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花の終わりに

 5月は春に入るのだろうか。連休、半袖で汗をかくような日を過ごして最早初夏なんじゃないかと思った矢先に強い雨が降り寒い日が続く。春の寿命は短いんだか長いんだかわからない。

 強まる陽気と開放的になる気分と同じくらい、そこらじゅうで咲いている花たちに季節を感じる。桜が寒い中咲き始めて春だ!!!という陽気の時に満開になるのって、すごくないですか?よくできている。だから人気なのだろうか。(卵が先か、鶏が先かみたいな話だ)

 25歳にもなると道に咲いている花が前よりも目に入るようになってくる。小学生の頃なんて目にもとめなかったのだけど、あんなにもカラフルでいろんな種類があってなんていうか生きてますよ!!!と言っているような動植物は珍しい。だから花って愛されるのだろうか。そうして花に目を向けているうちに、その咲き方もさることながら散り方にもまた個性があることに気付かされた。

 桜のように散る花もあれば、椿のように花のままぼとん、と落ちる花もある。そんな中、私が心惹かれたのは閉じる花だった。貰った花束に入っていた、名前も知らない花が、少しずつうつむいていき、最後には固く、蕾が開く前のように閉ざされた。中はどうなっているのだろう、と開いてみようかと思ったが、その行いがひどく下品に感じられて手を止めた。

 よく女性が歳をとることは、花が枯れる様に例えられる。萎む、枯れる。この例えで行くと椿は若くして芸能界を引退するアイドルみたいなものだろうか。満開の状態が最上とされて、萎れていくと旬が去ったと言われる。若さや美しさは有限で、時間に抗うことはできない。だからこそ、その花の「語らせない」姿に心惹かれたのかもしれなかった。ただじっと押し黙って、誇り高く閉ざす。その意思を尊重したくなったのだ。

外野の騒音に耳を貸さず、自分の誇りを心に秘めて鎧を纏う。そんな強さを身につけたいものだなと思う。

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