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公明党 伊藤孝江 第213回 参議院 法務委員会 令和6年4月25日


第213回 参議院 法務委員会

令和6年4月25日 


001 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

公明党の伊藤孝江です。今日はよろしくお願いいたします。

いよいよ共同親権の導入について、検討をすると言う事になりました。

共同親権という言葉から受けるイメージ。それぞれがあったり、子・親の権利なのかどうなのか、というような事も、様々、議論もありますけれども。

中身としたら、一番大事な事は、離婚後も両親が、子どもに、関わり続けていく事がいいのかどうかっていうようなところの話なのかな、というふうには思っています。離婚後も、両親が子どもの養育に関わる事についての、子どもの利益っていうのは、どこにあるのか、という事を、まず法務省にお伺いをいたします。


002 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

一般論といたしましては、その子の人格が尊重され、その子の年齢及び発達の程度に配慮されて養育され、心身の健全な発達が図られる事が子の利益であると考えております。そして、父母の離婚後に於いても、父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たす事が、今、述べたような、子の利益にとって重要であり、望ましいと認識をしております。

本・改正案は、こうした理念に基づき、離婚後の父母双方を親権者とする事が出来るものとし、父母双方が適切な形で、子の養育の責任を果たす事が出来るようにする事で、子の利益を実現しようとするものであります。


003 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

確かに、理想としてというのか、あるべき姿として、そのような形で離婚後も両親が子どもの養育に関わる事が出来ればいいだろう、という事は、わりと共通する理解なのかなと思っていますけれども、なかなか現実には、それが出来ない、ところもたくさんあるというところで。様々な課題が出てくるんだと思っています。

今回、その共同親権が導入される事で、子どもがいる夫婦の離婚のあり方に、どんなふうな変化を齎らすのかというところについて、法務省の考えをお聞きしたいと思っております。例えば午前中もありましたけれども、DVや児童虐待がある家庭では、単独親権を望まれるでしょうし。

むしろそうすべき、だという事も、共通する認識だと思います。単独親権の現状でも円満に、両親が子どもに関わる事が出来ている家庭もたくさんありますし、こういう家庭は共同親権が導入されるかどうかに関わらず、親子のあり方としての実質というのは変わらずに、やっていく事が出来るんだろうというふうに思います。

どのような夫婦に、どのような影響があるという事を想定ないし、期待されているのか教えて下さい。


004 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

現行民法の離婚後、単独親権制度の下では、親権者ではない親は、子の養育に関する事項について、最終的な決定をする事が出来ず、第三者との関係でも親権者として行動する事が出来ません。

このような親権者でない親による、子の養育への関与は、事実上のものに留まり、法的に不安定なものとならざるを得ず、そのような状態での共同養育は、法的には子の利益の観点から、必ずしも望ましいものではない、考えております。

そのため、本・改正案は、現行民法の下で、円満に共同教育をする事が出来ている家庭にとっても、法的に安定した、より望ましい状態で、子の利益の観点から、父母双方が適切な形で、子の養育の責任を果たす事が出来るようになる点で、意義のあるものであると考えております。

その上で、父母の離婚後の子の養育のあり方は、個別の事情により、様々でありますため、本・改正案によりまして、お尋ねの離婚のあり方などの、社会に生ずる変化などを具体的にお答えする事は、困難でありますが、本・改正案の理念等が、国民に正しく理解され、父母が適切な形で、子の教育に関わり、その責任が充分に果たされる事によって、子の利益が確保される事を期待しております。


005 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

両親共に、離婚をしたかどうかに関わらず、子どもの養育に関わっていくっていう事を、まず『大切な事だ』という事だと、国として示す形に、この法律がなっているかと思うんですけれども。それは凄く大きなメッセージ、なのかなという事も思っています。

代理人として、この離婚の紛争に関わったり、また調停委員としても、多くの調停にも関わらせて頂きましたけれども。

勿論、様々な理由があって、明確な理由があって、離婚に至ってしまう家庭もあれば、なかなか双方共そんな理由が、勿論、ご本人の中では、きっとあるんだろうと思うんですけれども。明確な理由がなくて、ただ、頑なに、とにかく、子どもを囲い込んで、同化をしてしまって。で、他方親に会わせないし、教育費も要らないし、関わって欲しくない。もう縁を切る。っていう事に、ひたすら拘る方も、やっぱりたくさんいるというのも見てきました。

そう考えた時にというか、これまで私たちも、凄く私たちも、というか、弁護士としても、苦労をするところは、何らかの理由が勿論きっちりとあって、どうしていったらいいのか、っていうのが分かる夫婦っていうのは、まだ対応の仕方とかだったり、色んな懸念事項をどうしていくってのがあるんですけれども。

理由がよくわからないまま、とにかく頑なで、もう話し合いにもならない。これで裁判をやったところで、恐らく、「どんな判決が出ても、それを従う気はない」という事も明言されるというような場合も含めて。「自分の気持ちは子どもの気持ち」っていうふうに、子どもを固定化してしまって、なかなか受け入れてもらう事が出来ないというような方に、どんなふうに、して行くのがいいんだろうか、というのが悩ましいところでもあったわけですけれども。

