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離婚後共同親権


離婚後共同親権とは

離婚後共同親権(りこんごきょうどうしんけん)とは、父母の離婚後も、父母が共同して子に対し親権を行うことを言う。「共同して親権を行う」とは、父母の意見の一致を要することを意味し、個別具体的な親権の行使の際に父母の意見が一致しない場合は、意見が一致するまで話し合う必要があり、どちらも一方的に親権を行うことはできない。

日本の民法では夫婦は離婚時に父母のどちらかを親権者に指定する必要があることから(離婚後の単独親権、民法第819条)、離婚後も子の親権について父母双方が共同して権利と義務を有するものと改めるべきという議論について記する。

国際的には共同の親権や共同の子育てをベースに結婚しているときと同様に離婚後も原則として父母が共同で親権を行使する制度が主流であるのに対し、日本では「親の子どもに対する責任」が極めて曖昧な事から議論に発展する様相を呈する。


概要

日本では、未成年の子がいる夫婦が離婚をするときは、父母のどちらかを親権者に指定する必要があり、離婚届に親権者を記入し、戸籍にそれが記載される(民法第819条)。したがって、現行法では離婚後は単独親権となるが、離婚後共同親権では一方の親が単独で親権を行使するのではなく離婚した両親の合意に基づき親権が行使されることになる。

なお、現行法でも未成年の子が外国と日本の二重国籍であるとき、外国で離婚が成立している場合など、離婚方法によっては戸籍に共同親権と記載されることがある。

親権とは

民法第四章第二節『親権の効力』が規定され、下記の5項目が対象となる。

  • 民法第820条・監護及び教育の権利義務

  • 民法第821条・居所の指定

  • 民法第822条・懲戒

  • 民法第823条・職業の許可

  • 民法第824条・財産の管理及び代表

日本も締約した子どもの権利条約では、別居が始まればただちに恒常的な親子の交流を始めるように求めている。

離婚後に子と別居している親が負担する養育費は、民法第877条の扶養の義務が根拠であり、別居している親と子の交流である面会交流は、家庭裁判所の実務として認められており、養育費と面接交渉は民法第766条類推適用として『離婚後の子の監護』に含まれるものであり、法務省法制審議会の答申を見ても、親権としての議論に含まれないという考え方が、実定法として一般的な解釈である。民主党は民法766条の改正をして、養育費と面接交渉権の明文化を政策パンフレットに記載している。

離婚後共同親権の議論は、日本弁護士連合会家事法制委員会や日本家族<社会と法>学会などが詳しい。

日本の民法

現在では離婚後共同親権については、日本の民法では不可能であり、離婚時には必ず親権者を決定する必要がある。すなわち片親の親権を剥奪する必要がある。このため、子の争奪をめぐって夫婦間で熾烈な争いが演じられる例が多い。夫婦間の感情的葛藤がさらに高まり、亀裂は深まることにより、なんら罪のない子供が被害を受けるケースが多くなっている現状があり、他の先進国並みに離婚後共同親権の確立を求める声も強い。

ただし、共同親権とは、両親の合意により親権を行うことと定義されるため、両親が離婚後人間関係のこじれ等から何も合意できない、さらには会うことさえできないような場合は、合意自体ができないため、親権を行使できなくなってしまう。この場合、子は法的には放置されたような状況に陥ってしまう。また、現在では離婚後共同親権自体が存在しないため、「離婚後共同親権行使のための調停」などという物は存在しないが、そのような制度ができたとしても、両親の対立のため家庭裁判所の調停が必要となってしまった場合には共同親権が望ましいとは言えないとの意見もある。

親の対立

共同親権では、二人の親の間の対立は、時間の経過とともに次第に改善するが、単独親権では、二人の親の対立は、次第に悪化する。

離婚後共同親権、および離婚後共同監護は今後議論されるべき家族法の問題であり、現在も離婚後共同監護については法的には可能という考えも存在する。

千葉景子法務大臣

千葉景子法務大臣は、平成22年3月9日の衆議院法務委員会で「離婚したあとも、両親がともに子どもの親権を持つことを認める『共同親権』を民法の中で規定できないかどうか、政務3役で議論し、必要であれば法制審議会に諮問することも考えている」と述べた。

また、「子どもの最善の利益を考えたとき、どちらの親も、子の親として接触できることが大事だと思う」と明言をしたが、これは民主党の政策パンフに記載してある面接交渉権法制化の内容であり、離婚後共同親権の議論とは直接関係しない。 この法務大臣の発言により、これまでは面接交渉を否定する判決すら出していた家庭裁判所の運用も、別居親への面会交流に積極的になってきている、という意見もある。

「親子の交流断絶の防止に関する法律」(仮称)

自民党の馳浩衆院議員は平成22年10月29日の衆院法務委員会で、自民、民主両党などの国会議員が超党派で来年の通常国会への提出、成立を目指す「親子の交流断絶の防止に関する法律」(仮称)の詳細を明らかにした。 親権のない親と子どもの面会を保障するもので、

  • 一方の親による子供の連れ去り禁止

  • 親子の引き離し禁止

  • 養育計画作成の義務化

上記、3項目を盛り込んでいる。


民法

第820条

(監護及び教育の権利義務)
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

解説

親権者による監護及び教育の権利義務について定めている。戦後の民法改正においても、明治民法と同趣旨の規定(明治民法第879条)が受け継がれ、平成23年改正によって「子の利益のために」の部分が追加され、監護及び教育の目的が明確化された。


第821条

(子の人格の尊重等)
親権を行う者は、前条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。

解説

親権の行使にあたって、親権者がこの人格を尊重し、成長に応じた配慮を行うべきとする旨を定める。


第822条

(居所の指定)
子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。

解説

  • 親権の内容のひとつ、居所指定権についての規定である。明治民法第880条を継承する。

  • 親権の行使を確実なものにするため、子は親権者の指定した場所に居所を定めなければならない。居所指定権の行使によって、子自身の居住移転の自由(憲法22条)は制限される。

  • 一般的には親権者と子が同居することで黙示的に指定がなされたとみなされているが、必ずしも同居を求めたものではなく、子の年齢や成熟の度合、学業等による事情により別居も認められると解されている。居所指定権は子の監護・教育のために認められる権利であり、この目的以外での使用は親権の濫用になると考えられる。

  • 居所指定権は、未成年後見人も行使することができる。


第823条

(職業の許可)

  • 子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。

  • 親権を行う者は、第6条第2項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

解説

子が職業に就くに際し、親権者が許可を与える権限である。民法第6条を受けての規定である。戦後の民法改正においても、明治民法と同趣旨の規定(旧・民法第883条)が受け継がれている。また親権者は、子が仕事を満足にできないと判断した場合には、その職業の許可の取り消しや、仕事の制限ができる。


第824条

(財産の管理及び代表)
親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

解説

親権のうち、子の財産管理権及び代表権(法定代理権)について規定している。戦後の民法改正においても、明治民法と同趣旨の規定(旧・民法第884条)が受け継がれている。


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