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パーソナルゾーンは無理

ある日の中学生の娘との会話です。

「今日の社会の授業で先生が突然
『君たち、パーソナルゾーンって知ってるか?』
って言いだして、で、クラスの誰かかが
『知らない』って言ったら先生が
説明してくれたんがけど…」と話は続き、
「先生が言うには『君たちのこの学年のみんなは
人との距離が近すぎると思う。
他の中学ではあんまりなかった。
両手を肩の高さまで水平に上げた
直径の円の範囲がパーソナルゾーンと言って、
他人に近づかれると不快に思う距離なんだよ。
本当に君たちは、男女問わず
人との距離が近いよね。
この学校を卒業して他校の生徒や
いろんな人と接する時、
ちょっと困ることがあると思うよ』
って言うんだよね」と娘が言うので、
「誰か距離が近くて困ってるのかな?」と聞くと、
「いや、先生が気になっているらしい」と、
「『君たちの担任の先生(男性)と
僕が肩寄せ合って廊下を歩いていたら
みんな引くでしょ?!』って言ってた」と娘。

確かに娘たちの中学は生徒数も少なく、
小学校を卒業した生徒が、そのまま
中学に行くので気心が知れた仲間同士です。
先生がなぜこの事を生徒に話したのか
わかりませんが、以前娘に
「三者懇談の時におかあさんから
先生に聞いてほしいことがある」
と言われたことを思い出しました。

娘のクラスで授業中に騒ぐ生徒がいて、
先生も、授業を受けたい生徒も困っていました。
「静かにしてよ!」とクラスメートが注意をすると、
「点取り」「良い子ぶるな」とケンカになるともあり、
「小学校6年の時、あんなに仲良かった頃が
懐かしいわ」と言って嘆いていました。
娘が言うのには「新人の先生だけが
このことに困っていて、前からいる先生が
全然助けているように思えないんだよね」
「三者懇談の時に、先生同士助け合って
この事をどうしようと思っているのか
聞いて欲しい」と頼まれたのです。

このパーソナルゾーンの話をした先生は、
学年主任のベテラン教師です。
一方、娘の担任は教師になって2年目です。
パーソナルゾーンを気にするより、
本当に先生同士が肩寄せ合って、
生徒から見ても「助け合っている」と、
うなずけるくらい仲良くなって
欲しいと私は思いました。

「親の時間」のクラスでは話を聞きあうとき、
相手の承諾を得て手を取り合って話を聞きあいます。
私は抵抗なく初めから手を取り合えましたが、
人によってはいろんな経験から、
それに抵抗がある人も勿論います。
でも、人に話すのに勇気がいるような時や
寂しい時は、人の存在を感じながら
話すことがとても良いことを
クラスで体験しています。
元々、人が近くにいることは「不快」ではなく
「安心」だったのではないでしょうか。

娘の話にはまだ続きがあって、
その授業が終わってトイレに行った帰りの
廊下で、友達と「ちょっとさっきの、
パーソナルゾーンの距離で話してみよう」
ということになりおしゃべりしたそうですが、
「寂しすぎる!」とすぐにくっついたそうです。
「やっぱ、うちらにはこの距離は無理だわ」
ということでした。

まきちゃん

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