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【第1回】shinnoの推しアート展覧会【北斎マヂリスペクト編】

※この記事は、僕の旧ブログ『シャケ夫と建築図面』からの転載・加筆修正です。

ついに、美大生らしい企画を思いつきました!!!!!わーい!!!!!
こちらのシリーズは不定期連載になりますが、とりあえず第1回をお楽しみください!

▼大学の講義で習ったアート作品がとても良かったので共有します。シリーズ化したいけど、続かなくても許してくれ。

▼今回はこれを紹介します、と言っても、著作権が心配なので画像を貼りません。リンクを載せておきますね。英文で細かく解説が書いてありますが、とりあえず作品の画像だけ見てきてください。

A Sudden Gust of Wind (after Hokusai)
https://www.tate.org.uk/art/artworks/wall-a-sudden-gust-of-wind-after-hokusai-t06951

Study for ‘A Sudden Gust of Wind (After Hokusai)’
https://www.tate.org.uk/art/artworks/wall-study-for-a-sudden-gust-of-wind-after-hokusai-t07235

▼Jeff Wallさんが1993年に制作した、A Sudden Gust of Wind (after Hokusai) という作品です。「ん?Hokusai?」と思った、そこのあなた。そうです。葛飾北斎さんです。
この作品は、葛飾北斎さんの《富嶽三十六景》の《駿州江尻》のパロディ写真です。ザックリと《駿州江尻》の方を説明すると、静岡県を舞台に描かれた浮世絵です。目視できない風を飛び散る紙で表現することで、富士山がテーマの風景画に動きを加えているのがポイントです。
ということで、《A Sudden Gust of Wind (after Hokusai)》 の作品の個人的推しポイントを3つ紹介していこうと思います。

▼まずひとつ。ぱっと見た感じ日本だけど、実はカナダで撮影されたこと。
カナダのバンクーバーで撮影されたようです。よく見ると、写っている人々にも日本人はひとりもいません。同じような気候を狙って5ヶ月かけて撮影されたといわれています。都心から離れた、田舎と都会の境目のような雰囲気が超好き!

▼ふたつ目。実はコラージュ作品。
白黒の方の画像で見ると分かりやすいですが、実はコラージュ作品。言ってしまえばコラ画像なわけですが、侮るなかれ、先述の通り素材集めには5ヶ月かかっているだけでなく、構図を考えるためにデジタルでの作業も行われました。素材の写真をスキャンして、パーツごとにデジタル上で切り抜き作業を行いそれを印刷、実際に並べる作業は紙の上で行われたようです。
このスタディーを行ったことで、左側にある木や飛び散る書類から、右奥にある電柱や人々という、視線誘導の効果が強く発揮されています。

▼ラスト。《富嶽三十六景》のパロディなのに、山が無いこと。
いや、あることにはあるんですが、富士山のような大きい山がない!コラージュ作品なら大きな山を合成することも可能だったのでしょうが、もしかしたら敢てしなかったのかもしれません。言葉にするのが難しいのですが、写真の中で空が占有している割合が高いので、寒い風の日の空気感をよく感じられるように思います。また、山があったらあったで情報量が多くなりすぎる気もしなくもありませんし、視線誘導の効果が薄まってしまいます(山ばかり見てしまい他の要素に気づけない、など)。
《駿州江尻》は浮世絵なので、当然ながら写真に比べるとディテールは少なくなります。なので、富士山や風で飛び散る紙、慌てふためく人々を一つの画面に収めても、バランスが崩壊することはありません。写真の場合は浮世絵で表現しきれないディテールも表現できるので、あえて《駿州江尻》もとい《富嶽三十六景》のメインテーマである富士山(に相当する山)を省略したのかなぁ、などと考えています。


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