【FX】基礎講座③

テクニカル指標

テクニカル分析で使用するテクニカル指標を大別すると、3つに分類することが出来ます。
①トレンドフォロー指標
②オシレーター指標
③その他の指標

・トレンドフォロー指標
移動平均線、MACD、ディレクナルシステム、パラボリック、エンペロープなどがあります。特徴は、価格に対して一致または遅効性がある指標で、相場の方向性を計るのに適しています。

・オシレーター系指標
RSI、ストキャスティック、%R、RCI、サイコロジカル、垂離率などがあります。
特徴は、価格に対して一致または先行性がある指標なので、比較的短期の相場のタイミングを計るのに適しています。

・その他の指標
出来高、ポリンジャーバンド、一目均衡表などが代表的です。特徴は様々ですが、トレンドフォロー系、オシレーター系指標を補完する形で使います。

・テクニカル指標の組み合わせ
万能なテクニカル指標は、歴史上今のところありません。そこで一長一短のある各指標を組み合わせて使うことで短所を補い合った形で利用します。

例えば、トレンドフォロー系の指標でトレンドの方向や強さを確認して、オシレーター系の指標で、短期的な行き過ぎを確認してエントリーのタイミングを計るとか、価格は下がっているがオシレーターが上がっているから買いの準備をするといったような組み合わせが有効的です。
余り複数の指標を組み合わせるより、2~3の組み合わせで、なるぺくシンプルに分析した方が有効だと考えてよい。

ストキャスティクス

「売られすぎ」や「買われすぎ」を示す代表的なテクニカル指標でジョージ・レーン博士により開発されました。オシレーター系(振幅を測る)の分析手法で、高値、安値、終値から計算された、
%K=短期線、%D=中期線、%SD=長期線の3本の線からなります。

今の価格が、これまでの値動きに照らし合わせて、どのよう位置にあるのかを示すものです。過去9日或いは5日間を期間として採用するのが一般的です。%Kはより早く価格の動きに反応し、%D、%SDは緩やかに価格に反応します。この指標は価格が下落するときは1日の安値近辺で取引が終了し、上昇するときは高値近辺で取引が終了しやすいという前提のもとに開発されています。

%K=(直近の終值-n日間の最安値)-(n日間の最高値-n日間の最安值×100)

%D=(直近3日間の(直近終値一n日間の最安値の合計)(直近3日間の(0日間の最高値一n日間の最安値)の合計)×100

%SD=(直近3日間の%Dの合計)+3x100

ストキャスティックによる買いのサイン

・%Kと%Dラインの20%以下ゴールデンクロス
・%Dと%SDラインの20%以下ゴールデンクロス
・ローソク足との逆行現象

ストキャスティックによる売りのサイン

・%Kと%Dラインの80%以上デットクロス
・%Dと%SDラインの80%以下デットクロス
・ローソク足との逆行現象

RSI

J.ウエルス・ワフイルダー氏により考案された、売られすぎ買われすぎを示す代表的指標。RSI(相対力指数Relative Strength Index)は、価格の全体の変動幅(前日比の総計に対してエ幅(前日比ブラスの日の総計)がどれだけあるかを表す指標です。指標の設定期間は9〜14日が多く使われています。

RSI=(一定期間の值上幅合計/一定期間の値上幅合計+一定期間の值下幅合計)x100

RSIの買いサイン

・RSIが20~30%以下の数値を示したあと、20~30%を上抜く時
・逆行現象の時

RSIの売りサイン

・RSIが70〜80%以上の数値を示したあと、70〜80%を下抜く時
・逆行現象の時

一般的にはRSIが70〜80%上の数値を示す時は買われすぎ、20~30%以下を示すとき売られすぎとしてみて、20〜30%以下になったら買い、70~80%上になったら売り、という逆張り指標としても使われたりしますがこれには注意が必要です。
RSIの特徴として、「もみ合い相場に強い」、「売買のシグナルは実際の価格より早目に出ることがある」、「大きなトレンド変化には対応できない」

RSIの逆行現象

B.ローソク足が高値圏で推移している時期に、ローソク足が直近の高値を更新し、新高値をつけたにも関わらず、RSIが直近の高値の時よりも低い数値を示している場合は、弱気の逆行現象で特にRSIの70~80%以上の水準でこの動きが現れたら、反落のサインとみます。

D.反対に底値圏で推移している時期に、ローソク足が直近の安値を更新し、新安値をつけたにも関わらず、RSIが直近の安値の時よりも高い数値を示している場合は、強気の逆行現象で、特にRSIの20〜30%以下の水準でこの動きが現れたら、反転上昇が近いサインとみます。

