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尾瀬のミニ観察~第8回~

前回は、「ザゼンソウ」を紹介しましたが、今回は「ワタスゲ」についてご紹介します。

(8)「ワタスゲ」
(花期:5~6月)

 ワタスゲの花の穂はツクシのような姿で枯れ草の中に立つ。それは、真っ白なわた毛と対照的な黒い鱗片につつまれていて目立たない。
 ワタスゲは風媒花なのに花どきには背が低い。そのため早く開花しないと、周囲の草に囲まれて風をさえぎられ、花粉を遠くまで飛ばせなくなる。そこで鱗片を黒くし、日光を吸収して穂を暖めていると考えられる。こうして、暖まった穂は生理活性が高まって早く咲き、花粉を飛ばせるようになるのだ。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2010年3月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「タテヤマリンドウ」についてご紹介します!