シン・エヴァの感想

※ネタバレ注意
 3月8日に劇場版シン•エヴァンゲリオンが公開されましたね。私も公開初日に一人で映画館に足を運びました。旧劇の時の熱気には及ばないにしてもかなりの人集りができていて、エヴァ人気の根強さに感激しました。感想はもう少し経ってから書こうと思っていたのですが、記憶がどんどん薄れて、その時の感動も忘れていくので、とりあえず早めに何か形に残しておこうと思い今回書くことにしました。
 さて、本題の感想なのですが、これはあくまで私個人の感想であり、解説や考察ではありません。こんな風に見る人もいるのだなぁと思って読んで頂けたら幸いです。またネタバレも含みますので、ネタバレが嫌な人は映画に行ってから読んでみて下さい。
 とりあえず、私の率直な感想としては旧劇と新劇は対になるようなラストだったと感じました。旧劇は「結局、人間は一人ずつ一人で生きていかなくてはいけない」に対して、新劇は「人間は一人ずつだけど、助け合あって生きることはできる」というメッセージ性を強く感じました。なぜそう感じたを踏まえて、今回の映画を掘り下げていきます。
 公開の記念に、旧劇が映画館で観れるということで、私は一人で見に行きました。旧劇は、やはりその"尖り"が魅力的です。観てるものをほったらかしていくような、とにかく強烈に物語が進んでいきます。エヴァはよく、何も分からないと言われますが、私はそうは思いません。ただ解釈が分かれやすいとは思いますが。私は旧劇を一言で言うと、"集合と分散"だと、大学教授に話しました。エヴァのファンの特徴として、熱狂的なファンが多く、好き嫌いが濃く分かれると思います。パッと観て、意味不明だと初めは感じると思います。それが庵野の狙いだと思います。不可解だけど何かとてつもなく大事なことを言おうとしているんではないか、そんな雰囲気がエヴァにはあります。逆に言えば、ただ見た目がグロいから嫌いとか、分かりにくいから面白くないと突き放すような視聴者に対しては全くお呼びではないのだと思います。それが、エヴァの熱狂的なファンを生み出す構造だと思います。また今回のシン•エヴァは、ある意味ではファンサービスの側面が強いと感じました。
 旧劇のラストが個人的に凄く素晴らしいと思います。人類補完計画はある一定のとこまで遂行され、その最後はシンジの自我に委ねられます。このシーンは、かなり多くの人間のトラウマになっていると思います。例えば、戦姫絶唱シンフォギアは、エヴァのオマージュの部分が強いと思います。人間を一つに統合すれば、感情の違いがなくなり、孤独を感じなくなる。しかし、孤独を失えば愛情や人と触れ合う喜びも喪失してしまう。冒頭に述べたように、この物語は人間の"集合と分散"なのです。人間の悲しいさがであり、真実を真っ向から人に突きつける作品だと思います。確かに、薄っぺらい友情や愛情に浸っている人間を見るとウザったらしく感じることは誰しもあります。人間は、他の動物とは違い、知能が高い生き物である故このような高次元の悩みと共存しなければいけないと思います。これは全人類のトラウマであり、永久に解消されない人間の呪縛である、そんなメッセージ性を旧劇の映画から感じました。
 旧劇の映画を描いた後、庵野自身も悩んでいました。確かに、自分が感じた恐怖を視聴者にぶつけたという構造でもあります。新劇では、その庵野の罪滅ぼしのような要素を強く感じました。もう一度、人間とは何か、人間の幸せとは何かを問いただした作品だったのではないかと思います。また、現代の社会問題に対しての庵野なりのアンサーという部分も強く感じました。次はこの点を掘り下げていきます。
 前半のコア化を逃れた村での生活の部分について。前半の村での生活にかなりの時間を割いています。これは凄く面白いと思いました。冒頭のシーンでは、かなり激しい戦闘が繰り広げられ、単に一時的な休息という面もあると思いますが、私自身は現代社会との比較だと思いました。詳しく説明すると、エヴァの社会は技術進化によりハイテクな生活を送っています。それは私たちの住む現代社会においても同じことが言えます。今の社会は、100年前に比べインターネットの普及など目まぐるしく変化しています。しかしながら、私たちの肉体そのものは、原始時代からほとんど変わっていません。
技術が進化するのと、人間の幸福が比例しているとはもう言えない時代に入ったと感じます。むしろ、不幸な人間が増えたのではないかとも思います。その中で、キャンプ動画や原始的な暮らしをしてみたと言った動画が人気を集めているのをよく見かけます。人間の体は、スマホの画面だけ、パソコンの画面を見るだけの生活によって確実に疲弊しています。その中で、原始的な暮らし、自然に囲まれた暮らしに対して、本能的にそれを求めているのだと感じます。そのような状況を踏まえて、シンジがカヲルの喪失で傷ついた心を癒すのに、原始的な暮らしと密な人との繋がりの重要だと強調したのだと感じました。
※長くなりそうなので次に移行します

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