無名の筆者

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今を生きるうえで

それは人から嫌悪され、遠ざけられる。 それは人を疑わせ、冷たくする。 それは人を蝕み、貧しくする。 それは人に認知され、有名になる。 そして、それになったら同じく繰り返す。 感染者は人から嫌悪され、遠ざけられる。 感染者は行動を疑われ、冷たくされる。 感染者は菌に蝕まれ、貧しくなる。 そして、これまで見向きもされなかったのに 感染者として有名になる。 私は思う。 人の傲慢さと自己中心的な在り方が これ程までに明らかになる世の中になってしまった。 そして

    • エンドロール

      何度繰り返してきただろうか。 初めは胸を高鳴らせていて、それがいつしか平凡となった。 何をしていても頬の筋肉がぴくっと反応して笑ってたはずなのに。 緊張の糸で一生懸命コントロールしていた 情緒あるマリオネットは突如動かなくなる。 誰が悪い?どうしてこうなる? これからどうすればいい?何をすればいい? 考えれば考えるほど自分の首を自分で締めていることに誰も気付かない。 もめた時は謝って済ませばいいと先に謝った。 頼まれた事をこなしても頼まれた事しか出来ないのかと溜息を吐かれた

      • 非凡と平凡

        キザな言い回しはひかえたいところだが 上を見れば空が見えて、下を見れば地に足がついている。 当たり前でいつも通りで普通なのが非日常的な出来事の後にはありがたく思えたり、虚しく感じたりする。 しかしそれは一時的なもので毎日を繰り返していくとまた薄れる。 環境とやらに馴染んでいく、自然体へと戻っていく、平凡な日常を過ごしていく。 私は彼女と夢の様なひとときを過ごす為の最高のデートプランを計画した。 一時も無駄にすることなく時間の流れに合わせて動いていく二人の足取りは軽かった。

        • これから

          改札口とスマホを行き来する視線。 落ち着いてなんていられなかった。 この改札が私にはどこでもドアにしか見えなかった。 あんなに遠い所にいたはずの二人がこの改札を抜けて出会う日が来た。 ここまで来るのにどれだけの時間をかけただろうか。 移動時間なんてその一部に過ぎず、約束をしたその日から今日この日まで待ちわび続けた。 楽しみとしていた時から今日が近づく毎に胸騒ぎへと変わり、感情は思考回路を惑わせた。 『着いたよ』 彼女からのLINEを開くと辺りを見渡した。 しかし、必死に探

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        • あれから
          10本

        記事

          、。!?

          あなたと話をしていると 無意識に付いてくる気持ちよりも先に 誰かと話をしていても 考えれば考えるほどたくさん点いてまわる 元より誰かに求められるわけでもなく 思えば気付けば覚えてた それは気になる程じゃなく それは気にする事じゃなく それは気になる事になり それは気にする事になる あなたが話をするときは とても強調して見えてくるんだ あなたと話をしていると 徐々に意識してたくさん点けてしまう 時にはわざとらしく無理をして 背伸びした言葉を必死に紡ぐ 間違った見られ方や使

          これから

          人に言われて思う事と人に言われてする事は 時には大きな反比例をすると思う。 自分が考えている事と自分が考えた事は 結論がかけ離れる事もある。 そしてこれまでにその全てをイコールだと思っていた私の概念はあっけなく崩れた。 常識を重んじてきた。 他人を敬い、尊重してきた。 自分の考え、意見、思いは二の次としてきた。 妻に対してだけは。 だが、妻に言えない感情を抱き、それを形としてしまったこの瞬間。 誰にも理解されないものであり、 理解を求める理由も理性も必要なかった。 二人は

          これから

          同じくハンドルネームを持つ彼女と伴侶になる事となった。 その頃、ギルドの会長がプライベートを忙しくしてゲームに来なくなってきた。 会長を伴侶にもつ友人Himukaは私たちのゲーム内の婚礼を羨ましくも祝福してくれた。 彼女はまだ婚礼を済ませてなかったそうだ。 自分を皮肉りながら祝うHimukaを伴侶の彼女と笑いながら励ました。 それからはHimukaと私と伴侶のSunnyが三人でよく遊ぶ様になった。 人間生活を終えてはゲームの世界へ飛び込む毎日が当たり前になっていった。 徐々

