Sound

91
The Ancient: Echoes of Sound 「音の響き: プログレとハードロックの探求」 このセクションでは、プログレッシブロックやハードロックなど、いにしえの力強…
運営しているクリエイター

#音楽レビュー

The Map of Oz - 1st impression

The Word of Oz のコンテンツの目次(サイトマップかな?)です。 Video ClipMusicA Alan Parsons Project / Eye in The Sky Anekdoten / Vemod (暗鬱) Arti + Mestieri / Tilt - Immagini Per Un Orecchio Art Zoyd / Musique Pour L'Odyssée A Triggering Myth / Between Cages B I

『マリアブロン修道院からの旅』:ヘッセからKansasへの文学的旅路

「Journey from Mariabronn」という曲があります。 KansasのファーストアルバムのSide 1の最後の曲です。 この曲の邦題は「栄光への旅路」です。 ちなみに英和辞典には「Mariabronn」という単語はありません。 私は、ヘルマン・ヘッセを読むような子供ではなかったので、この曲の真意は相当長い間分かりませんでしたし、あろうことか、この邦題のおかげで、長年の間「Mariabronn」という単語は「栄光」のことなのかと思っていたほどでした。 1994

宮廷、宮殿、それとも法廷?キングクリムゾンの世界を解剖(伝説の歌詞を読み解く)

連休最終日、見過ごしてきた大物の歌詞に拘って、GPT4とチャットをしています。今回は、伝説的なアルバムのタイトル曲であり終曲「キングクリムゾンの宮殿」です! ピート・シンフィールドについて「キングクリムゾンの宮殿」の歌詞を書いたピート・シンフィールドは、主にイギリスのプログレッシブ・ロックバンド、King CrimsonやEmerson, Lake & Palmerの作詞家として知られています。シンフィールドは1943年に生まれ、音楽だけでなく、彼の作品は詩的な言葉遣いと豊

深遠なる歌詞:イエスの危機が語る人間の存在 ver1.1

危機のアルバムの紹介や感想については既に別記事に書いているので、今回は歌詞のお話です。(ver1.1では、チャットをやり直して、少々書き換えました。) イエスの危機がプログレッシヴ・ロックの最高峰である点について、異論のある方はいないと思います。 宮殿の方が上だとか下だとかいう議論は別としてです。 しかしながら、この歌詞は非常に難解です。 国内盤に訳詞が付けられていましたが、その日本語を読んでみても、なんのことやらという難解な言葉で埋め尽くされています。 ひょっとしたら、ジョ

探究と調和: Led Zeppelinの『天国への階段』の詩の意味を解き明かす

Locanda delle fateの歌詞の解説を載せてみて、ふと、洋楽をずっと聞いてきたとは言いながら、深く歌詞について考えたことがなかったということに思い当たりました。なんとなく、楽しい音楽の部分だけを半世紀にわたって楽しんできたわけですね。 今日取り上げる「天国への階段」については、すでにブログ等で多くの解説が書かれています。でも、それらは、いずれも素性不詳の、少しだけ英語が堪能な個人のフィルターがかかっています。せっかくAIが普及してきたので、膨大なデータに基づく、

蛍たちの消えた愛―1977年のイタリアとLocanda Delle Fate

■Locanda Delle Fate / Forse Le Lucciole Non Si Amano più ■収録曲:1.A volte un istante di quiete(6:31) 2.Forse le lucciole non si amano più(9:48) 3.Profumo di colla bianca(8:25) 4.Cercando un nuovo confine(6:41) 5.Sogno di Estunno(4:41) 6.Non c

80年代プログレシーンのアイコン、Marillion『独り芝居の道化師』を徹底解析〜失われた時代の音楽を今聴く理由

■Marillion / Script for a Jester's Tear ■収録曲 Side 1 - 1.Script for a Jester's Tear(8:44) 2.He Knows You Know(5:23) 3.The Web(8:52) // Side 2 - 1."Garden Party(7:19) 2.Chelsea Monday(8:17) 3.Forgotten Sons(8:23) ■パーソネル:Fish(vo) Mick Pointer(