MACD

MACDはジェネラルド・アベル氏が考案したテクニカル指標です。
2本の期間の異なるEMA(指数平滑移動平均線)の価格差の伸縮に着目し、その動きによってトレンドの方向、およびその転換の兆候を把握する狙いで作られました。

Divergence(移動平均の収数と拡張)」の頭文字を並べたもの12日間と26日間のEMAの差をMACD線、さらにその数値の9日間のEMAをMACDシグナル、または単にシグナル線と呼び、この2つの線の動きによって売買判断を行う、というものです。
グラフの中央に引かれた線は、「ゼロ・ライン」と呼ばれ、MACDの値がゼロとなる地点を示しています。

ゼロ・ラインを起点に上下に伸びる縦棒の連なりは、MACD線とシグナル線の値の差を表しており、2本の線の垂離幅を視覚的に見やすくするためのものです。ほとんどのチャートソフトでは、2本の線とともに表示することが多いようです。

MACDの買いのサイン

①MACDとシグナルとのゴールデンクロス(GC)
②ローソク足との逆行現象

MACDの売りのサイン

①MACDとシグナルとのデットクロス(DC)
②ローソク足との逆行現象

MACDの買いの逆行現象

下図ではローソク足は下値を切り下げているのにMACDは逆に下値を切り上げています。このような現象を「逆行現象」といいます。
MACD指標での一般的な買いサインは、MACDとMACDシグナルとのゴールデンクロス(GC)とデットクロス(DC)ですが、スイングトレードではこの売り買いサインに「トレンド」や「トレンドの強さ」「トレンドの局面」を理解するのにもMACDを利用します。

例えば下図のA地点を上昇トレンド入りとみなし、これ以降は「買いトレード」を中心としたトレードプランを立案する、というような利用の仕方をします。

さらにC点付近ではMACDが高値圏内に入っているので、上昇トレンド最終局面の可能性を考えて「無理な買いのトレード」を控えたり、「価格の推移を見守る」といった利用の仕方をします。D点以降は下降トレンド入りとみなし、これ以降は「売りトレード」を中心としたトレードプランを立案したり、E点付近では下降トレンドが継続していることを確認し、ここでも「売りトレード」を中心としたトレードプランを立案する、というような利用の仕方をします。

ポリンジャーバンド

ボリンジャーバンドはJボリンジャーが開発したテクニカル指標です。ポリンジャーパンドはある期間の移動平均線をもとに算出された幅(標準偏差)を、その価格の上下に描いたものです。

統計学上、「平均値土援準偏差」内にデータが入る確率は68.27%T平均値士標準偏差の2倍」内にデータが入る確率はS5.47%「平均値土標準偏差の3倍」にデータが入る確率は99.73%であるとされています。

そこで、ポリンジャーパンドは20日間の移動平均線から上下それぞれに2標準偏差 離れたラインを使用します。つまり、「統計字的に考えて95.47%の確率で、価格はこのラインより内側で推移するはずだ。」という考え方です。

Σを期間中の終値から求め、その値をその日の移動平均に加算・減算してポリンジャーパンドは描かれます。n日間のボリンジャーバンドのの計算式は以下の通り

σ=√[(n ×終値の2乗の合計一終値の合計の2乗)-(nx(n-1)]

これに2をかけた値が20、3をかけた値が30です。この計算式はともかくとして、重要なのは、期間中の価格の変動によって、σの値もそれにつれて変わるため、ボリンジャーバンドの幅が、そのまま期間中のボラティリティの大きさを示すということです。

上に位置する標準偏差線はアッパーパンドと呼ばれ、移動平均の数値に20を加算したラインです。(平均値+標準偏差の2倍)

下に位置する標準偏差線はロワーパンドと呼ばれ、移動平均線から20を減算したラインです。(平均値一標準偏差の2倍)ボリンジャーバンドでは、このラインと価格の位置を観測して売買のポイントとします。

ポリンジャーパンドの逆張り売買①

統計学上では、相場が正規分布である場合「株価が移動平均線士2σ付近にある」というのは価格の行き過ぎと捉えます。

そのためバンドの外側に存在する確率は極めて少ないということになり、ここが売買のポイントになります。つまりアッパーバンドについた時や飛び出した時に売りサイン、ロワーバンドに付いたときや飛び出したときに買いサインとなります。