まず、子どもの気持ちがどうなのか、っていう事であったり、子どもと向き合ってみようという事であったり、子どもにとっての、お父さんだったり、お母さんだったり、っていうところの観点を、明確に、まず示す事が出来れば、少しでも、その頑ななところに、何て言うんですかね。きっかけを、ひとつ齎らす事が出来るのではないかな、という事も思っています。

今、上手くやっている人たちが、さらに、よりよく出来れば、というところもありますし。これまでの状況であれば、なかなか働き掛けが難しかったところでも、少し変わって頂く事が出来るきっかけを、提示する事が出来れば、というふうにも個人的には思うんですけれども、その点いかがですか。


006 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

共同親権になった時に、別居親の方が、子どもに対して負う責任について、どう違って来るか、という観点からお答えを申し上げたいと思います。

本・改正案では、父母の責務として、父母は子の人格を尊重して、子の養育をしなければならない事や、父母は、子が自己と同程度の生活を維持する事が出来るよう、扶養しなければならない事などを明確化する事としております。

これらの責務は、別居親が、親権者であるかどうかに関わらず、負うべきものでありまして。例えば、養育費の支払い義務も、その父母の責務に含まれるものであると考えているところでございます。

他方で、親権には、子の身の回りの世話をする事や、子の教育や居所等に関する事項の決定をする事などを含む、身上監護権ですとか、子の財産を管理する事や、代理して契約を締結する事などを含む財産管理権がございまして、親権者が子の利益のために、身上監護や財産管理を行うべき、法的責任を負っております。

父母の一方が親権者である場合には、親権者でない別居親は、これらの法的責任を負う事はないのですが、父母の双方が親権者である場合には、親権者である別居親は、これらの法的責任も負う事になります。

本・改正案によって、この辺りが変わってくるのかな、というふうに考えております。


007 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

お聞きした事と、ちょっと答弁とは違うところになっているかな、と思うんですけれども。

子どもの利益っていうところで、午前中もありましたけれども、例えば、その両親が揉めている姿を見る事っていうのは、子どもにとって、勿論、避けたいところでしょうし。かといって、離婚をして、片方の親を遠ざけるのが良いのかというと、子どもにとってはそうではない、かもしれない、っていうところもあると思います。

そう思った時に、子どもの利益っていう事を、両親の関係だけで、一律にやっぱり決めるっていうのは、難しいところもあるのかな、というところを、今回の法律での、考え方を含めて、明確に示していくというところが大事かなと思って、ちょっとお聞きをさせて頂いたところです。これ、意見です。

先ほどお答え頂いたところは、別居親が、離婚後ですね。共同親権となった場合に、別居親が子どもに負う責任っていうのが、単独親権の場合と別居親の場合に、どう違うのか、というところについて、ご説明頂いたのかなと思うんですけれども。

ちょっと、端的に、『ここが同じ』『ここが違う』というところを、もう少しまとめて言って頂く事、可能でしょうか。


008 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

まず、違う点でございますが、親権を持つというところは、勿論、違うわけでございます。

親権には、先ほど申し上げましたような身上監護権と、それから財産管理権がございますので、親権者となりますと、子の利益のために、身上監護や財産管理を行うという、法的責任を負っている事になります。

他方、変わらない事でございますが、先ほど申し上げましたように父母の責務として、父母は子の人格を尊重して、その子を養育しなければならない事や、父母は、子が自己と同程度の生活を維持する事が出来るよう、扶養しなければならない。これを明確化する事としております。

これは親権者であるかどうかに関わらず、負うべきものでありまして、現行法と改正法では、特に変わるところではございません。


009 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

少し、質問テーマ変えさせて頂きます。

『就学支援金』に関する質問、これまで法務委員会でもなされておりますし、また、先日の本会議でもなされました。その時に、ですね。あの文部科学大臣の、金曜日の答弁ですけれども。この中で、共同親権で、凄く端折った言い方になりますけれども、共同親権であるので、当然ふたりの親権者の収入を合算します、と。でも、例えば、そのDVとか児童虐待があるような場合には、その人の収入は外します、という事なのか、そういうような主旨でお答えされたと思うんですけれども。

そもそもね、DVとか、児童虐待っていう場合には、単独親権で、共同親権ではないという前提があったはずだ、と思うんですけれども。

凄く誤解を与える表現をされているのかな、というふうに思っています。

あの答弁で、やっぱり不安に思う方も、たくさんいらっしゃった、と思うんですけれども。

まず、このDVや児童虐待っていうのが、離婚前段階からですね、結婚している時から、これがあった、と。あるというような事例の中で、『共同親権になります』という事を前提とした、話っていうのは違うんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。


010 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

本・改正案では、裁判所が必ず、父母の一方を親権者と定めなければならない場合の例として、虐待等の恐れがあると認められる時と、DV被害を受ける恐れ等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行う事が困難であると認められる時を挙げております。

従いまして、裁判所は、子への虐待の恐れや、DV被害を受ける恐れがある場合には、父母双方を親権者と定める事はない、と考えております。


011 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

これも、午前中、出ていた話ですけれども、日本で協議離婚が多い中で、DV等の背景があったり、なかった場合であっても、なかなか、こう上手く話が出来なかったり、また、知識がなかったりっていうような中で。そして、離婚を早くしたいというような中で。共同親権っていうのを、不適切な状況の中で、選択をせざるを得なかったとか、選択をしてしまったっていうような場合、どのように対応するのかという事について、教えて下さい。


