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「壊す快楽」6/24日記

・コッコッコッという音で目を覚ます。薄目を開けて窓の方へ目を向けると小さな鳥がベランダの手すりに止まっているのが見えた。小鳥と目が合う。すると小鳥は突然、手すりから飛び上がり窓に向かって突撃し始めた。そして、その鋭い嘴で繰り返し繰り返し窓ガラスを突っついた。コッコッコッ…コッコッコッ…午前6時のことである。

・朝食に昨日の残りのお好み焼きを食う。キャベツともやしのお好み焼き。金がない時はいつもこうだ。朝から食べるには少々重すぎる。それにいい加減飽きた。たまにはお味噌汁にご飯、焼き鮭みたいな文化的で最低限度の朝食をとりたいものだ。

・昨日コラージュ作品を作った。日ごろ心が動いた時に撮った写真や漫画のコマをF20号にペーストするというやり方で。作りながら思ったのは、私の目はあまり外の世界に向いていないということだった。日常の、手の届く景色に精一杯になって外の世界で起きていることには全然目が向いていなかった。たぶん、余裕がないからだと思う。毎日を死なずに済ますことで精一杯で、外にまで目を向ける余裕がない。毎日を必死に生きていると言えば聞こえはいいが、要は不器用なだけだ。つまりは要領が悪いし、容量が少ない。

・大人になるとは「深さ」と「広さ」を持つことなのかもしれない。
どんなことでも受け入れる「深さ」と
外の世界にも目を向けられる視野の「広さ」

・別れ際の恋人が一番愛おしいように、捨てる前の本が一番読みたくなる。

・小説のページを破いて、テキストアートを作る。その瞬間、小説は本としての機能を完全に失い、文字の書いてある紙と化す。熱心な読書家や蒐集家の方には申し訳ないが、その瞬間が一番ゾクゾクする。小説の価値を完全に崩壊させる。そして、新たな価値を紙と化した小説に付与する。今まで一読者に過ぎなかった自分が、初めて小説よりも優位に立てた気がするのだ。

・ある博士の独白
「命が尊いことなんて、とうの昔に知っているよ。命は尊い。生命の神秘と奇跡の前では我々は敬虔な探求者にならざるを得ない。だが私はそれがたまらなく悔しい。だからこそ、踏み躙るんだよ。尊い命を粗末に扱う時こそ、初めて我々は命の上に立てる。徹底的に破壊し、その上に新たな命を作り出す時私たちはこの世界の創造主たり得るんだよ」

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