ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル
人間ドックで命を縮める
もどきと本物が顕微鏡では区別できないと知ると、がんと診断された場合にどう振る舞ったらいいのだろうと、また悩まれるかもしれませんね。
でもその心配は無用です。
もし発見されたがんが「本物」だったら、治療しても治らないので、手術や抗がん剤は後遺症や副作用があるぶん、有害です。
これに対し、発見されたがんが「もどき」であれば、放っておいても死なないので、手術や抗がん剤は不要です。
えっ、どういうこと?がんの早期発見は有効ではないというの?
――読者の疑問はもっともですが、じつは、がんを早期発見することの無意味さは、学問世界では広く承認されています。
肺がん、乳がん、前立腺がん、大腸がんなど、がん検診の効果を調べる比較試験が数多く実施されてきましたが、検診の効果が認められなかったからです。
それどころか肺がん、乳がん、大腸がんなど、検診によって死亡数が増えてしまった試験結果も少なくないのです。
それで、医学世界の良心ともいえるイギリスの医学雑誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」は、2016年初頭に、がん検診にかんする重要論文を発表しました。
タイトルは「なぜこれまで一度も、がん検診による救命がなされていないのか」です(詳しくは拙著『健康診断は受けてはいけない』文春新書)。
ですが、がん検診ワールドには、なんの動きもありません。
学者たちからの非難をものともせず、検診を続け、多くの被害者を生み出しています。
――医療の現場が、学問の原理で動いているわけではなく、ビジネス原理で動いている証拠です。
最高の死に方 近藤誠 著
164頁~166頁 から抜粋・引用 紹介です。
厚生労働省からも薬屋からも大学からも距離をとり、孤高の世界を貫かれた近藤誠先生だからこそ書ける内容です(感謝)。
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嬉しい限りです。今後ともよろしくお願いします。