012 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

協議離婚の際に、委員ご指摘のようなDVなどを背景とする不適切な家庭による合意によって、親権者の親権者の定めがされた場合には、子にとって不利益となる恐れがあるため、それを是正する必要がございます。

そこで、本・改正案では、家庭裁判所の手続きによる、親権者の変更を可能とすると共に、その際に、家庭裁判所が、父母の協議の経過、その他の事情を考慮すべき事を明確化する事としております。


013 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

親権者の変更ですけれども、今、現状では、離婚後に親権者が一旦決まって、離婚時に。その後の、事情を踏まえて変更すべきかどうか、っていうふうに判断をするという事になっているかと思いますけれども。

今、ご答弁頂いたように、共同親権になるところまでの協議の経過という、離婚前の事情も含めて、勘案をするというふうに明言を頂いたというのが、ひとつ大切な点だと思っています。

ただ現状で、親権者の変更っていうのは、なかなか、やっぱり認められないという実務的な感覚はあります。

特に今後、共同親権で、例えば、お母さんと一緒に住んでいる子どもの変更を考えた時に、お母さんの方で「いや、これ、共同親権は無理なので、私一人にして下さい」という変更をした場合ですね。

子どもにとっては、生活実態は、まず、変わらないんですね、あんまり。

今までと同じような生活をしていくだけなので、親権者変更に伴って、例えばその住む場所が変わるであるとか、違う親権者の、違う親の方に行くとかね。住む場所を変えないといけない、であるとか、色んな事があれば、親権者の変更というところもしっかりと判断して、こっちが必要だ、って分かりやすいんだと思うんですけれども。

その子どもの状況が変わらないのであれば、共同親権でも、特に、差し障りはないんじゃないのか、というふうに判断をされがちになるんじゃないかな、というのも、ひとつ懸念をしているところです。

そのような場合も含めて、この不適切な家庭で、共同親権になった場合の親権者の変更が、実態に即して、適切に判断をされる、というところが、『どのように担保されるのか』という事についてお答え下さい。


014 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

本・改正案におきましては、家庭裁判所は、父母の協議により、定められた親権者を変更するについては、子の利益のため必要であるか否か、を判断する事になります。

その判断に当たりましては、父母の協議の経過、その他の事情を考慮すべき事を明確化する事としております。

本・改正案では、この協議の経過を考慮するにあたりましては、父母の一方から、他の一方への暴力等の有無や、調停またはADRの利用の有無などの事情を勘案するものとする事で、家庭裁判所が、その協議の実態に即した判断をする事を確保しております。

加えまして、本・改正案では、『親権者変更』の場合に於きましても、DV等の事情により、父母が共同して親権を行う事が困難である場合には、必ず単独親権としなければならないとする事で、DV等を背景として、不適正な家庭で親権者の定めがされた事案にも、適切に対応する事が出来るようにしているものであります。


015 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

実際その、今、想定をしている、『大丈夫だ』というための手続きが、しっかりと本当に機能するのかどうか、というのは、これから、執行までの準備もあるでしょうし。また、実際の運用というところも、しっかりと見ていかなければならないと思っていますので、その点、よろしくお願いいたします。

次に、養育費について、お伺いをいたします。

まず、養育費を決める流れというのは、通常、まず協議をして、協議が無理であれば、調停・裁判というような形で、裁判所を使うような手続きにいく、と。

この手続き自体は、今回、共同親権、離婚後導入されたとしても変わらないという事で、まず、確認させて頂きたいんですが、いかがでしょうか。


016 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

現行民法は、子の監護に要する費用の分担につきまして、離婚する父母の協議で定める事とし、その協議が整わない時は、家庭裁判所が、これを定める事としております。このような仕組みは、本・改正案でも変更されておらず、お尋ねの離婚後の父母双方が親権者となる場合でも、異なりません。


017 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

養育費、子どもにとっては、大きな意味のある生活費ですから、出来る限り、離婚後、速やかに決めて頂いて、しっかりと支払って頂くというのが大事になります。

『いくらが、いいんだろうか』というところで、当然、当事者同士で話し合いをするというところでは、大きな悩みになるというところで。

今日、配布をさせて頂いておりますけれども、例えば、弁護士が入って話をするような時であったり、家庭裁判所を使うような時には、こういう簡易な『算定表』というものを用います。

これは、あの左の縦線が、『義務者の収入』要は、支払う側の収入ですね。

で、下の右に大きくなっていくのが権利者の年収という事で、子どもと一緒に住んでいる側の年収です。

1枚目に配らせて頂いているのが、子どもがひとりで、0歳から14歳の場面。で、念のためというのが、もう1枚。例えば、子どもが3人いて、3人とも14歳まで、っていうようなパターンを付けさせて頂いています。

