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義母との距離

 奇しくも実の母と義理の母の名前が同じである。字は違うけど。
 父も義父もすでに他界して、2人の母はそれぞれが単身暮らしている。
ひとりになってしまった当初は悲しみと戸惑いで気持ちも不安定ではあったけど、生活は問題なくできた。
 2023年。母82才、義母86才。2人とも大きな病気はせずにきたけど、母は今月ペースメーカーを入れる手術をする。義母に至ってはかかりつけ医もいない。つまり、病院に行き慣れてない。同世代のご近所さんや友だちが軒並み病院に通っている。整形外科、眼科、内科など。医者にかかってないことが自慢、というか支えになっているようだ。年金暮らしですごく節約しているし。
 だけどずっと元気なわけない。目が見えないって数年前に眼科に行ったけど、新調したメガネが高い上に見えないし、白内障の手術をした方がいいと言われたらしいけど嫌で勝手に通院をやめてしまった。一緒に行くからと何度か説得を試みたけど失敗。まだ見えるし、迷惑かけないから大丈夫と。それで喧嘩にもなってもう放っておいた。
 そろそろ大丈夫じゃなくなってきた。毎日、本当に毎日(雨でも雪でも嵐でも)歩いていたから、私よりもどんどんズンズン歩いていた。先週一緒に歩いたら速度が遅くなって蛇行するように歩く。暑い日だったからかもしれないけど心配。何か対策をしなければならない。
 義父が他界した後、義母の性格がキツくて子どもたちが近寄りにくくなったのと、コロナ禍が並行してしまった。嫁という他人だからこその絶妙な距離は良い方にも悪い方にも転がれる。本来私は善人ではない。
 闇落ちしそうな私の背中に友だちが「大丈夫、そうは言ってもあなたは絶対に見捨てない」と呪いの呪文をかける。ありがとう、たぶん頑張る。

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