【FX】実践編④

大数の法則と勝率

「試行回数をできるだけ多くすれば、そのもの本来の確率に近づく」というのが大数の法則の概念です。「試行回数を無限大にすれば確率通りになる」ということです。

例えばコインを10回投げて、8回が表で2回が裏だったとすると、ここまでの表の出た確率は80%です。本来コインを投げて表の出る確率は50%ですから、80%というのは本来の確率と大幅に異なることになります。そこでもっとコインを投げ続けてみるとどうなっていくだろうか

延々とコイン投げを繰り返せば、表の出る確率、裏の出る確率、それぞれの確率は限りく50%に近づいてくる。無限大に試行回数を繰り返せば、総確率は本来の確率に近づく。こうした考え方を大数の法則といいます。

トレードを始めたばかりの頃に相場の地合いが良く、だれでも勝てる相場だと10回トレードして9回くらい勝てることもあります。勝率は90%です。しかし、この状態が自分の実力だと思っていると、全体相場が変化した時、資金は急速に減ってしまうことになります。

本来相場での売買は、上がるか下がるかの確率であり、コイン投げと変わらない。無作為のトレードならば、トレードを重ねれば重ねる程、勝率は限りなく5割に近づく。トレードの場合、手数料やスプレッドなどが発生するので、益がプラスになる確率は5割以下となります。

短期トレードは勝率を1%でも2%でも高め資金を増やすために、ローソク足やチャート、テクニカル分析をします。しかし大数の法則が働けば、トレードをすればするほどその勝率が10割から離れ、5割に引っ張られていく可能性が高い、ということを認識する必要があります。

例えば、株式市場で、日経平均を「寄り付きで買って、終値で売る」という単純な売買を繰り返して実験しました。その日が陽線でプラスの場合を「勝ち」、陰線でマイナスの場合を「負け」としました。とあるトレーダーの過去のデータを調べてみると、2002年1月4日から2002年12月27日までの1年間では全243トレード中、勝ちトレード110回、負けトレード132回、プラスマイナス0が1回という結果になります。勝率45.3%、負率54.3%。

次に1998年1月4日から2002年12月27日までの場場合の5年間では、全1227トレード中、勝ちトレード571回、負けトレード654回、プラスマイナスゼロが2回という結果になる。勝率46.5%、負率53.3%です。

1993年1月4日から2002年12月27日までの場合の10年間では、全2462トレード中、勝ちトレード1176回、負けトレード1284回、プラスマイナスゼロが2回という結果になります。勝率47.8%、負率52.1%。表にしてみます。

この表から2つのことがわかります。

①大数の法則通りにトレード回数を重ねれば重ねるほど、勝率、負率ともに50%に近づいている。
②こんな単純なトレードでも10年間で勝率は5割に近い。

少なくとも過去10年では大数の法則が証明されています。そしてこの10年間で日経平均は49.2%もの下落をしています。銘柄の入れ替えなどがあるものの、単純に日経平均の価値は約半分になっている極度の下げ相場の中でも「寄りで買って、引けで売る」という単純な戦術で10回中5回近くも勝てることになります。

この期間は、日本株を中心に構成されたファンドを買うよりも、資金管理を理解して「朝買って、午後売る」というトレードをしたほうが、プロが運用するファンドよりも利回りは良かったはずです。ここで言いたいのは、勝率を1%でも上げるために様々な努力をする必要はありますが、それと同時に、たとえ勝率が50%でも資産が増えるという方法を考えておく必要もあるということです。

重要な相場の公式

勝ち5回×利益2ポイントー負け5回×損失1ポイント=プラス5ポイント=資産の増加上記の式の答えを最大化するために、私たちは利益を伸ばし損失を抑えます。

10戦10勝の秘法は、ありえないと割り切り、複合的な分析により、自ら判断を下し、少しでもトレードの精度を上げることに加え、資金管理をしっかりすることに集中します。様々な分析手法に加え、損失を限定するとともに、利益を損失よりも大きくするために資金管理に関することは
押さえておく必要があります。