これが子どもを2人の場合であったり、また子どもの年齢によって変わっていったり。

この年収の基準も2列あって、自営業の場合と、給与収入の場合、っていうような形で作られています。

これで、例えばですね。お母さんと一緒に住んでいる、お母さんが親権者で、お母さんと一緒に住んでいる子どもが、14歳までの子どもの場合に、お父さんが、500万・収入があって、お母さんがパートで100万円の収入があります、っていうような場合は、子どもがひとりの場合、4万円から6万円の範囲が、一応ここでいう相場となり。

子どもが3人の場合には、8万円から10万円っていうふうに。単純に掛ける3ではないんですが、そのような形で計算をまずして、その上で、実際どこの、この範囲の中のどこにするのかとか、或いはこの範囲でいいのか、っていうようなところを検討して行く事になります。

で、この算定表を使う事の、メリットとデメリットについて、最高裁、まずご説明いただけますでしょうか。


018 最高裁判所・毛帯家庭局長

◯毛帯直文 君

お答えいたします。

養育費・婚姻費用の標準算定方式と、これによる算定表は、平成15年に6名の裁判官の研究結果として公表され、令和元年12月に改訂されたものでございまして、現在、家庭裁判所の実務に於いて、広く利用されているものと承知しております。

算定表を用いるメリットとしては、養育費や婚姻費用の算定をより、簡易化し、迅速な算定が可能となる点でございまして、それゆえに、実務に定着して来ているものとして認識しております。

他方で、デメリットといたしましては、算定表はあくまでも目安でありまして、算定表で考慮されている範囲を超える、個別具体的な事情がある場合には、算定表がそのまま妥当せず、標準算定方式の考え方を前提としつつも、係る事情を踏まえた、養育費等の額の算定が別途・必要となる事もある点が、挙げられると考えております。


019 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

この算定表は、実際のね。簡単に見る時の表というだけで、元々の算出式というのが、算出方法というのは勿論あるんですけれども。今、言って頂いたように、この幅が、いいのかどうかっていうのは、やっぱり実際の事案でも揉める事が多いです。

例えば、そのお金が係るという理由としては、「私立の学校に行ってまいす」とか、「病院代が係ります」とか、「塾代等を含めて、学費代が係ります」とか。

で、払う側が、よく挙げられるような事でいうと、「実家に住んでいるから、家賃いらないんじゃないですか」「親が一緒なので、収入もっとあるんじゃないですか」とか、そういう事があったり。

また、或いは、離婚原因に伴ってですね。

例えば、不貞行為をしたお母さんが、子どもの親権者になってという場合、相手方のお父さんからすると、離婚になるは、子どもの親権向こうに行くわ。で、慰謝料もなかなか貰う事が出来ない中で、「養育費だけ、ずっと私だけ払わないといけないんですか」っていうような、感情というのか、そういう事も含めて、問題になる事がたくさんあります。

実際に、この算定表、やっぱり一般の方はこれを見ると、「ここが上限だ」とか、「下限だ」というふうに思ってしまいがちになるかなと思うんですけれども。実際には、この幅を超えて調停や裁判でも、額を決める事もあると思います。あるとすれば、例えば、どういう理由で、実際には、どんな事情を考えて、養育費を決めるという事があるのか、最高裁にお伺い致します。


020 最高裁判所・毛帯家庭局長

◯毛帯直文 君

委員、ご指摘の通り、算定表はあくまでも、養育費・婚姻費用を算定する際のひとつの目安でございまして、調停手続きや、裁判手続きに於いて、算定表では必ずしも考慮されてない、個別具体的な事情を考慮する事はある、と承知しております。

その結果として、調停手続きに於いて、双方が合意すれば、算定表の相場、所謂、幅を超える金額を養育費とする事もありますし。また、審判や離婚訴訟に於きましても、個別事情を勘案し、算定表の相場幅を修正して、これを超える金額を養育費として定める事があると承知しております。

具体的には、例えば、委員ご指摘の通り、例えば、教育関係費というものが標準算定方式に於いて、考慮された金額を超えているような場合、具体的には私立学校の授業料、あと塾や習い事の費用とか、大学費用などが考慮される事がございます。

最も、費用が生じている場合に、直ちに加算されるというわけではなく、双方の生活状況、その他の個々の事情に応じて、判断される事になるものと承知しております。


021 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

この算定表は、現状の離婚後は単独親権っていうものを前提としているものですけれども、今後、離婚後の共同親権が認められた場合、この算定表の表が、相場が、養育費、変わるんでしょうか。これは、法務省にお伺いいたします。


022 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

養育費の履行確保は、子どもの健やかな成長のため、重要な課題であると認識をしております。そこで本・改正案では、親権や婚姻関係の有無に関わらず、父母は、子が自己と同程度の生活を維持する事が出来るよう、扶養しなければならない事等を明確化する事としております。

子に対する扶養の程度は、親権の有無のみによって、違いが生じるものではないため、理論的には、離婚後の父母双方を親権者とした事のみを以て、その養育費の額が増加し、または減少するというものではありませんが、いずれにしても、養育費を含む、子の監護あり方についても、改正法の趣旨内容を踏まえて、父母間で適切な協議される事が期待されるところです。


023 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ここも、混乱を招き兼ねないところなのかな、と思ってはいます。

