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山口和之 参議院議員@共同親権 平成31年4月25日


第198回国会 参議院 法務委員会

第10号 平成31年4月25日

113 山口和之

○山口和之君
 日本維新の会・希望の党の山口和之です。
 本日は、離婚後共同親権について質問いたします。
 昨年12月6日の法務委員会において、私が日本における離婚後共同親権制度の導入についてはどのようにお考えかと質問したところ、山下大臣からは、離婚後の共同親権制度を導入すると、これは父母の関係が良好でない場合に、親権の行使について父母の間でタイムリーに適切な合意を形成することができないという事態も多くあり得ると答弁されましたが、共同親権を採用している諸外国において、どのような事態がどれぐらいの割合で起きているのでしょうか。また、そのような事態に対してどう対処しているのか、お教え願います。

114 小野瀬厚

○政府参考人(小野瀬厚君)
 お答えいたします。
 離婚後共同親権制度を導入しているとされる国におきまして、委員御指摘の事態がどの程度の割合で発生しているかについては把握はしておりません。ただ、そのような事態に対する諸外国の対処につきましては、これまでに外国法の調査等を行ってきたところでございまして、例えば、平成26年度に外国の離婚後の親権制度に関する調査研究業務を委託しております。
 この調査研究の結果をまとめました報告書によりますと、例えばドイツやフランスでは、子供の日常生活に関する事項については同居している親が単独で決定することができることとされているが、重要な事項について合意ができないときは裁判所が決定したり、裁判所が一方の親の判断に委ねることができるようでございます。また、ドイツでは、父母が別居している場合には、父母の一方は家庭裁判所に対し親権の全部又は1部を自らに移譲することを申し立てることができることとされておりまして、父母の関係が良好でない事案では、結局離婚から数年後にこの申立てがされているとの指摘もされているところでございます。
 このことからいたしますと、父母の関係が良好でないことによって子供の監護、教育に関する決定が適時適切に行えないという問題は、離婚後共同親権制度を採用している国においても生じているものと考えられるところでございます。

115 山口和之

○山口和之君
 離婚後共同親権に関しては、衆議院法務委員会においても、我が党の串田議員の質問に対して政府参考人から、父母が婚姻関係にない場合にも親権を共同して行使すべきものといたしますと、円滑に意思決定がされずに、子の利益に反するため、我が国において離婚後共同親権を採用していないという説明がありました。しかし、諸外国においては子の利益を資するとして離婚後共同親権が採用されており、こういった国々においては、円滑な意思決定に支障がない、若しくは円滑な意思決定に支障があっても、それを上回るメリットがあると考えられているものと思われます。
 法務省としてはどのように認識しているのでしょうか、お教え願います。

116 小野瀬厚

○政府参考人(小野瀬厚君)
 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたとおり、離婚後共同親権制度を採用している国におきまして、離婚後の夫婦が子供の養育について意見が一致しない場合に裁判所が決定するなどの制度が採用されているということからいたしますと、そういった国におきましても、子供の養育監護について適時に適切な合意を形成することができない場合はあるものと考えられます。
 もっとも、そのような場合に、先ほど申し上げましたような裁判所が決定するといったような制度によって現実に円滑な意思決定がされているかどうかにつきましては、そういった諸外国における運用を更に詳しく見る必要があると考えられます。
 そこで法務省では、諸外国における離婚後の子供の養育監護についての考え方や運用について調査をするために、大臣からの指示に基づきまして、本年3月29日に外務省に対して調査依頼をしたところでございます。
 離婚後の子供の養育の在り方につきましては、この調査によって得られる結果等も参考にして、引き続き検討してまいりたいと考えております。

117 山口和之

○山口和之君
 全ての離婚において共同親権とすることがよいとは言えませんが、同じように全ての離婚において単独親権とすることもよいとは言えないと思います。どちらかを原則として他方を例外とするしかないと思われますが、単独親権を原則として例外的に共同親権とするという制度は考えにくいと思います。そうであるとすれば、原則として共同親権としつつ例外的に単独親権とするような法制度を検討すべきではないかと思いますが、山下大臣はどのようにお考えでしょうか。

118 山下貴司

○国務大臣(山下貴司君)
 先ほど民事局長からお答えしたとおり、諸外国における離婚後の親権制度や子の養育の在り方等について、外務省に対し調査依頼をしたところでございます。
 もとより、こういった親権の制度については、制度自体も調査も必要ですが、その具体的運用ですね、これについてもやっぱりしっかりと検討する必要があろうかと思います。
 そして、離婚後にもこの共同親権を可能とする制度を採用するのか、採用するとして単独親権と共同親権のどちらを原則とするのか、原則と例外の振り分けの基準をどのようなものとするのかなどについては、いずれも制度そのものに加え運用実態も踏まえて慎重に検討する必要があるものと考えておりまして、今回の調査によって得られる結果等も参考にしながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。

119 山口和之

○山口和之君
 山下大臣及び法務省には、日本全体で子の利益を最大化するためにはどのような制度にすべきか、是非柔軟に御検討をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、裁判所が親権者や監護権者を決定するに当たっては、実務上様々な基準が用いられています。その一つに、子と他方の親が頻繁にかつ継続的に面会交流することをより許容する親を親権者、監護権者とすることが望ましいという基準、いわゆるフレンドリーペアレントルールというものがありますが、この基準は子の利益を最大化するために非常に重要であると思われます。
 フレンドリーペアレントルールを法定化し、重要な判断基準であることを明確化することも検討に値すると思いますが、山下大臣にはどのようにお考えでしょうか。

120 山下貴司

○国務大臣(山下貴司君)
 確かに、離婚した一方の親が他方の親と子との面会交流について積極的であるということは、一般論として申し上げれば、子の利益の観点から望ましい態度であるとは考えられます。
 他方で、これが親権者や子の監護者の指定の裁判においてどれだけ考慮されるのかということにつきましては、様々な他の考慮要素も踏まえ、そういったところで今裁判所も考慮しているというふうに考えております。
 ですので、一般論を直ちに法制化するということに関しましては、その必要性を含め、慎重な検討を要するものと認識しておるところでございます。

121 山口和之

○山口和之君
 日本においては、共同親権を認める制度にするかどうか、単独親権とする場合どのような判断基準で親権者を決定するのか、本格的に検討を進める必要があると思います。残念ながら、現在の制度運用では子の利益を最大化することは難しいと思いますので、山下大臣及び法務省にも是非御検討いただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

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