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公明党 伊藤孝江 参議院議員@家事調停事件について 令和3年4月6日


第204回国会 参議院 法務委員会

第5号 令和3年4月6日

035 伊藤孝江

○伊藤孝江君
 公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。
 今日は、家事調停事件、遺産分割を除く家事調停事件の処理の充実強化について、まずお伺いをさせていただきます。
 この家事調停事件、遺産分割を除くというのは今後ちょっと省いて、家事調停事件と言うときには、婚姻関係の事件であったり、また子供をめぐる事案に対しての家事調停というふうに理解をしていただければと思います、今日に関してですね。
 この家事調停事件は、今も事件が増えているという状況の中で、特に子供の監護に関するもの、養育費であったり面会交流であったり、そもそも親権をどうするのかと、こういうようなことというのは、子供の生活だけでなく、御両親だったりも含めた家族の今後、将来を話し合う大切な機会になります。そういう点では、多少調停でじっくりと時間を掛けたとしても、そこですぐ諦めて審判や裁判に移行して、より紛争が高度化する、深刻化するというよりも、精神的にも時間的にも経済的にも労力的にも、やっぱり調停で終えた方が結果としてはいいんだということが多いというふうにも私自身は感じています。また、調停で成立をするということは、合意をして成立をするということですので、その後の任意の履行も期待をしやすいという状況があるかと思います。
 私自身も、議員になる前に7年間、大阪家庭裁判所で家事調停の調停委員をさせていただきまして、調停協会等でも活動をさせていただきました。主に、弁護士委員ですので法的な問題が多いものということで、基本的には遺産分割事件が中心で、調停が中心で、プラス家事調停ですね、婚姻関係のものを扱うということも携わらせていただいたところで、そのときにいろいろ問題意識としても持たせていただいたものも踏まえて、少し今日質問をさせていただければと思っております。
 この調停事件におきましては、調停委員会が担当をします。普通の裁判で裁判官が担当するというようなもので、調停委員会が担当をして、この調停委員会というのは、基本的には調停委員が2名と裁判官1名の3名で構成をされております。ただ、実際の調停の期日には、この家事調停の場合、出席をするのは調停委員のみで裁判官は出席をしません。民事調停等では毎回裁判官が出席をするというふうにもなっているところが普通かと思いますけれども、家事調停では裁判官は基本出席しないと。裁判官が調停に立ち会うのは、最後の回の成立とか不成立とか、そういうのを決めるときに出席をするのみで、あとは出席をしないというのが一般かなというふうに思っております。
 このような中で、この調停委員会で裁判官が果たす、求められている役割というのはどのようなものになるんでしょうか。

036 手嶋あさみ

○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君)
 お答え申し上げます。
 裁判官は、調停委員会の一員として、法的観点を踏まえつつ紛争の実情を的確に把握して解決の方向性を示し、これによって当事者に建設的な話合いを促すとともに、手続を主宰する者として、家庭裁判所調査官を始めとして調停手続に関係する職種をどのように活用することが効果的かなどといったことを的確に判断しながら調停手続を進めているものというふうに承知しております。

037 伊藤孝江

○伊藤孝江君
 調停の実際の期日で当事者からの話を直接聞くこともない裁判官が、今お話をされたように、問題点を把握をして今後の手続を的確に判断していくというようなことになるわけですので、実際に調停に出席をしている調停委員と裁判官がどのように意思疎通をするのか、どう報告をするのか。この当事者のこの人はどこにこだわりを持っていて、どこが譲れないところで、どこだったら譲れるところでというようなことも含めて、当事者の性格的なものも含めてきちんと伝えないといけないという中では、この調停委員と裁判官の意思疎通をいかに図るかというのが大事になります。
 また、調停委員同士でも、2人で調停に参加していますので、2人が同じ問題共有をして、問題意識を持って、同じ方向に進めていこう、同じことを説明しよう、同じことを聞こうというのを考えないと、違うことを言い出すと駄目なわけですよね。
 そういう点では、この調停委員会の中でどのように意識を共有していくのかというところで大事なのが評議になるかと思います。この調停委員と裁判官が一緒に話をして、事件について相談することとかを評議といいますけれども、この評議の果たす役割についてどのようにお考えでしょうか。