色んな方に、こう一般の方とかも含めてですね、こう話を聞いた時に「いや、共同親権者になるんだから、養育費は当然上乗せになるんじゃないの」と。共同親権を選んだら、高くなるんじゃないの、っていう人もいれば、「共同親権者として、直接、子どもと接する事が、例えば多くなったり、色んなところで関わる事もあって、そっちで負担するんだから、養育費は、この算定よりも低くなってもいいんじゃないの」っていう人もいたりであるとか。

もうここは、本当に理屈だけの話ではなくて、子どもにとっての、どういう生活を守っていくかって事、自己と同一の生活をどのように考えるのかというところなので。まずは、協議を、しっかりとして頂きながら、子どもの生活を守って頂きたいと思うところですけれども。

法務省の原則論としての筋としての考え方は、共同親権なのか、単独神経なのかというところで、養育費の額は、変わるものではないというところは承知をしました。

その上で、ですね。ただ、共同親権の場合、例えば、先ほど、大学の進学だったりとかっていうような例も挙げておられましたけれども。そういう進学の際に、別居している親の方にも相談をして、了承して、進学をするっていうような場面も当然考えられます。

その場合、費用も考えての話に当然なるでしょうから、別居している親も、経済的負担を必要な限り、ちゃんと負う、というところも自然であると思いますし。出来得る限り、子どもの生活を、経済面でも支えていくという観点も、大事だと思っています。

そういう意味では、別居している親にも、養育費の額そのものへの配慮をするのか、或いは養育費はそのままでも、例えば入学金であるとか。

色んな、別途。大きく係るような費用の時には、きちんとプラス分を渡すというような事も含めて、考えて頂きたいと思いますけれども、大臣いかがでしょうか。


024 小泉法務大臣

◯小泉龍司 君

本・改正案に於いては、双方親権者と定める事が出来る。これは離婚後も父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たす事により、子の利益を確保しようとするものでございます。

これが理念でございます。

こうした理念を踏まえると、別居の親権者が、子の進学先の決定に関与するだけではなく、その進学先の決定に伴って、必要となる様々な費用、これを適切に負担する事は、子の利益にとって望ましいと考えられ、その費用負担のあり方については、所謂、算定表の記載に関わらず、個別具体的な事情を踏まえて、子の利益にとって最善の判断がなされるべきである、と考えております。


025 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

ただ、現実には離婚時に、共同親権を選択して、いっときは、別居している親が養育費を支払っていても、その後、何らかの事情により、養育費を払わなくなってしまう、という事であったり。

また、そもそも最初から払わない、払えない、という事も想定出来るところかと思います。

こういうような場合に、本・改正案に於いては、共同親権から、単独親権にという事で、親権者を変更する理由になる、というふうに考えていいんでしょうか。大臣よろしくお願いします。


026 小泉法務大臣

◯小泉龍司 君

端的に申し上げて、子の利益のために必要がある場合には、親権者変更の申し立てが認められます。

また、その場合、親権者変更の裁判に於いて、考慮すべき事情や、単独親権を維持しなければならない場合については、親権者指定の場合と同様であります。

そして、あくまで、一般論でございますけれども、親権者変更の判断に於いては、父母の一方が、養育費の支払いのような、子の養育に関する責任を、これまで充分に果たしてきたかどうか、これも重要な考慮要素のひとつになると考えられます。

お尋ねのケースでありますけれども、養育費の支払いが、なされなくなった事情によっては、親権者を変更して、父母一方のみを親権者とする事が相当である、との判断がなされる場合もあると考えられます。


027 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

あの勿論、「こう1回払わなくなったから、じゃ、変更だ」というようなものではないと思いますし、それが子どもの利益に適うわけでもないと思います。

やっぱりあくまでも、話し合いの中であったり、また子どもが、ある程度の年齢にいっているという事であれば、子ども自身の気持ちも勿論、大事なところもあるでしょうし。法的な事の解決だけで、全てが終わるというわけではないという事も、しっかりと踏まえて、協議を重ねて頂ければなというのが、当事者の方に対しては、思うところでもあります。

では、次にテーマを変えまして、共同親権の場合の『就学支援金』の利用について、お伺いをいたします。

今日は文科省から、安江政務官、来て頂いております。ありがとうございます。先週から取り上げて頂いてですね。その後の金曜日もそうですけれども、先ほど、共同親権のところだけちょっと、導入だけ触れさせて頂きましたけれども。この共同親権・離婚後なった場合に、就学支援金の利用について、不安が生じるような答弁が正直、これまで文科省からは続いていたのではないかなというふうに、思っております。

そこの部分を今日、明確にお答え頂きたいと思っております。

まず、現状の取り扱いについて、確認をさせて頂きます。

就学支援金の支給の有無や、支給額の判断については、保護者の所得によるものとされています。

この保護者の典型が親権者であるわけですけれども、現状に於いては、父母の婚姻中は、親権者である両親2名の収入の合算、また離婚後は、親権者1名の収入により判断する、という事でいいでしょうか。


028 文科省・安江 文部科学大臣政務官

◯安江伸夫 君

お答えします。

親権は、親の権利のみでなく、義務としての性質も有し、子の利益のために行使しなければならない、と理解されていると認識をしております。

実態上、未成年である生徒等の就学に係る経費を負担するのは保護者であり、その責任を負うのは、基本的には、親権者であると考えられる事から、高校の授業料の負担軽減を目的とした、『高等学校等就学支援金』については、親権者の収入に基づいて受給資格の認定を行っております。

