見出し画像

言語規範

今回は、言語規範についてのお話です。言語規範とはことばの決まりごとのことです。

外国語としてことばを学ぶ場合、必ず文法を学びます。これはコミュニケーションのためにことばを使うには一定の規則があるからです。こうした文法規則も言語規範の一部です。外国語として学ぶべき文法の多くは、誰かが意図的に決めた規則ではなく、コミュニケーションを円滑に行うために社会の中で自然に形成されてきたものです。

言語規範にはこうした社会の中で自然に形成されたもの以外に、人為的に決められたものがあります。ヨーロッパではこうした観点から編まれた文法書が古くからあります。日本でも内閣訓令で公用文作成の規則が出ていますし、活字メディア各社では表記マニュアルを規定しています。こうした規範の多くは従わなくても意味の伝達に困ることはありません。

では、人為的に定められた言語規範は無視してもよいのでしょうか。私の答えは「否」です。つねに言語規範に忠実であれとは申しません。しかし、戦略的に、言語規範に沿ったほうが得策だと考えられる場合においては、言語規範に忠実な表記・表現を心がけるべきだと思います。例えば、漢字とかなの書き分けについてであれば、多くの通信社や新聞社が採用している言語規範に従ったほうが、読み手にとって読みやすくなります。それから、女性より男性、若い人より年配の人、低学歴の人より高学歴の人のほうが、ことばの変化に対して保守的であると言われています。「要はじじいでしょ?」と言うなかれ。いまでも社会や組織の中で影響力を持っている方がたくさんいらっしゃいます。規範に則った文章を書くことは、面接試験でスーツを着用するのと同様の戦略に基づくのです。

受験英語で日常会話には使わない表現まで学ぶのは、欧米社会の中で高度な言語規範に則って書かれた文章を読む必要性があるからです。欧米の大学では論文に使う文法を教えていることも少なくないようです。時と場合によってはかっちりした言葉遣いができるようにすること。これは日本語でも英語でも同じです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?