土用の間日に

土用の間日に

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記憶による愛とは

つらい。 辛いことは幾重にもあって、重なり合いながら頭の中を埋め尽くす。 折重なった白い紙を平らにならし、視野を遮っていくようで、 全てが曖昧な影になって、光だけが見える。 その蝋燭の火に揺れるような、抽象化された漠然とした視界が、不安を煽るような気がする。 その影は、記憶の中の大多数のものに当てはまるようにも思えるし、どれにも当てはまらないようにも思う。 境界のはっきりとした影ならば、まだいくつかの選択肢に絞れるはずなのに、判然とした分かりきった現実は案外辛くて目を

    • どんな自分も好き

      どんな自分でも好きって 案外自分がないのかも 好きじゃない場所にいても そこにいればそこにいる自分が好きだから そこを良いところだと思いはじめ きっとセレブがいけすかなくっても 城に嫁げば社交界とか好きになるんだ 結局自分であればいいということだけど 何を持って自分だとするかという話になると 矛盾する 人は変わるんだよ!とかなんとか喚く前に 自分の好きなものくらいはっきりさせときたい

      • 土用の間日に、盗み食い

        昔、尼になりたいと思ったことがある それは16,7の頃だったので思春期特有の強い自我や欲、それを囲む世間や世俗的な煩わしさから離れて安穏とした隠遁生活を送りたいというような気持ちからだったが、 今振り返れば、元々隠れて何かをすることが好きだっただけかも知れないとも思う 放課後の内緒話、秘密基地、夕日が落ちる頃にした二人だけの約束、誰にも見せたことのないという友人の漫画帳やイラスト、思いもよらない誰かの過去、兄弟が寝静まった深夜大人だけの時間に少し混ぜてもらうこと 誰にも言え

      記憶による愛とは