知識の大切さ
この時期になって、語彙や文法の学習に力を入れている大学受験生がいます。何を今さら、と思う人もいるでしょう。それは受験強者の言い分です。早い時期から大学受験を意識し、最難関の志望校を目指して受験勉強を進めている受験生、そしてそうした受験勉強を経験してきた指導者であれば、基本語彙や文法なんてとっくに身につけているはずだと思うでしょう。しかしながら、受験生全体を見ていくと、高3になって、あるいは高校を卒業してから本格的に受験勉強を始めたという受験生も少なくありません。
大学入試が多様化していますが、一朝一夕には対策できない方式の入試が増えているだけで、高3以降から対策を始めて確実に決められるのは一般選抜の個別試験でしょう。私大個別試験では選択式の問題が主流で部分点がもらえないので、解答の精度が問われます。解答の精度は知識を的確に用いることができるかどうかで決まってきます。このことに気づいた受験生は、この時期になっても語彙や文法の学習の手を緩めるわけにはいかないのです。一方で一般的な「受験暦」に振り回されて実戦的な学習こそこの時期には必要なのだと先走っている受験生もいます。彼らの中には、語彙や文法の知識が明らかに不足しているにもかかわらず、そのことに気づいていないか気づいても放置している人もいます。
「慣れ」だという人もいます。同じ間違いを繰り返していても「慣れ」なんか培われません。なぜ間違えているのかを把握し、改善していかなければ成らないのです。そしてその改善策は、多くの場合、知識の充実なのです。