ポリンジャーバンドの順張り売買②

価格が95.47%の確率で存在するはずの20標準偏差線からはみ出したということは、極めて強い変化であり、新展開を示す「強い新勢力の出現」とも考えられます。この考えは「逆張りポリンジャーバンドの売買ポイント」とは反対の考えになります。この考えでは、価格がアッパーバンドまたはロワーパンドを抜けた際、抜けた方向へトレードする方法をとります。つまりアッバーパンドを上に抜けた時に買い、ロワーバンドを下指はた時に売るというトレードになります。
正規分配を表すグラフ

チャートの基本前提①〜③

①「市場の動きはすべてを織り込んでいる」
チャートでは、「価格レートには、価格レートを動かす全ての要因が織り込まれて動いている」ということが第一の前提になっています。国内外の景気変動も金や原油価格も円高も政治的なことも災害のようなことさえも織り込んだ結果、この価格レートの動きになっているという考え方です。

もちろん、チャートを見ていれば、これからの出来事が事前に予測できるということではありません。ただ、例えば株式相場において、業績が下方修正された場合でも、その会社に期待して買いたいと思う人の気持ちが強ければ、価格レートは一時的に下がっても早い段階で下げ止まります。
反対に「こりゃダメだ。売ろう」という人の気持ちが強ければ大きく下がります。

つまり、相場が強気だということは「買いたい」と思わせる何らかの要因があり、相場が弱気なら「売りたい」と思わせる何らかの要因があります。その要因が何であれ、価格レートの動きは、強気であるとか弱気であるという相場の心理の結果を示すといった考え方なのです。しかし、だからといって景気や業績、金利政策をはじめとするファンダメンタルズ(基礎的要因)は全く見なくてもいいというわけではありません。
長期的には強く影響しますのでファンダメンタルスもしっかり見ておいた方がよいわけです。複合的な要素の中のひとつの指針になります。

ただ、注目した銘柄の価格レートがどちらの方向に行く可能性が高いのか、これから下に行く可能性が高そうなところで買ってしまうような失敗を避けるためにも、チャートを見てタイミングを計ることか大切になってきます。それがチャートを見る第一の意味といえます。売買で大切なのはあくまでもダイミングなのです。株式市場のチャートであれ、為替市場のチャートであれ、チャートには、全ての要因が織り込まれて働いているということなのです。

②「価格レートの動きはトレンドを形成する」
トレンドとは「傾向」とか「方向性」という意味です。価格というのは上下の変動を繰り返していますが、それを少し大きくとらえてみると右肩上がりになるとか、右肩下がりになるというような一方向のトレンドを形成し、ある程度継続します。これがチャートを読む第2の前提になります。

例えば、買いたい人の気持ちが強い「強気」の相場では、価格レートが下がることがあっても前の安値よりも上で下げ止まり、再び上昇して前の高値を抜いてきます。この動きが繰り返されると、短期的には上下の動きはあっても、少し長い期間で見ると右肩上がりの軌道を描くことになります。これが上昇トレンドの動きです。

価格はトレンドを形成するという前提に立つと、今継続しているトレンドは反転するよりも継続する可能性が高いという推論が成り立ち、今のトレンドに乗れば、損をする可能性よりも利益が上がる可能性のほうが高いことになります。「トレンドイズフレンド」という格言もありますが、まずトレンドを把握することに重きをおくことが重要なのです。

③「歴史は繰り返す」
「将来の予測は過去を見よ。」政治、経済、流行など歴史を見ると、同じようなことが繰り返されています。また、勤めて3ヶ月くらいで会社を辞めてしまう人は次の会社でも3ヶ月もつかもたないか?といった予想が出来たりします。

価格レートの場合も、まず過去の動きを知ることから始まります。もちろん未来の予測がすべて的中するわけではありません。先ほどの退職者も、次の会社ではなぜかうまくいって定年まで勤めることだってありえます。ただ、過去の事実が分かっていれば、この人が3ヶ月を過ぎても会社を辞めないとなると、「今回は何か違うぞ」という新たな予測が出来きます。大きな変化の兆しにも気付くわけです。

つまり、過去を知ることには大きな2つの意味があり、1つは、過去の実績によって「この水準がポイントだろう」という目安をつけること。もう1つは、そのポイントを知っておくことによって新しい変化の兆しをつかむことです。

また、別の観点で言えば、人間の心理というのは時代が変わっても変わるものではありません。
相場が極限状態になった時にはチャートの形は、同じようなパターンを形成しやすいという考え方もあります。要するに、相場が天井圏を形成する時にはチャートの形がこんなパターンになるとか、底値から発するときにはこんなパターンが形成される、といった経験則に基づくものです。
これを知っておくことも、相場の転換点を予測し、把握するうえで大いに役に立つことになります。


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