038 手嶋あさみ

○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君)
 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、裁判官、調停委員との評議によって解決の方向性等について共通認識を形成しつつ、手続の進行を図るところでございます。
 評議は、調停委員会を構成する調停委員と裁判官との間で提出される書面や事情聴取などによって明らかになった当事者の主張や争点、手続の進行状況などに関する情報や認識、これらを交換、共有し、調停の進め方に関する全体的な方針ですとか長期的な見通し、また、特定の期日における進行方針などについて意見を交換し、認識を共有するための重要な手段であるというふうに認識をしております。

039 伊藤孝江

○伊藤孝江君
 調停委員の対応でよくありがちなというか、受けがちな不平不満ですね、当事者から言うと。というのが、話を聞いてくれないに始まり、説得をしやすい当事者の方に強く説得をしてそっちに譲らせる、で、何とかまとめるとか、また、一般の調停委員の方で法的な知識がない中で間違ったことを伝えてしまうとかというようなことがないようにするというのが大事なことかというふうに思っています。
 でも、この評議の在り方というのが、本当に裁判所ごとに、また調停委員会ごとに様々だというのが現状だと思います。
 私自身が経験をしたときには、事後評議といって、期日が終わればその日に裁判官に一応今日の、一応はちょっと済みません、省いて、今日の報告をして問題点がこうだと、今日はここが合意ができて、次ここが残っていて、次回はこういうことをしていきたい、こういう宿題を出しましたというようなことを言って、大事なときには次の回の頭にも今日どんなことをやるのかというのを共有するという形で、かなり充実した対応もしていただいていたというふうに思っています。
 ただ、これが大変恵まれていた環境で、中にはこういう裁判官と直接会って評議をする、面談で評議をするというのが2回、3回に1回であるとか、本当に節目だけで、あとは調停委員が経過メモを出して報告をしますと、それに裁判官が書いて返しますみたいな形でしか評議ができない。それで一体何が伝わるんだろうというのもすごく不思議に思うところです。
 この評議の持ち方について、基準などはあるんでしょうか。

040 手嶋あさみ

○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君)
 お答え申し上げます。
 まず、評議の持ち方としましては、委員御紹介いただきましたとおり、実務上、期日の前に行う事前評議、それから期日の途中で行う中間評議、期日終了後に行う事後評議、それから御指摘のありました、調停委員の作成するメモですとか手控えなどについて裁判官が応答するなど書面を利用して行う書面評議等がございます。
 評議は、先ほど申し上げたとおりでございまして、調停の進行や見通しについての情報、認識を共有するという重要な場面ですので、毎期日の進行に関しまして、事後の内容や局面に応じて必要な協議が行われているものと承知しているところでございます。
 具体的に、どのような場面で、どのような方法の評議を行うかということにつきましては、個々の事件の内容等に応じた調停委員会の判断でございまして、明確な基準があるというわけではございませんが、事件の内容、それから手続の局面のほか、調停委員の力量なども踏まえまして、また、その時々の評議の目的、具体的に申しますと意見交換、認識共有すべき内容ということになるかと存じますけれども、そうしたものに応じて適切なタイミングと方法が選択されているものと承知しております。

041 伊藤孝江

○伊藤孝江君
 今いみじくも、そのいろんな事情の中の1つでおっしゃられた調停委員の力量と。でも、こんなことに調停が左右されてしまう、本当にあってはならないことだと思います。ただ、それがあるのが現実だと思っています。
 であるならば、そこで裁判官がしっかりと歯止めを掛けるためにも、毎回きちんと評議をするというのは最低限守ってもらうと。本当に、何回も紙だけのやり取りで終わりですというのはもう考えられないですし、あるべきではないと。一体、当事者の何を理解しているのかと、本当にそこはすごく思うところでもあります。
 まず、この評議の充実の重要性について、大臣、いかがでしょうか。

