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脚立からビキニを連想させる家

 近所にゴミ屋敷がありました。敷地という敷地に大小様々なガラクタが積み上がり、前の道路にまで進出していました。きっと室内も同様か、それ以上の有様だったことでしょう。

 この手のお屋敷はお隣さんからしてみたらあまりいい感じはしないでしょうし、何より道路に進出したガラクタは事故の元です。そのためか、過去には様々なゴミ屋敷が行政や専門業者によって対処されてきました。

 近所のゴミ屋敷もまた、私の知らぬところで対応が取られていたようです。いつの間にかガラクタが少なくなり、ゴミの山だった敷地内に車が停まるようになりました。表札が変わっているところから、どうやら家の持ち主が変わったようです。

 しかし、こう言っては何ですが、新しい家主もそこそこいろんなところにものを置くタイプのようです。敷地内の地面に脚立が並べられ、ベランダには脚立が何台も置いてある。屋根の上にも脚立。何でそんなに脚立まみれなのか。建設・設備関係のお仕事をしている方なのかもしれません。

 何なら自宅前の電信柱と自宅の壁の間にまで脚立を突っ込んでおりまして、一般のお宅に比べれば遥かに散らかっている印象です。でも、前の状態が本格派ゴミ屋敷だったためか、「随分と片付いたな」という感想を抱くんです。ご近所さんもきっと同じでしょう。

 出典不明の話をしますけれども、ビキニと呼ばれる布地の面積が少なめの水着がありますね。そして、グラビア撮影の時、ただでさえ少ない布地の面積を更に限界まで削り取ったマイクロビキニをアイドルの女性に「着てくれませんか」と提示する場合があるんだそうです。当然、本人やマネージャーからNGが出る。そうすると、先ほどよりも布面積が若干増えたビキニを持ってくる。撮影側としてはそちらが本当に着させたい水着だったんですが、アイドルとそのマネージャーは知りません。何なら「さっきよりマシか」という錯覚に陥り、最初から本命を提示するよりもOKをもらえる確率が高いんだそうです。世の中には人の感覚を狂わせるために存在する水着があるのかと私、感心した記憶があります。

 脚立がたくさんある家の前を通るたび、私はその話を思い出すようになりました。脚立からビキニを連想する。客観的に判断して末期だと思います。

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