見出し画像

国会図書館に行ってきた

私は図書館が好きだ。
村上春樹の小説のようにメタファーとして図書館が好きなのではなくて、単に数多くの本に出会え、探している情報を仕入れられるからだ。
とはいえ市民図書館は児童書や一般書ばかりなので、本気で資料を漁るときは、東京にいた時は広尾の都立中央図書館、福岡の時は福岡市総合図書館を利用している。印刷業界に関しては東京・新富の印刷図書館である。
ところが今回、「月刊マーチャンダイジング」という雑誌を探すことになったのだが、どこにもない。というわけで今回、上京した機会に、思い切って永田町の国会図書館に行くことにした。

国会図書館は日本中の書籍・雑誌すべてが蔵書されているという都市伝説のある図書館である。そんなわけないが、それでも蔵書数はけた違いである。

都立中央図書館 225万冊 
福岡市総合図書館 128万2745点
国会図書館 4685万5998点

過去のマイクロフィルムとかも含めた数だからなんともいえないかもしれないが、日本で飛びぬけた情報量を持つ図書館であることはお分かりかと思う。

そもそも国会議員のために作られた図書館であり、東京都民ですらもまるでなじみはないと思う。私も大学の卒論のために外国語資料を閲覧するために行って以来だから、25年ぶりになる。

国会と言えば永田町。永田町駅を降りてすぐのところに国会図書館がある。本館と新館があり、総延べ面積は14万8000坪である。とにかく馬鹿でかい敷地に馬鹿でかい建物があるが、ほぼ完全に閉架式なので、私たちが入れるのは閲覧フロアに限られる。借りることもできない。そこらへんがいまいち市民にとって障壁の高い施設だといえる。

登録を済ませ、荷物をロッカーに入れ、透明のケースにノートや筆記用具を入れて入館する。入館するにも、検索PCを使うにも、受け取るにも返却するにも図書カードをかざす、なんか緊張する。

開架式ではないので、私たちはまず検索PCの前に座って、蔵書を検索する。100台くらいの端末の前で市民が本を探すさまは、まるで飯田橋のハローワークみたいだ。PCで取り寄せてからカウンターの前で30分くらい待つさまは、大病院みたい。もちろん市民の憩いの場ではないのだ。仕方ない。

「月刊マーチャンダイジング」にご対面、読みたい記事にたどり着いたが、大したことは書いてなく、通読して返却した。この辺が閉架式のつまらないところだ。思いがけない本に出会える「セレンディピティ」というものがない。ちなみにコピーを依頼することもできる。

用事があっけなくすんで、館内を回遊。新館は吹き抜けの巨大な建物に、それぞれ閲覧スペースなどが十二分に配されていて、資料を漁るにはもってこいの場所かもしれない。市民図書館のように児童が走り回ったり、ホームレスの方が居眠りしたりする空間ではない。
逆に、司法試験とか公認会計士試験のように、一心不乱で試験勉強をする場でもない。若い学生が圧倒的に多く、たぶん卒論やらレポートやらの資料を読みこなしているのだろう。静かに本を読んでいた。
若いカップルもいたが、同じゼミ生とかなんだろう。肩を並べて本を読む姿にはほほえましくも感じた。高齢者もいるが、真剣に郷土史でも研究しているのだろう。
例外が、コミック雑誌を読んでいる人たちだ。検索して取り寄せれば、少年ジャンプでもなんでも、カートに積んで読むことができる。さすが無料で遊べるスペースを、知っている人は知っている。

というわけで、わずか1時間で引き揚げてきた。重ねて言うが、閉架式は楽しくないよね。コピーも郵送しくれるから、わざわざ足を運ぶこともないね。

おしまい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?