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肉、野菜、赤ワインだけで作るシンプルを極めたビーフシチュー

牛肉と野菜、赤ワインと少しの調味料だけで作る、究極にシンプルなビーフシチューの作り方をご紹介いたします。

市販のルーもデミグラスソース缶も、小麦粉を炒めて作るルーも使いません。玉ねぎも炒めません。赤ワインと野菜の水分だけで十分なので、水も入れません。

ただ、時間と手間は少しだけ必要です。

野菜を炒めないので油もつかいません。
お鍋やお皿も水をかけるだけでスルッと汚れが落ちるので、お皿洗いやお鍋の後片付けのストレスもほぼありません。

赤ワインを使いますが長時間煮込むためアルコールは完全に飛びますし、刺激物も使っていませんので、小さなお子さんも3〜4歳くらいから食べられます。

油脂分は牛スネ肉に含まれる脂のみなので、ご高齢の方にも食べやすいと思います。

パンにもご飯にもよく合います。

特定アレルゲンも牛肉だけなので、小麦粉を使っている市販のルーやデミグラスソース缶を使ったビーフシチューが食べられない方もお召し上がり頂けます。

バターも使いません。

ブラウンルーや牛肉を焼き付ける時のメイラード反応によるうま味を使わず、野菜と牛肉、赤ワインだけで勝負します。

特別な材料は使いません。

しかも材料は全て使い切り、野菜が中途半端に残ることもありません。

ここまで来ると、なんだか魔法のような話ですが、タネを明かしてしまえば仕組みは簡単です。

では、早速作ってみましょう。

【材料】

材料

(4〜6人分)

・牛スネ肉 … 500〜600g
・赤ワイン … 750ml(フルボトル1本)
・トマト … 2個(350〜400g)
・セロリ … 1本(100g)
・人参 … 1本(150g)
・玉ねぎ … 1個(200g)
・マッシュルーム … 1パック(50〜70g)
・塩 … 小さじ1〜1.5
・砂糖 … 大さじ1〜2

(お好みで)
・じゃがいも … 3個(450g)
・ブロッコリー … 1株(250g)

※()内は目安量

【作り方】

1、野菜を刻む

野菜を刻む

玉ねぎとセロリの全量、マッシュルームの半量を薄切りにします。
じゃがいも、ブロッコリー、マッシュルームの残り半量は具として後入れするのでまだ置いておきます。

2、赤ワインに漬ける

赤ワインに漬ける

大きめのジップ袋に、牛スネ肉、薄切りした玉ねぎ、セロリ、マッシュルームを入れて、赤ワインを半分くらい入れて漬け込みます。

空気を抜いて漬ける

空気を抜いて肉と野菜が全て赤ワインに浸かっている状態で冷蔵庫で3〜6時間休ませます。一晩〜一昼夜置いても大丈夫です。

3、漬けた肉と野菜を煮込む

漬けた肉と野菜を煮込む

ジップ袋の中身を全て鍋にあけ、野菜と牛肉がひたひたになるくらいまで赤ワイン、皮をむいて一口大に切った人参と、ヘタを取ったトマトを足して、柔らかくなるまでふたをして弱目の中火で時々かき混ぜながら煮込みます。

普通のお鍋なら1.5〜2時間、圧力鍋なら高圧で15〜20分くらいです。
人参は煮崩れにくいので牛肉と一緒に煮込みます。煮込む間、水分が蒸発して野菜や肉が煮汁から出るようなら赤ワインを足して下さい。

赤ワインで水分調節する

煮込んでいる間に、後入れの具材をお好みで用意しておきます。じゃがいもとブロッコリーがおすすめです。じゃがいもは皮をむいて丸ごと竹串が刺さるくらいレンジ加熱または蒸しておき、大きめの一口大に切っておきます。ブロッコリーは小房に分けて3分ほど蒸し煮してザルにあげておきます。