資金管理

資金管理とは、例えば、あなたが投資資金1,000,000円で勝率90%の投資ソフトのサインでトレードをしました。でもあなたは最初のトレードで990,000円を失ってしまいました。これではもうトレードができなくなってしまいますから、そうならいためにちゃんと管理しましょう!ということです。あなたがこれから3年後に家を立てるお金を稼ごうと思っていても、数回のトレードで資金を無くしてしまっては、3年後の家は永遠にやってこないということになります。

資金管理の一番の目的は相場で長期に渡り「生き残る」こと。あなたが相場で生き残れない限り、トレードで資産を築くことはできないのですから「儲ける前に生き残ること」が最優先になります。多くのトレーダーは成功する前に破産してしまうのです。あなたはトレードで満足のいく資産を築くようになるまで相場で生き残らなければなりません。そのために必要不可欠なものが資金管理なのです。

サイクルを活かす

レイモンドAメリマンの提唱するメリマンサイクル論に基づき、サイクルをカウントし、その優位性を活用する。

サイクルのカウントにおいては、相場の底で1とし、天井、そして再び底までの間をカウントします。サイクルは、一定の間隔で繰り返し起こる現象とされています。この天井と底の時間帯を把握し、取引に活用します。底を起点といい、終点の底がまた起点となります。

今回は、主に4時間足の数をカウントしますが、その上位サイクルである日足(メジャーサイクル)と週足(プライマリーサイクル)も、併せてカウントします。

4時間足サイクルの(底から天井、そして底まで)周期は、60〜80本前後と定めておきます。

日足によるメジャーサイクルは、35〜45本前後と定めておきます。
週足によるプライマリサイクルは、24-36本前後と定めておきます。

この一定間隔は、数年おきに見直す必要はありますが、各サイクル内に収まる確率は80%以上あると提唱者メリマンはいいます。この優位性を活用します。

サイクルの構成では、大きなサイクルがプライマリーサイクル(PC週足)、その内側に収まる形でメジャーサイクル(MC日足)、さらに内側の小さなサイクルが4時間足サイクル(4HC)となります。

大きなサイクルの中に、3-4の小さなサイクルが構成され、各時間軸の一番高いところは、プライマリーサイクルのトップと同じタイミングとなります。(プライマリーサイクルトップは、週足の天井になります。)

大きな波は、小さな波を支配するとされていて、メジャーサイクルトップを付けたら、4Hサイクルはダウントレンドに変わり、ブライマリーサイクルトップを付けたら、メジャーサイクルはダウントレンドに変わります。

メンャーサイクル(MC)内に収まる4時間足サイクル(4HC)は、左から、第14時間足サイクル、第24時間足サイクル、第34時間足サイクルと呼び、プライマリーサイクル(PC)内に収まる3-4つのジャーサイクルも、左から順に第1MC、第2MC、第3MCと呼ばれます。

サイクルの形状において、サイクルの中央より、左側で天井を付ける場合(天井の出現が早い、レフトトランスレーコンと呼び、この場合は、ダウントレンドであり、サイクルの起点を割りこむ可能性が高いと判断します。

サイクルの形状において、サイクルの中央より、右側で天井を付ける場合(天井の出現が遅い、ライトトランスレーションと呼び、この場合は、アップトレンドであり、サイクルの起点より上で終点を付け、上昇を開始する可能性が高いと判断します。

エントリーを検討する際は、損失を1-2%程度に限定したポジションサイズを選択しましょう。基本的には、100pips負けても、20pips負けても、負ける金額が同じになるように設定すること(例えば、10万通貨で20pips負けた時と、2万通貨で100pips負けた時は同じ金額です。)

損切りラインに価格が近いた場合は、追加エントリーを考えます。なるべく引き付けてエントリーできるのが理想です。

起点を割れた場合は、再度そのサイクル内で高値を更新することはないので、もし超えた場合は、サイクルの起点が違うと考えます。

このレフトトランスレーションでの特徴を知っていると、起点を割った後、天井付近まで戻ってきた時に、天井の上に損切りラインを置いてのショートエントリーが有効となります。

