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くるりの25回転

「所詮 君は 独りぼっちじゃないでしょう

 生きて 死ねば それで終わりじゃないでしょう」

 響くとか、刺さるとか、そんな領域じゃない。一瞬にして、いろんな感情や想いが溢れ出てきて、本能のまま涙がこぼれた。

 2/11(金)、くるりの25回転、東京公演に行ってきた。1月には大阪公演にも独り身で行ったが、どうしても、学生のうちにもう一度あの音楽を聴いておきたいと思い、大学の友人を誘って出掛けた。

 スペシャル。そして、自分の今までの道筋を柔らかく励ましてくれる、そんな時間だった。

 冒頭の歌詞は、「ソングライン」という曲の一節。曲の終わりに、ボーカルの岸田繁がアレンジでその一節を弾き語った。涙がこぼれたのはきっと僕だけではない。おそらく隣の友も頬を涙で濡らしていた。そしてきっと、会場の皆さんも。

 涙を流した理由は、きっと人それぞれ。ちなみに僕は、4年前に亡くなったオヤジのことがとっさに頭に浮かび、涙が溢れ出た。「それで終わりじゃないよな」って思えて、悲しい気持ちとほんの少しの勇気が沸き上がった。あとは、やっぱりこの時代、色々なことが制限され、いつの間にか行動する勇気も自然と萎んでいたりする中、「人ははただ生きて死ぬだけじゃない」、「人生は深い営みなんだよ」ということを語りかけてくれた瞬間でもあった。

 大切な人を想うソングでいうと、「loveless」もそう。

「愛はどこでも 消えない気持ち 

 懐かしむこと 慈しむこと

 許し合うこと 見えないことも 見ようとする 強い気持ちのこと」

 もう、この歌詞について語る必要はない。そのままだ。うん。

 この2曲以外も、本当に全部、心が動き、すべての感情をさらけ出してくれた。僕がくるりで一番好きな「ロックンロール」という曲はもちろん、最高だった。

 くるりは、自分で知って、ちゃんと好きになった初めてのバンドでもある。だからこそ、たくさんの曲に思い入れがあるし、大学生活のいたるところで、その歌詞に、そのメロディーに、その空気に支えてもらった。辛いときも、幸せなときも。くるりはずっと、そばにあった。

 学生生活の最終盤に、素晴らしい音楽を聴けて良かった。友人を誘って出掛けて良かった。公演後の、余韻に浸りながらの会話も忘れない。

 素晴らしい時間だった。またこれからも、くるりの音楽に心を動かされながら、混沌としたこの時代を、ゆっくりと生きていきたい。

「足早にならず確かめながら」。


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