全肯定オタクと全肯定しないオタク


VTuber(主に にじさんじのライバー)の活動を一年弱追ってきて、新しい価値観や新鮮な体験に触れたくて前のめりに熱狂していた時期もあった。
また、推しのささいな言動から不信感が芽生え、それに苦悩して活動から距離を置いたりしたこともあった。


推しを全肯定していた時期も全肯定出来なくなった時期も経て、今は割と心が落ち着いている。
自分がこの界隈に居て色々感じたことを記録する意味も込めて、自分なりの意見や、共感できて自分の糧になった考えを書いてみたいと思った。



推しを全肯定すべきだと考える人、そう考えていた時の自分の意見


◎前提条件として、推しは好きで推しているものである。推しのことが好きだからその活動や言動を好んで見ている。自分が好きな人のやることに対してケチをつけるべきではない。


◎SNSなど、多くの人の目に留まる場所で推しに否定的・批判的な発言をする人の心情が理解できない。近年、誹謗中傷についての関心が高まっていることも相まって、人を傷つける可能性がある言葉を発信するべきではない。


◎単純に、自分が楽しんでいるところに水を差されたくない。


自分の好きな人に否定・批判的な言葉を投げかける人が許せない。本人に対して必ずしも言わなくてもいいようなことを、わざわざ言っているように感じる。推し自身もきっと色々考えていてその疑問や悩みに辿り着いているかもしれないのだから、改めてそれを言う必要はない。


推しのことが嫌いになったらそっと離れるべきである。配信者はリスナーを選べないが、リスナーは配信者を選ぶことが出来るのだから。


◎一介のリスナーが推しの活動方針や価値観について批判的な意見を述べるべきではない。リスナーは推しの活動を見させてもらっている壁であり、プロデューサーでもマネージャーでもない。


◎推しが炎上し大多数から責められているとき、それに加担してはいけない。本当に推しが好きなら、推しが辛い状況にあるときに推しを更に責め立てるようなことはしてはいけない。今まで自分がその推しに楽しませてもらった時間は嘘ではないはずだ。自分の推しを信じてあげてほしい。


推しを全肯定出来ないと考える人、そう考えていた時の自分の意見


全肯定という極端な概念やそれに則る論調がそもそも好きではない。


◎誰しもがVtuberの活動を見ることができるような万人に開かれた状況においては、その活動について多様な意見が述べられる環境であってほしい。


◎好きで推しの活動を見ていたのに、発言や行動を不愉快に感じたり自らの価値観と合わない場面に出くわすことがある。最大限配慮して言葉を選んでいたとしても、ささいな愚痴やぼやき程度のことすらも言ってはいけないというのは厳しい。


◎全肯定はいわゆる脳死(自分の言動について何も顧みず、感じるまま本能のままに行動する状態)と呼ばれる行為であるように感じる。自ら進んで脳死するような行為をしたくない。推しが人間であるように、リスナーも人間である。考えることをやめたくない。


全肯定を是とすることでリスナー間の同調圧力と簡素で大味な言葉だけが蔓延するような環境が生まれ、推しの諸活動への感想を述べる際に細かいニュアンスや推しの個性や特色の詳細を言い表すための語彙が失われていくように感じる。それは果たして良い環境と呼べるのか。


◎好きや嫌いという感情は複雑なもので決して一元的ではない。自分でも完全には理解できない複雑な感情の詳細を解き明かすために、好きを語ることは許されて、嫌いを語ることが許されないのはなぜなのか。


成果物を提出した後にそれに対する他人の意見のフィードバックを受けることは重要である。一概に、推しに要望を伝えることが悪いことだと考えている人もいるようだが、Boothで販売されているボイス作品について感想以上の要望を述べることや、筋道だった根拠に基づいた指摘をすることは批判される対象なのだろうか。


◎一般的な社会通念や倫理観に照らしても明らかに誤っていることや、活動内容を見て不快に思う人が多数を占めるような状態においても、それに言及したり意見することは果たして間違っていると言えるのだろうか。


今の自分の考え


脳死全肯定はしたくないし、考えることをやめたくないけれど、推しのいい所を見つけてそれを自分の言葉で噛みくだいて再発信したり、無限に褒めそやすことも、ちゃんと説明できる理由があるなら悪いことだとは思わない。
推しの活動を見てそれに対して感想を述べることはやめたくないし、その感想は必ず全肯定でなければいけないとは言われたくない。極端な論調で自分の行動を否定されたくない。
そのためには十分に配慮をして、言葉を選んで、他人を共感させたり納得させられるような文章を書けるようにならなければいけないと思う。
個人的に思うのは、感想と名の付く文章は限界オタクが感情を曝け出しただけの拙い文章ではいけないと思う。


VTuber業界が、他のオタクの楽しみ方に同調しなければ楽しめないような狭苦しい界隈になってほしくない。
全肯定をする楽しみ方も全肯定しない楽しみ方も許容して、他人のやり方に攻撃的にならないように心がけたい。

オタク同士がくだらないことでマウントを取り合ったり謗り合うような姿は見苦しく、全く面白くないので見たくない。


以上、拙い文章でしたが、読んでくださった方ありがとうございました。


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