ダークな旋律が紡ぐ旅『Musique Pour L'Odyssée』の全貌〜Art Zoydの進化する前衛音楽世界:1970年代のアンダーグラウンドシーンの反乱

■Art Zoyd – Musique Pour L'Odyssée ■収録曲:Side 1 - 1.Musique Pour L'Odyssée「旅の音楽」(a.Odyssée「オデッセイ」 b.Falaise「崖」 c.Combat「戦い」 d.Étrave「船首」 e.Combat「戦い」 f.Voile「帆」 g.Odyssée「オデッセイ」)(17:05) // Side 2 - 1.Bruit, Silence - Bruit, Repos「騒音、静寂」(10:4

Bennie Wallaceに学ぶジャズの真髄:アルバム「The Fourteen Bar Blues」を紐解く

■Bennie Wallace / The Fourteen Bar Blues ■収録曲 Side 1 - 1.Chelsea bridge(4:13) 2.Trinkle tinkle(5:36) 3.Vicissitudes(4:08) 4.Broadside(5:59) 5.The fourteen bar blues(6:25) // Side 2 - 1.Green & yellow(8:07) 2.Yard 'n' Newk(6:11) 3.Flamingo(6

技巧派の逆襲:U.K.のデビューアルバム「憂国の四士」

■U.K. / U.K. ■収録曲:Side 1 - 1.In the Dead of Night(5:38) 2.By the Light of Day(4:32) 3.Presto Vivace and Reprise(2:58) 4.Thirty Years(8:05) // Side 2 - 1.Alaska(4:45) 2.Time to Kill(4:55) 3.Nevermore(8:09) 4.Mental Medication(6:12) ■パーソネル:Ed

プログレッシブ・ロックの極点:イエス『究極』

イエスのgoing for the one 、邦題「究極」です。収録曲は5曲。通しでもよく聴くのですが、中でもTurn of the centuryとAwakenは圧巻です。 このアルバムは最初は、冒頭のスティーブ・ハウのスライドギターに馴染めずあまり聴かなかったのですが、何度か回しているうちにAwakenのメロディーが自然に分かってきまして、以降、深淵な世界にハマり込んでしまいました。 Awakenの演奏はスタジオバージョンが一番です。フルサークル・ツアーのライヴは生で

Pink Floyd / More 映画と融合した音楽の探索

モアは、なんと、初めて買ったピンク・フロイドのレコードです。アニマルズと狂気はエアチェック(>死語)や友達のレコードからダビングしてもらってカセットテープで持っていたからなのかもしれないのですが、何故これかは今となっては不明です。 見開きに写真が載ってて豪華に見えたのかな? とにかく初めて購入し何度も聴いたので耳に馴染んでしまっているところはありますが、サントラとはいえ、単体のレコードとして鑑賞に耐え得るいい曲作りがなされていると思います。 いちばんのお気に入りは冒頭のサイラ

音楽の浄化力:Return to Foreverとの再会「浪漫の騎士」

なんだか疲れたなぁと、久しぶりにSkyのSky2と通しで聴いていていました。穏やかな音楽を聴くと疲れが取れるような気がして。ところが、ドラムのトリスタン・フライが微妙。クラシックの人で、譜面に書いたような単調なリズムを刻んでいて、きめの部分ではクラッシュシンバルをバシャバシャ叩きまくるんですよね。なので、この音楽はこうも単調なのだろうなぁと、昔はそこまでも思わなかったのですが、なんだか、無駄な時間を使ってしまったなぁと、かえって疲れが溜まってしまいました。 そこで、頭の中を

ヒップホップとノスタルジアの融合:シンディ・ローパーの『Hat Full of Stars』

80sを載せたので、続けようと思ったのですが、1993年のこのアルバムにしました。1983年にリリースされたド定番のShe's So Unusualはまた今度ということで。 Hat Full of Starsは4枚目のアルバムです。かなりリラックスしたトーンでヒップ・ホップのリズムで始まるThat's What I Thinkからいい感じなのですが、中を全部飛ばして、タイトル曲のHat Full of Starsです。 Time After TimeやTrue Color