4、煮込んだ野菜をピュレにする

ブレンダーにかける

肉が柔らかくなったら鍋から肉と人参を取り出し、残りの野菜を網じゃくしか手つきザルでボウルに取り出し、ハンドブレンダーかミキサーまたはフードプロセッサーでピュレ(ペースト状)にします。

先に取り出した肉と人参、後入れ用の加熱したじゃがいもとスライスしたマッシュルームを煮汁の入った鍋に戻しておきます。

5、ピュレを鍋に戻して味付け

野菜のピュレを鍋に戻す

野菜のピュレも鍋に戻して弱めの中火にかけ、木べらやおたまで混ぜて煮汁とピュレを馴染ませ、好みの濃さに煮詰めてから塩と砂糖で味を整えます。

仕上がり直前

ピュレが多くどろっとし過ぎた場合は残りの赤ワインまたは水でのばします。ワインの場合はアルコールをしっかり飛ばして下さい。

盛付け例

盛りつける直前にブロッコリーを入れて温め、お皿に盛り付けます。

【ポイント】

・トマトを市販の「基本のトマトソース」缶に置きかえると濃厚な美味しさが楽しめ、煮詰める工程が時短出来ます。その場合は、野菜のピュレを入れるタイミングでトマトソース缶を加えて下さい。

・マッシュルームは、しめじやエリンギでもかまいません。きのこを1種は入れて下さい。酵素で肉を柔らかくしてくれて、美味しさに深みが出ます。

・砂糖は赤ワインや野菜の酸味を丸めてこくを出すために使っています。はちみつやメープルシロップ、使いそびれた黒みつなどでもOKです。量は調節して下さい。

・圧力鍋を使う場合は、普通の鍋で煮込むよりも水分の蒸発が少ないので、ワインを全量使うと少しシャバシャバした仕上がりになりますので、控えめでお試し下さい。

・もっとどっしりした濃厚な美味しさにしたければ、上記のトマトソース缶やトマトケチャップ、中濃ソースなど、野菜を煮詰めた調味料やみそなどの発酵調味料を足してみて下さい。

・どうしても物足りなければ、顆粒やキューブのコンソメスープの素を少量足してみて下さい。

◇◇◇

いかがでしたでしょうか?
予想していた通りの作り方でしたか?

ちょっと解説しますね。

見た目と材料はビーフシチューなのですが、調理方法としては実はポタージュの応用です。
コーンポタージュやかぼちゃのポタージュは野菜をピュレにしてとろみを出していますね。

このレシピでは、小麦粉を炒めたルーではなく野菜のピュレでとろみとうま味を出しています。(この方法はカレーにも応用が出来ます)
ですから小麦粉と油脂を使ったルーの持つ独特のこくや重さはありません。

煮詰めると濃厚なうま味を感じることが出来ますが、デミグラスソースや市販のルーを使った時のようなどっしりとした重さのある美味しさとはちょっと違います。

たっぷりの野菜と牛肉、赤ワインをふんだんに使っているので、うま味はしっかりあるのですがもたれない軽やかさのあるビーフシチューになっています。

肉を焼かないことで、油脂を使わず、早く肉が柔らかくなるようにしています。このビーフシチューはスネ肉を使っていることもあり、肉の表面を焼き固める意味はないと考えます。
(ステーキやローストビーフとして食べられる部位を使う場合はこの限りではありません。)

肉を柔らかくすると言う点では、赤ワインと玉ねぎやマッシュルームで肉を漬けるのも固いスネ肉を柔らかく食べる工夫の一つです。
玉ねぎやきのこ類に含まれる酵素はタンパク質を分解する働きがあります。

タネを明かしてみれば簡単なことですね。

時短や3STEPの簡単レシピではありませんが、少しだけ時間と手間をかけてお試し頂けましたら幸いです。

試作のための食材費や、子供達が使いやすい調理器具の購入に使わせて頂きます!