042 上川陽子

○国務大臣(上川陽子君)
 家事調停事件におきまして、調停委員会の評議についてということで、委員から今、御経験を踏まえての御紹介がございました。
 当事者につきましては、様々なやり取りの中で、その方の感情的なものとも含めまして、この対立の理解ということについては粘り強くやっていく必要があるというふうに思っていますし、また、社会的な良識の反映という意味でも、この合意によりましての紛争解決を目指す上で重要な役割を果たしているというふうに認識をしております。
 その意味で評議の重要性は極めて大きいというふうに思っておりまして、それをより充実したものにすること、このこともまた重要なものであるというふうに認識をしております。

043 伊藤孝江

○伊藤孝江君
 ありがとうございます。
 そこに裁判官がどう関わっていくのか、調停に裁判官がどう関わっていくのかというところでいきますと、先ほど真山先生からもありましたけれども、当事者から裁判官は見えないというのは、本当に調停でも同じだというふうに思っています。
 ただ、私自身の経験からいうと、裁判官が家事調停の調停の場に参加をしていただく、ここに立ち会っていただいて、当事者と直接話をしてもらう、少しでもいいから本当にこだわっているところを一言聞いてもらう。また、聞くだけではなくて、何か大切なことを説明するというときに、やっぱり同じ説明でも調停委員から説明するのと裁判官から説明するのでは、当事者の受け止めが全く違うというふうに感じます。そういう点では、せめてこういう節目のときには裁判官に直接調停に出席していただきたいなと思うんですけれども、なかなかこれがかなわないというのを感じているところでもあります。
 裁判官、家事調停で裁判官が当事者と直接接触をするというか、直接接する、そこに立ち会うことの重要性について、まずどのようにお考えか、教えていただけますでしょうか。

044 手嶋あさみ

○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君)
 お答え申し上げます。
 まず、調停期日において当事者と直接接触をして働きかけを行うということにつきましては、個別の事案ごとに豊富な社会経験や良識、専門的知識を有する調停委員が当事者との間で信頼関係を構築して、その心情に寄り添いつつ自主的な紛争解決に向けた働きかけを行っているというほか、家庭裁判所調査官は主として行動科学の専門的見地から、そして裁判官は主として法的見地から、それぞれの強みを生かした働きかけを行っているものと承知しております。
 もっとも、委員御指摘のとおり、裁判官につきましては、調停手続を主宰する者として、事件の進行状況ですとか当事者の希望なども踏まえ、調停委員のみならず適切なタイミングで自ら直接当事者に対して事情聴取や法律的な事項についての説明、働きかけ、調整などを行うことは、調停を円滑かつ効果的に進行させる上で重要な意味を有するというふうに認識しております。

045 伊藤孝江

○伊藤孝江君
 であるならば、もっと立ち会っていただくような機会をですね、もちろんこれは裁判所によっても運用は異なるでしょうし、裁判官によっても異なるものというふうに理解はしていますけれども、基本的には裁判官は出席はしないというのはどこもおおむね同じだろうと思いますので、その辺りについてはこれから本当に検討していただきたいところだと思っています。
 なぜ裁判官が立ち会えないのか、立ち会わないのかというところですけれども、この家事調停に関わっている家事の裁判官の手持ち事件数、教えていただけますでしょうか。

046 村田斉志

○最高裁判所長官代理者(村田斉志君)
 お答え申し上げます。
 全国各地の裁判所におきましては1人の裁判官が複数の種類の事件を取り扱うことが少なくありませんで、全国の家庭裁判所の家事事件担当裁判官1人当たりの手持ち件数がどの程度かというのを分かりやすい形でお示しするというのは極めて難しいというのは御理解いただきたいと思いますが、ただ、中には家事事件だけを専門的に担当している裁判官もおりますので、その例で申し上げますと、1人の裁判官が家事事件のみを専門的に担当しているところとして東京家庭裁判所の本庁におきましては、判事あるいは判事と同等の権限を有する特例判事補、裁判官1人当たり約500件の事件を持っております。そのうち審判事件が220件程度で、調停が約280件というような具合になっております。