このため、父母の婚姻中は、親権者が2名となる事から、親権者2名分の収入に基づき判定を行ない、父母の離婚により親権者が1名となれば、その1名分の収入に基づき判定行う事となります。


029 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

婚姻中であっても、様々な理由で生活費を支払ってもらえない、っていうような事も含めて、一方の収入を、全く現実的には、頼りに出来ないというような事情がある、という場面も多いかと思います。

このような場合に、親権者の所得、現状のまま、婚姻中の話ですね。親権者の所得について、どのように考えるんでしょうか。


030 文科省・安江 文部科学大臣政務官

◯安江伸夫 君

高等学校等就学支援金は、親権者等の収入に基づいて受給資格の認定を行っておりますが、親権者に、就学に要する経費の負担を求める事が困難である場合には、受給資格の認定に当たって、その親権者の収入は、含めない事としております。

現行の仕組みに於きましても、父母が離婚協議中であり、別居中である場合で、例えば、親権者の一方に課税証明証等の提供を求めたが、応じてもらえない場合などについては、受給資格の認定に当たって、その親権者の収入は、含めないものとして、事務処理要領に於いて、お示ししているところです。

具体的な判定につきましては、認定を行う都道府県等に於いて、個別のケースに応じて、柔軟に判断する事になりますので、引き続き都道府県等と連携をしながら、適切な認定事務に努めて参ります。


031 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

今も例で挙げられた、例えば、所得の証明を求めたけれども、応じてくれないというような場面であったり、家族の関係であったり、また、その家庭の事情ですね。これを証明するっていうのは、なかなか、「離婚しましたとか」「調停やっています」っていう証拠を出しますみたいのなら、まだ出来ると思うんですけれども。

その家族の関係というところで、証明は難しいんじゃないかなという場合も多いかと思いますけれども。

このような場面についての配慮というのは、現実にされているんでしょうか。


032 文科省・安江 文部科学大臣政務官

◯安江伸夫 君

今、お尋ね頂いたようなケースに於きましては、親権者が就学に要する経費の負担を、求める事が困難である場合に、当たる事について、申請をして頂く事としております。

そのような場合にも、記載事項が事実である旨を、『宣誓』頂く事が必要となりますが、必ずしも、証明書類等の証明証の提出まで求めるものではなく、生徒・保護者等による申請内容を、原則信頼をして、判定をする仕組みとなっております。

また親権者が、就学に要する経費の負担を求める事が困難である場合についての判断が、都道府県等に於いて、容易ではない時には、必要に応じて、文部科学省にご相談を頂く事としておりまして、引き続き、都道府県等と連携をしながら、適切な認定事務に努めて参ります。


033 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

先ほど、実際に判断するのは『都道府県』というお話もありました。

今、文科省から、実際の運用面についての答弁を頂いたかと思うんですけれども、その運用面の精神であったり、運用の仕方であったりっていうところが、全ての都道府県に、しっかりと伝わって、共有を出来ているのかどうか。というところについては、文科省として、いかがお考えでしょうか。


034 文科省・安江 文部科学大臣政務官

◯安江伸夫 君

今のご指摘につきましては、『高等学校等就学支援金・事務処理要領』に於きまして、親権者が就学に要する経費の負担を求める事が困難である場合について、個別のケースに応じて、柔軟に判断をして頂きたい旨を記載しており、各都道府県等に対して、この要領に沿った事務の実施を、お願いをしているところであります。

様々なケースが想定される中でありますが、都道府県等に於いて、判断が容易でない時は、必要に応じ、文部科学省にご相談を頂く事としておりまして、文部科学省といたしましても、引き続き、都道府県としっかりと連携を図って、適切な認定事務に努めて参ります。


035 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

先ほどの答弁の中でも、子どもの利益に応じる形でとか、申請主義で、それを信用していくっていう事を根本にするという答弁も頂きました。その部分も、都道府県も共有頂いているという事でいいんですね。


036 文科省・安江 文部科学大臣政務官

◯安江伸夫 君

しっかり申請して頂くと、今の旨を、しっかりと周知させて頂いております。


037 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

では、次に今後、『離婚後共同親権』が認められ、共同親権となった場合の現状の想定について、お伺いをいたします。

まず、所得の確認。先ほど、親権者で、婚姻時は2人、離婚後はひとり、という事がありましたけれども、『離婚後共同親権』となった場合の所得については、どのように考えるんでしょうか。


038 文科省・安江 文部科学大臣政務官

◯安江伸夫 君

高等学校等就学支援金は、親権者等の収入に基づいて、受給資格の認定を行う仕組みである事から、今般の民法改正後に、共同親権となった場合に於きましては、親権者が2名となるため、基本的には、親権者に2名分の収入に基づいての判断を行う事になると考えておりますが。

他方で、現行制度と同様、一方の親権者が就学に要する経費の負担を求める事が、困難である場合に於きましては、その親権者を除く、親権者1名の収入に基づいて、判定を行う事となると考えております。