また、ライトトランスレーションでは、起点を割らないという特徴があるので、起点のレベルに引き付けてロングエントリーを検討します。

PIVOT

ビボットポイントでは、チャートが反転したり、ビボットボイントを超えるところから値動きが強くなったりすることがあります。
一般的なピボットの計算は、前日の日足の高値、安値、終値を使って計算されます。

ピボットポイント=(高值+安值+終值)+3

R1(レジスタンスライン1)=(2×ピボット)-安値
S1(サポートライン1)=(2×ピボット)-高値

R2(レジスタンスライン2)=ピポット+(高值-安值)
S2(サポートライン2)=ビボット(高值-安值)

R3(レジスタンスライン3)=高值+2(ピポット-安值
S3(サポートライン3)=安値・2(高値-ビポット)

エントリーするまでに

エントリーを検討する前に、まず、環境認識と呼ばれていますが、上位足で方向性を見て、買いか売りかを検討します。その後、トレードの計画を行います。そして細かい下位時間足で、エントリーのタイミングを計ります。

上位足というのは、時間足をメインで取引する場合は、日足や週足です。分足をメインで取引する場合は、30分足や時間足です。あらかじめ上位足を観察して、すでに方向を決めておきます。

そしてエントリーのタイミングを計る場合は、細かい分足を使います。
以下のようなチェックをしましょう。

・現在の時間帯
・レジスタンスライン、サポートラインの確認。
・短期中期長期移動平均線の順番と角度。
・ボリンジャーバンドなど。
・MACDなどの逆行。(ダイバージェンス)
・値動きの速さ、激しさ、等、雰囲気。
・底堅さ、天井堅さなどチャートの形状。
 (ダブルトップ、ダブルポトムなど)
・前日や直近の高値、安値など。
・他通貨の動き。
・他の市場の動き。
 (日経先物、ダウ先物、ニューヨーク原油、金)

トレンドを見る

二本のローソク足

前日の日足の安値を1時間足の終値が下回る場合
前日の日足の高値を1時間足の終値が上回る場合

1時間足の安値を5分足の終値が下回る場合
1時間足の高値を5分足の終値が上回る場合

トレードの計画では


①ストップの位置を決めます。

②エントリーポイント、目標値(リミット)を決めます。エントリーポイントが複数ある場合、平均コストを出します。すると、ストップまでの値幅(リスク許容)も決まります。リミットも分割で決済することも多いでしょう。

③リスクを許容する金額は、全体の証拠金に対する割合で決めることが好ましく、1%~2%くらいがよいでしょう。実際にストレスとならない範囲で決めましょう。許容できる範囲でエントリーし、無理にリスクをさらす必要はありません。

④適正なポジションサイズを決めます。許容する値幅と金額が分かれば、ポジションサイズも算出できます。通貨によっては、ポジションサイズが異なる場合があります。

⑤リスクリワード、レバレッジを確認。

⑥成り行きと、指値(分散売買)を使い分けます。

「船が沈み始めたら祈るな。飛び込め。」

という相場の格言を覚えておきましょう。
アマチュアは、ポーカーゲームにおいて、カードが自分に有利になるように祈るが、プロは、カードが自分に不利になうた場合に、どのように自分を救うかを学ぶそうで、「勝負から手を引く時を知ることが重要なのだ」と語ります。このことは、トレードでも全く同じです。

船が半分も海水に浸かるのを待っていてはいけないので、沈み始めたら、飛び込める位置に、ロスカットポイントを、毎回、あらかじめ設定しておくことが重要なのです。

テクニックや手法が上達してくると、勝ち続けたり、利益が急増したりして、自信が出てきます。

人は、そういった時ほど損切ができなくなり、失敗を認めることを購踏(ためら)います。日頃から、自分は間違っていることを常々認識しておきましょう。この選択は、間違いなので、直ぐ次に切り替えましょう。


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