小説「光の物語」第71話 〜新天地 5〜
マティアスはシエーヌの地を知るため、家臣の案内で領内の各地を視察した。
この地は国内でも気候が厳しく、山や岩場も多い。
人々は無口で警戒心も強いが、いったん親しくなると情が厚いようだ。
農作物がとれるのは点在する低地だけで、主な農業は山岳地での酪農なのは他の地域と同じだ。
国をあげて始めた土地整備が進めば、農作物の収穫量ももっと上がる。
早くその日が来ることをマティアスは期待した。
険しい山道を越え、隣国ブルゲンフェルトとの国境近くにある湖にも足を伸ばす。
この湖はシエー