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了解度向上に向けた当事者との協議 ー CPM 日常コミュニケーション遂行度測定 (2)

CPMでは,まず第1〜2段階で,発話障害のある人(本人)が,よく会話する相手を特定した上で,本人と会話相手の双方に個別に,会話了解度等の自己評定を依頼します.
会話了解度というスケールを用いて,当事者が普段のコミュニケーションを数値化し,言語聴覚士と共有することは,日常コミュニケーションの課題をみつける糸口となり,改善に向けた協議が進めやすくなると感じていいます.

<第3段階> 問題点の詳細の協議と目標の設定

ここでは,当事者による会話了解度,満足度の自己評定結果をもとに,対象者に評定の理由について具体的に話してもらいます
関係者が協働して,コミュニケーションの成否にかかる要因(了解度阻害因子,了解度促進因子)を探索していきます.
そして,当事者の思い,ニーズをもとに改善に向けての方策を協議します.

対象者によっては,この第3段階で,現状への認識が深まり,評定値を修正する場合がありうるので,筆者らは,この段階の最後に,会話了解度,満足度を再聴取しています.

会話了解度は,「聞き手による発話の理解度」と定義されていますが,自分の発話意図を把握している発話障害のある人自身も評定することで,聞き手(会話相手)と相互確認したり,コミュニケーションを振り返る端緒となります.そして,納得してその後の対応が可能になると考えています.

<第3段階の質問例>
・(会話了解度・満足度の評定結果について)この評定にしたのは,なぜですか?
・あまり伝わらなかったのはなぜだと思いますか?
 (伝え方,相手の準備(聞く姿勢),状況(距離,対面/非対面など),騒音環境,会話の内容など)
・よく伝わったのはなぜだと思いますか?
・どうしたら,もっと伝わると思いますか?
・(必要に応じて,了解度,満足度を再聴取した後に)ことばの言いにくさがなかったら,やってみたいと思うことがありますか?

<第4段階> 会話了解度・満足度の再評定

STの介入後に,対象者に再評定を依頼します.改善の有無を確認し(介入効果の測定),それ以降の方針を関係者で協議します.

以上,会話了解度測定法の一例を紹介しました.

次に,CPMの適用の実際例,会話了解度・満足度評定の信頼性,会話了解度と満足度,会話了解度(当事者の自己評定)とSTが評定する会話明瞭度の比較結果について述べていきたいと思います.


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