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021 ホノルルマラソンから、10年。

バーン˗ˏˋ ˎˊ˗ バーン˗ˏˋ ˎˊ˗ ババーン˗ˏˋ ˎˊ˗ 

頭上に打ち上がる花火に
ひしめき合った世界中のランナーの顔が
パァッと照らされて、歓声でその場は包まれた


10年前のあの時を私は鮮明に覚えている。


スタートはまだ日が昇る前の午前5時。
世界中の人々が肩と肩を寄せ合い
かつて感じたことのない熱気
様々な言語と様々なコスチュームで
まさにお祭りが始まるかのような高揚感
体の小さい私たち日本人女子5人は
鳥肌と興奮を抑えながら
「大丈夫!できる!」と円陣を組んで抱きしめ合った

スタートは感情が高ぶって
ジェットコースターのようだったけど
そこから走りながら変わっていく景色の美しさに
ずっと 静かに 心が泣いていた

ワイキキの海から朝日が登ってきて
水面がキラキラと輝いて眩しかった
ハイウェイの道ではヤシの木が
青い空と共にどこまでも続き ゆったりとなびいていた

沿道では声援が続く

「you can do it!!」
「good run!!」
「go go your dream!」

何百回声をかけられたか分からない
時にハイタッチされたり
花びらのシャワーをかけられたり。

カハラの住宅街に入ると自分の庭に
手作りのお菓子や飲み物をエイドしてくれる人々
ギターやウクレレの演奏で癒してくれる人もいた

だんだん足の痛みと空腹で
苦しみに目がいく。

「なんで走ってるんだっけ」と問いかけ始めたりして。
その度に私たちは仲間の顔を見て存在を感じ、
お互いにそっと背中を押し合って。
自分と向き合って。


その半年前、私たちは
カフェでこんなことを語り合った。
「もうすぐ皆ステージが変わっていくよね。
 今みたいな時間は過ごせなくなるから、
 みんなで大きなことにチャレンジしない?
 例えばホノルルマラソン、とか。」

そこから半年、
仕事帰りに集まっては走って。
休日もコーチをつけて走って。
ハーフマラソンに挑戦して。
まるで部活みたいだった。

そんな大切な大切な仲間と一緒に
今ハワイで走っている
仲間への感謝
家族への感謝
ハワイへの感謝
私たちを包んでくれている大自然への感謝
そして
これまでの自分の人生への感謝を感じながら

残り3キロはもう全員泣きながら
最後は手を繋いでゴールした。




人生で一番「嬉しかった」経験は?と問われて
一番最初に思いついたのが、この記憶だった。

受験、恋愛、留学、結婚式、出産。

私の人生に他にも大きく心が震えた日はあったけれど、「嬉しかったこと」という言葉が一番似合うのはホノルルマラソンだった。


それは、


挑戦することに 大きな喜びを感じたから

大自然に包まれることに 大きな喜びを感じたから

自分と向き合う時間に 大きな喜びを感じたから

心の中が感謝で溢れることに 大きな喜びを感じたから

心が震えて泣くことに 大きな喜びを感じたから



私の心は、これらがあれば最高に幸せになれる。



あれから10年。


私は今。

エッセイストに挑戦している。
自然に囲まれた青い空の下で、今日もコーヒーを飲みながら書いている。
自分を内観して、静かに言葉を降ろしている。
今朝も感謝して一日をスタートし、眠る瞬間まで誰かに感謝している。
毎日心震わせて書いている。心震えることが、毎日起きる。


自分の心が究極に喜ぶことを、毎日できている。

ホノルルマラソンの絶景に
ずっと泣いていたあの日のように
私の心は ずっと 静かに 泣いている。


もし、自分の心が究極に喜ぶ説明書が欲しかったら

今日、ノートを開いて

「これまでの人生で1番嬉しかったこと」を
思い出してみてください。

そして、何が嬉しかったのか、
書いてみてください。

そこに、もう、あります。

自分の心が最高に喜ぶことが、その中に。


10年前の私に ありがとう


You can do it!

そして

I can do it !


おわり


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