映画『飯舘村べこやの母ちゃん─それぞれの選択』 全村避難を生きた3人の女性牛飼いたちの11年の記録


映画『飯舘村べこやの母ちゃん』公式サイ

 2011年3月の東日本大震災につづく福島第一原発事故によって、高濃度の放射能汚染に見舞われた飯舘村。高原地帯でたびたび冷害に遭ってきたこの村では、畜産や酪農が村民の生活を支えてきた。事故の時点で人口の半分に及ぶ3000頭もの牛が飼われていたという。しかし全村避難が決まり、村で牛を飼いつづけることができなくなって、牛飼いたちは家族同様に接してきた牛たちを手放さざるをえなくなる。
 本作品に登場する3人の女性牛飼い=べこやの母ちゃんも、苦渋の決断を迫られる。牛を手放した人、他地域に移住して牛飼いをつづけた人、村を離れた人、戻った人。それぞれの道は異なれど、村への、牛への思いは同じだ。
 原発事故は、彼女たちのそれまでの人生を一変させた。その理不尽さに抗いながら、彼女たちは前を向く。
 事故後に福島に移り住み、飯舘村の女性たちに焦点を当て映像を撮りつづけてきた古居みずえ監督の、『飯舘村の母ちゃんたち 土とともに』につづく飯舘村の女性をテーマにした第2作。3人の女性たちの11年が3時間の作品に凝縮される。3組の夫婦愛の物語でもある。
 2023年3月11日〜17日の東中野ポレポレ坐での上映を皮切りに各地で上映予定。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?