047 伊藤孝江

○伊藤孝江君
 今、数として1人で持つにはあり得ないというような、ちょっとほかの訴訟とは違う数え方になるというのか、例えば子供の養育費、子供が2人いれば2件というふうに数えますので、実際に何組の夫婦とか何組の家族というのは事前にお聞きしたときには分からないということだったんですね。そういう意味では、実態はしっかりと把握をしていただきたいなというふうに思っているところです。
 あと、調停で普通の訴訟と違うのは、1人の裁判官が担当する調停事件、例えば今日の火曜日の10時に10件、20件って同時に全部ばっと開くんですね。実際に調停の場に行くのは調停委員が行きますから、裁判官は行きませんので、何件でもやろうと思えば理屈上は可能と。
 実際に、大庁、大きなところでは1人の裁判官が1つのこまに大体何件ぐらい同時に調停を入れているのかということ、お分かりでしょうか。

048 村田斉志

○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 
 家庭裁判所の裁判官が、今委員御指摘のその1つのこまといいますか、時間帯に何件の担当調停事件の期日を開いているかというのは、そこの裁判所における調停の事件数はもちろん、担当裁判官の手続指揮の在り方、あるいは期日を開く時期のような問題もあれば、先ほども少し申し上げましたけれども、地方裁判所と家庭裁判所を兼任している裁判官もたくさんおりまして、そういう場合であれば民事事件、刑事事件などほかの事件との兼ね合いというようなこともあって様々ですので、なかなか平均といった形で申し上げるのは難しいんですけれども、あえて一例で申し上げますと、先ほども例に出しました東京家庭裁判所の裁判官の場合、最近では一こま当たり委員の御指摘にもあったような10件から20件程度の事件を同時に開くということも少なくないと聞いております。

049 伊藤孝江

○伊藤孝江君
 だから、同じ時間帯に10件から20件、1人の裁判官が担当する調停が同時に開かれます。なので、到底入っていただくことも難しいし、その途中で相談に行くと。中間評議といって、当事者にお待ちいただいて裁判官に相談に行くことがあるんですね、この節目どうしましょうと。その相談をするのにずっと待つんです、順番来るのを。裁判官と話をしないといけない。それで当事者を30分、40分待たせるということも本当によくあることです。
 そう思ったときに、今の裁判官の持ち方がいいのかどうかというところ、本当に考えていかなければならないと思っています。当然、その事前評議、事後評議、聞こえはまあいいですけれども、充実したものにしていくためには、そんなふうにやっていたら物理的に可能なのかなというところの疑問も生じます。
 当事者の納得を得られる調停、その中でできる限り迅速にという観点からすると、今の家事調停の裁判官の人員体制、不足しているんじゃないかと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

050 上川陽子

○国務大臣(上川陽子君)
 ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、この家事調停事件におきまして、当事者の側の納得感、あるいは手続の迅速性を高めるということ、この視点は極めて重要であると認識をしております。
 裁判官の増員という裁判所の人的体制の整備の在り方に係ることでございまして、事件の動向、また裁判所を取り巻く様々な状況を踏まえまして、最高裁判所におきまして不断の検討がなされるべきであるというふうに認識をしております。
 法務省といたしましても、引き続き、最高裁判所の判断を尊重しつつ、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

051 伊藤孝江

○伊藤孝江君
 ありがとうございます。
 済みません、ちょっと事前に、調査官、家庭裁判所の調査官の質問もということで、済みません、今日御準備もいただいていたんですが、ちょっと次回に譲らせていただければというふうに思っております。


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