039 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

今、明確にお答え頂きましたけれども、現状でも、親権者が2名の場合も、就学に要する経費の負担を求める事が困難である場合には、『ひとり』で判断をする、と。これは、離婚後共同親権も変わらない、共同親権も変わらないという事で、再度確認させて頂いてよろしいでしょうか。


040 文科省・安江 文部科学大臣政務官

◯安江伸夫 君

基本には、今ご答弁申し上げました通り、現行制度と同様に、就学に要する経費負担を求める事が困難である場合には、親権者1名の収入に基づいて、判断を行うというふうに考えております。


041 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

今は、そもそも求める事も難しいような場合を想定しているのかな、というところはありますけれども。共同親権の場合、必ずしも勿論そうではなくて、話が出来るような関係にある、という時もたくさんあるかと思います。

その場合に、どう考えていくのかというところもあるかとは思うんですけれども。

まず、その離婚後の養育費について、先ほど法務省からも答弁頂きましたけれども。共同親権となった場合と、単独親権となった場合とで、通常、法的には養育費の額は変わらない、というふうにされるという事です。

その場合ですね。

共同親権だからといって、養育費が多くなるのでなければ、養育費の額が、共同親権の場合と、単独神経の場合と同じと考えると、その児童・生徒の側からすると、同居している親と、自分との生活パターン、生活面ですね。特に経済的な生活面について、共同親権だからといって、プラスになる事っていうのが、必ずしもあるわけではない、という現実があると思います。

で、あるにも関わらず、収入だけ、別居親の分も、単純に合算されるというのは、そもそも仕組みとして、子どもの生活実態を、適切に把握出来ないんじゃないか、という懸念も生じるところでもあります。

勿論、共同親権者として、別居している親にも、子どもの学費に配慮した養育費の負担に、努力を頂きたいというところはありますけれども。

それが、なされない場合もあります。

このような事情というのは、就学支援金の支給の検討に当たり、考慮されるべきではないかと考えますけれども、文科省として、いかにお考えでしょうか。


042 文科省・安江 文部科学大臣政務官

◯安江伸夫 君

お答えします。

共同親権の導入に当たって、どのような事情が、就学に要する経費の負担を求める事が困難であると、認められる場合に該当するか、についてのお尋ねでございますが。

今般の改正案に於きましては、親権は、子の利益のために行使しなければならない旨が、明確にされた事も踏まえた上、高等学校等就学支援金の取り扱いに於いて、共同親権か否かに関わらず、支援を必要としている高校生等に支援を届けられるようにする、という観点で、配慮すべき事項等について、法務省とも連携をして、検討していきたいと考えております。


043 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

あとは、このような、理念的なところっていうのは、なかなか制度を伝える時に、難しい面もあると思うんですね。

特に、今回、『申請主義』、『家族の事情』という事もありますから。現状もそうですけれども、申請してもらって初めて、或いは、言ってもらって初めて分かる、というような事情が多いというところもあります。

そういう点では、しっかりと、この申請をまずして頂いたり、その事情が必要なところがあれば、ちゃんと伝えて頂くという事も、きちんとこちらから、まず、広報しなければならない面もあると思います。

この共同親権の場合の取扱いについては、生徒に、不利益な取り扱いがなされないように。で、また、手続き上、過度な負担が課されないように。改正法が成立した場合には、施行に向けて具体的な検討を行って、広く周知して頂きたいと考えますが、文科省いかがでしょうか。


044 文科省・安江 文部科学大臣政務官

◯安江伸夫 君

お答えをいたします。

文部科学省といたしましては、家庭の経済状況等に関わらず、全ての意志ある高校生等が、安心をして教育を受ける事が出来るにする事が、重要と考えております。

このため、今般の民法改正に際しましても、高等学校等就学支援金の受給資格の認定に当たって、就学に要する経費の負担を求める事が困難であり、収入を合算して、判定しない事が出来る場合について、離婚後に共同親権となった場合に考慮すべき事由等を、分かりやすくお示しをすると共に、出来るかぎり、簡単な、簡便な手続きが可能となるように、法務省とも連携しつつ、検討を進めて参りたいと存じます。

また、これらを含めまして、父母の離婚後の『子の利益を確保する』という、今般の民法等の改正案の趣旨を踏まえまして、共同親権か否かに関わらず、支援を必要としている高校生等に、支援をしっかり届けられるように取り組んで参ります。


045 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

しっかりと、宜しくお願い致します。

私たち公明党では、今年の2月29日に、法務大臣に、今回の民法改正法に関連して、申し入れをさせて頂きました。

その中で、今般の民放等改正案が成立した暁には、その円滑な施行に必要な、環境整備が確実且つ、速やかに行われるよう、関係府省庁が横断的に、連携協力して、上記の各施策を、実現するための『関係省庁連絡会議』を立ち上げる、事を要望させて頂いております。

この就学支援金もそうですし、またその他、各省庁でこれまで『ひとり親』単独親権を想定していた制度がたくさんあるという事も指摘をされているところですけれども。どの制度であっても、離婚後の父母、双方、親権者とする事によって、子が不利益を受ける事がないよう、施行に向けて、法務省に於いて、検討体制を整えるべきではないか、と考えますけれども、大臣いかがでしょうか。


