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オゾン発生器がコロナウイルスを殺すというのは嘘なのか

雨かと思ったら、曇りながらも比較的空が明るかったので、「おっ、これは洗濯イケるかも」と思い、午前中に張りきって干したら風が強すぎてお気に入りのシャツがどこかに吹き飛ばされて消失しました。
どうも、おじさんです。

まず、自分で書いておきながらあれですが、「ウイルスを殺す」より「ウイルスを不活化(感染できない状態にすること)する」の方が正しい表現です。
まぁ、菌でいうところの殺菌ですね。
インターネットのことはあまり詳しくありませんが、今、グーグルやヤフーの検索窓に「オゾン発生器」と入れると、「コロナ」と表示されるみたいですが、これはおそらくオゾン発生器とコロナウイルスに興味を持っている人が多いということだと思います。

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コロナウイルスといっても、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)やMERSコロナウイルス(MERS-CoV)など、いくつもありますが、この場合のコロナウイルスはCOVID-19を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を指しているのでしょう。

オゾン発生器ではなく「オゾン」がコロナウイルスを不活化する

こまかいことで恐縮ですが、オゾン発生器がコロナウイルスを不活化するのではなく、オゾン発生器から放出されたオゾンがコロナウイルスを不活化するのか、ということですね。

オゾンが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を不活化するのは事実

オゾンが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を不活化するのは事実です。
奈良県立医科大学:オゾンによる新型コロナウイルスの不活化

エビデンスは「あるかないか」ではなく「強いか弱いか」です。
そういう意味で言えば、このエビデンスは非常に強いものといえるでしょう。
ただ、だからといって、すべてのオゾン発生器が新型コロナウイルスを不活化するのかというと、そうではありません。次項で説明します。

ってことはオゾン発生器がコロナに効果あるということでオッケー?

いえ、そうとは限りません。
オゾンに限らず、効果とか危険性や安全性について、量(濃度)を無視して考えることはほとんど意味がありません。
酸素も水も、塩も砂糖も、アルコールも青酸カリも、量によっては安全であり、また量によっては危険だからです。
水ですら最悪は6Lの摂取量で水中毒による死亡例があるんです。

前項で、奈良県立医科大学のエビデンスをご紹介しましたが、このときの濃度(オゾンの量)をみてみましょう。

【実験内容】
新型コロナウイルス細胞株を培養し、安全キャビネット内に設置した耐オゾン気密ボックス内に、ステンレスプレートを設置し、実験対象の新型コロナウイルスを塗布します。耐オゾン気密ボックス内に設置したオゾナイザー(PMDA認証の医療機器:オゾン発生器)を稼働させて、耐オゾン気密ボックス内のオゾン濃度を1.0~6.0ppmに制御し維持させます。オゾンの曝露量はCT値で設定します。(厚労省PMDAによる医療機器認証の実証実験値であるCT値330や、総務省消防局による救急隊オゾン除染運用値であるCT値60を使用。)曝露後ウイルスを細胞に接種し、ウイルスが細胞に感染しているかを判定しウイルスの量を算出します。この実験は、本学がバイオセーフティーレベル3の実験室を保有し、ウイルスの培養技術を保有しているので可能となりました。
【研究成果】
1.CT値330(オゾン濃度6ppmで55分曝露)では、1/1,000~1/10,000まで不活化。
2.CT値60(オゾン濃度1ppmで60分曝露)では、1/10~1/100まで不活化。

この場合の「CT値」とは「ppm×時間(分)」を意味します。
奈良県立医科大学の実験は、「気密ボックス」を使用して行われたわけですが、これがたとえば天井高2.5m・100㎡の室内空間で同じことができるのかいえば、業務用オゾン発生器なら可能、家庭用オゾン発生器では不可能です。
というか、そもそも家庭用オゾン発生器は人やペットがいる環境で使うものなので、こんなに濃度を上げたらダメです。
過酷な現場が多い特殊清掃やその他除染専門業者などでも、室内空間のオゾン濃度を6.0ppmまで上げることはめったにありません。(もちろん無人環境でのオゾン作業)

どのオゾン発生器がということではなく、問題は「その空間のオゾン濃度をどこまで上げるのか」という点です。

奈良県立医科大学と同じ「気密ボックス」でいいなら(ダジャレじゃないですよ)、それこそ300mg/hr程度のオゾン発生器があれば6.0ppmのオゾン濃度環境なんて簡単にできちゃいます。
ただ、それが100㎡超の空間などの場合、結構難易度は高くなりますので、一般的な清掃業者が取り扱うレベルではありませんね。
1.0ppmで「殺菌レベル」と言われていて、一般的な清掃業者さんも普通にそのくらいのオゾン濃度で殺菌消毒作業をしています。
殺菌や消毒であれば、その程度で十分です。

100㎡超でも1.0ppm程度のオゾン濃度環境をつくれる業務用オゾン発生器はたくさんあります。
ただ、家庭用オゾン発生器の場合は、そもそも0.1〜0.3ppmのオゾン濃度環境をつくるためにありますから、コロナを死滅(滅菌)させるとか到底無理なんです。

オゾン発生器は主に「業務用」「家庭用」にわかれます。

業務用オゾン発生器
→業務用オゾン発生器と呼ばれる多くの製品は、だいたいオゾン発生量が300〜10,000mg/hr程度です。
容積(㎡×高さ)にもよりますが、1.0〜6.0ppm程度の濃度環境は十分につくり出すことが可能です。

家庭用オゾン発生器
→家庭用オゾン発生器と呼ばれる多くの製品は、オゾン発生量が0.5〜5mg/hr程度です。
家庭用は人やペットがいる環境で使用されることを想定して設計されています。
そのため、そもそもそんなに高濃度にならないようにオゾン発生量が業務用の1/100とか1/1000などです。

オゾン発生器はコロナ対策に意味がある?ない?

めちゃくちゃ意味があります。
これは無人環境で作業する業務用オゾン発生器、有人環境で使用する家庭用オゾン発生器ともに、大きな意味があります。
オゾンでコロナが不活化することは疑いようのない事実です。
そのため、以前から衛生問題を無視できないサービス業などではすでに活用されています。
そして、オゾンがやっつけるのはコロナだけではありません。
かなり広範囲の菌やウイルスに有効なことに加え、残留性がなく安全性も高いです。
コロナ禍の今、宿泊施設業や飲食店業、医療施設、一般家庭などでオゾン発生器の導入が爆発的に増加しています。
手洗いやうがい、マスクや消毒液など、基本的な対策がもっとも効果的かつ低コストなのは否定しません。
ただ、基本的な対策プラスαを考えている方は、利用環境(無人?有人?など)に合わせて、オゾン発生器の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

あっ、ちなみに、オゾンは新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)だけではく、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)やMERSコロナウイルス(MERS-CoV)も不活化することが以前からわかっています。

今日は土曜日。
洗濯物の一部は強い風でどこかに吹き飛んでいってしまいましたが、美味しくハイボールをいただきたいと思います。
それでは、みなさんも良い週末を。

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