          あれから

          ハンドルネームで呼ばれる毎日が ストレスを緩和してくれていた。 そこにいる時だけは自分という存在を認められている気になれた。 1番初めに仲良くなった彼女はゲーム内で伴侶と言われる相手を持っていた。 『指定の人と伴侶になったらスキルやステータスが上がるんだよ』 『スキルやステータスがあがるのか、、』 そうやって伴侶を作ってみようと考えていると 『でも伴侶って要するに結婚か何かするって事だよね?』 何処か複雑な物がよぎったのだ。 『たかが、ゲームだよ?』 確かに。確かにそ

          あれから

          とっとー起きて! 定例のアラームが私の事を叩き起こす。 毎朝5時、彼女らは私を起こして朝ごはんをせがむのだ。 重い腰を上げては朝食用のパンとお茶を差し出して一緒に手を合わせて 『頂きます』と声をあわせた。 私が起きれば妻は起きず、私が起きなければ妻が起きる。 阿吽の呼吸などと適当な事をよく言われた物だ。 二度寝するにも刻が足りない。 ただ、妻に愛情表現をする事でなんとかつなぎ止めようと朝から襲いかかった事もあった。 もちろん相手にはされない。 誰にも理解されない立ち位置と

          あれから

          結婚する事になった。 相手は9つ上の大人。 私みたいな人間は子供扱いされて相手にすらされないと思っていたのに。 私には二つ直しなさいと言われた事があった。 ①自分に都合良くごまかさない ②酒に飲んでも飲まれるな 残念ながらこれが私の全てかと言わんばかりに直す事が難しかった。 何か言われればごまかして、酔えば酔うほど酒は進んだ。 『一度ならず二度までも...』 妻は呆れ果てた顔で私を見下ろした。 私が目を覚ましたのは病院のベッド。 昨晩の最後の記憶は気持ち悪すぎて始発のホ

          あれから

          『乙ーwww』 お疲れ様と言う表現方法だそうだ。 オンラインゲームを初めてやり出した。 仕事も終わり、1人パソコンに向かってヘッドセットを装着して騒いでいた。 明日、オフ会とやらが東京で行われる。 オンライン通話の中身はゲームの話題ではなく 明日東京で何をするかで持ちきりだ。 『とりあえず東京タワーみようぜ!』 『家からずっと見えてるんですけどww』 『オレたちは見えてないし!』 『ウケるーwww』 その日の夜の夜行バスに乗り込まなければいけなかった私は少し早めに切り上

          あれから

          『おはようございます』 この言葉を日夜問わず使うようになったのはいつからだったろうか。 毎日同じ作業の繰り返し。 ショッピングモールの一角の倉庫で大量の段ボールから冬物の服を捌いていた。 周りはまたカップルでごった返し、立派なクリスマスツリーは私には見慣れた職場風景の一部分だった。 その風景に溶け込む事をどこか羨み無理だと嘆いて考えないようにした。 『寒いからこれ着なよ』 同期の子がジャンパーをくれた。 ふと目をやると帰り支度が済んでいて 『じゃあお疲れ様』と帰っていった

          あれから

          16歳を迎える高校一年生の夏 初めてアルバイトをしたのは海の家だった。 空からは日差しが照りつけ、手元から上がる鉄板の熱気に首から下げたタオルで汗を拭いながらひたすら焼きそばを焼いてた。 正午を超えるとパラソルの日陰に生温い潮風を感じてようやく身体が少し涼しくなる。 『焼きそばとビール』 このメニューだけは自分がこなさねばならない いつもビキニのねーちゃんと、少々強面のにーちゃんが来るたびに【ああいう大人になりたくない】と思いながらも片隅で羨ましいと思ったものだ。 その日