046 小泉法務大臣

◯小泉龍司 君

本・改正案の提出に先立って、御党から、ご指摘の提言を頂きました。

また、衆議院の法務委員会に於いても、同趣旨の、付帯決議がふされました。

本・改正案が成立しました際には、頂いたご提言の内容、また、この付帯決議の趣旨を、充分に踏まえ、円滑な施策に必要な環境整備を、確実且つ速やかに行うべく、関係府省庁等との連携、協力体制の構築に向けて、取り組んで参りたいと思います。

その際、本日、今ご議論がありました、就学支援金制度等についても、子に不利益が生ずる事がないよう、法務省、と文科省、また関係省庁としっかり連携をして対応して参りたいと思います。


047 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

よろしくお願いいたします。

この『就学支援金』の問題についても、先週の答弁頂いている時と、今日とで、答弁が違っているように、両方聞くと、ですね、聞こえるところもあるのかも、わからないですけれども。私も、レクを聞かせて頂いているのが、ですね。色々教えて頂いて、文科省としてのスタンスは、全く変わってはない、という事は、よく分かりました。

ただ、答弁をするに当たり、どこを取り上げるのか、と。

例えば先週は、先ほども触れましたけれども、「共同親権なので、ふたり合算します。DVの時とか外します」みたいな、さも配慮しているかのような事をいいながら、ちょっと、違うんじゃないか、という事であったり。

その考慮のところも、現状でもやっている考慮もあるにも関わらず、そういう事とかではなくて、「都道府県が適切に判断します」と終わられると、それちゃんとやっているのか。と、やっぱり不安になる。

ただでさえ今、この共同親権が導入されるという事の中で、不安に思ってらっしゃる方も、たくさんいらっしゃるという事を考えると、きちんと知って頂く。そして安心して頂く。

変えなければならないところがあるのであれば、きちんと対応していく、というそういう姿勢を見せる事が、大変必要な中で、やっぱり先週の答弁の意味で残念なところもありましたし。で、法務省と文科省で、しっかりと今後の事について、連携が取れているのかな、というのも正直、不安に思わざるを得ないような状況でもありました。

ですので、今日、敢えて、こういう形で聞かせて頂きましたけれども、しっかりと今、大臣が、今後に向けての決意も持って頂きましたので、関係省庁、様々なところ課題あるかと思いますけれども、しっかりと協議をして、リードして頂ければ、というふうに思います。

では、テーマひとつ、少しだけ聞かせて頂きます。

『法定養育費』の関係ですけれども、端的に、これも共同親権の場合と、単独親権の場合、離婚後ですね。共同親権の場合と、単独親権の場合とで法定養育費の額も変わらない、という事でよろしいでしょうか。


048 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

法定教育費の額につきましては、法務省令で定めるという事になっておりますが、離婚後の父母双方を親権者と定めたか、その一方のみを親権者と定めたか、といった個別的な事情によって、増減するものではございません。


049 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

法定養育費は、あくまでもまず、決まっています、という額ですから、養育費の額に対しての協議というのは、当然、並行している場合も多いと思います。

例えば、「離婚後、法定養育費が3万円です」というふうに決めて、なったと。で、その後一年後、養育費は、この夫婦で「5万円です」っていうふうに決まった時に、2万円分の差があるわけですけれども、これは遡って、過去の1年分2万円、毎月分ですね。24万っていうのも、今後の分と併せて、請求出来るという考えで、よろしいんでしょうか。


050 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

父母の協議や審判等によって、定められる養育費でございますが、一般的な実務の扱いとして、義務者が請求を受けた時から、具体的な分担義務が生じるものとされておりまして。本・改正案は、この点まで変更するものではございません。

従いまして、お尋ねのような場合には、少なくとも、調停または審判を申し立てた日、或いは、具体的な請求を行ったと認められる日以降については、法廷養育費と、審判に於いて、認められる養育費との差額の支払いも、命じられ得るものと考えております。


051 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

ありがとうございます。

今の実務も、そうなっているかと思うんですけれども。ただ、「養育費の発生時が請求した時から」っていうふうに、そこを皆さん、理解しているかというと、なかなか難しいと思うんですね。

離婚した時からではない。という意味では、特に法定養育費が払われていると、養育費の請求も、遅くなりがちになる、可能性もあると思います。

ですので、しっかり、そこの養育費の始期、始まりは、請求した時からである事も周知をして頂きたいと考えますが、いかがですか。


052 法務省・竹内民事局長

◯竹内努 君

お答えいたします。

本・改正案に於きまして、申請する法定養育費制度は、父母が養育費の取り決めをせずに離婚した場合に、養育費の取り組みを補充する趣旨のものでございます。

そのため、法定教育制度が導入されたのちも、出来るだけ速やかに、父母の生活水準や、子の進学等に必要な費用に即した、養育費の取り決め等がされる事が望ましい、と考えております。

法務省といたしましても、本・改正案が成立した際には、委員ご指摘の点も含め、その趣旨、内容が正しく理解されるよう、適切且つ、充分な周知・広報に努めると共に、支援等を担当する関係府省庁等と、しっかり連携をして参りたいと思います。


053 公明党 伊藤孝江

◯伊藤孝江 君

以上で終わります。

ありがとうございました。


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