笑いに関する名言集――ブラックジョーク
名言が好きな人って多いと思うんです。そう思わせるくらいにはみんな名言を祭り上げています。でも、その割には笑いに関する名言集がないんです。だから、自分で作ろうと試みているわけです。
ここでは笑いの名言を以下のみっつのどれかに当てはまるものとしました。
今回はブラックジョークと思われる名言を集めてみました。どういう意図で収録したのかは分かりませんが、名言集にはしばしばブラックジョークが紛れ込んでいます。そんなブラックジョークな名言をいくつかご紹介いたします。
まずはこちらです。
ジョンソンは「英語辞典」の編集で知られるイギリスの文学者でございまして、特に警句、つまり名言っぽいものをたくさん残したことでも知られています。
そして、この名言なんです。釣り人と殴り合いの喧嘩でもしたのかと邪推してしまうほど釣りに対して辛辣です。
お国柄もあるのかもしれませんが、ジョンソンは英語辞典でも様々なところに皮肉を練り込んでおりまして、ウィキペディアによりますと「dull(退屈な)」の項目では「例:辞書作りは退屈な仕事だ」なんて自虐的な例文を入れているんです。多分、もうブラックなジョークを言う癖が出来上がっていたんだと思います。
「お国柄」なんて書きましたけれども、どうもイギリスはブラックジョークをたしなむ伝統があるようで、こんな名言を残したイギリス人もいらっしゃいます。
エリスはイギリスの医師でございまして、代表作として性について調査した「性の心理」がございます。この著書はイギリスで発禁になり、アメリカで刊行されたという経緯がございまして、ナルシシズムと自然愛の概念を広め、精神分析にも導入されることとなります。
昔に刊行された名言集から引っ張ってきたこともあって、ものすごいことが書いてあります。エリスがどうしてこんな言葉を残し、それがどうして名言集に収録されたのか。謎が多いですけれども、恐らくは強烈なブラックジョークなのではないかと思われます。
イギリス方面では、こんな言葉も見つかりました。
バーナード・ショーはアイルランドの劇作家でございまして、ヴィクトリア朝時代から近代にかけて英語圏の国々で多くの功績を残し、1925年にはノーベル文学賞を受賞しております。アイルランドで生まれてはおりますが、当時はグレートブリテン及びアイルランド連合王国という国でございました。
「人と超人」はバーナード・ショーが書いた喜劇でございますけれども、作品内でこんな言葉が出てくるわけです。ブラックジョーク極まれり、といった感じです。すごいこと言ってるな、と思うと同時に、一種の清々しさも感じてしまう。ブラックジョークが現在に至るまで残っている理由は、こんなところにあるのかもしれません。
ここからはイギリスを離れていきます。続いてはこちら。
ウィルソンはアメリカ第28代大統領でございまして、政治学という学問から行政学を分離させたことにより、アメリカにおける行政学の創始者と見なされています。
そんなウィルソンがこう言った理由は、大卒の人は社会的身分が保証されているためだとされています。恐らく、ジョークで言ったとは言え、当時の大卒はそうだったのでしょう。今でも大卒は比較的その傾向にあるため、ウィルソンのジョークはまだ通じる余地があると思われます。
アメリカ大統領の中にはこんな言葉を残した方もいます。
ジョンソンはケネディ政権で副大統領に就任したものの、ケネディ大統領暗殺事件で大統領に昇格した人物として知られます。社会福祉を推進した一方で、ベトナム戦争の軍事介入を拡大させた負の側面もございます。
そして、上記名言がどういうことかと申しますと、FBI初代長官であるジョン・エドガー・フーヴァーをどうしてFBIに留めておくのかという質問に対しての答えなんです。
フーヴァーは法医学など科学的な操作を導入するなど、FBIを犯罪捜査機関として強化した人物ではございますが、晩年はFBI長官としての立場を悪用し、権力を集中させて好き勝手やり始めます。もう合法・違法を問わずあらゆる方法で情報を収集し、いろんなところで活用したことから大統領をもビビらせる立場になっていました。
つまり、フーヴァーを無理に辞めさせるととんでもない「おしっこ」が飛んでくるから、だったらFBIにいさせた方がいいだろうということなんだろうと思われます。
フランスでもこんなブラックジョークっぽい名言が残っています。
ヴォルテールはフランスの文学者でございまして、百科全書派の学者のひとりとして活躍しました。
ヴォルテールはヴォルテールで医者に何かされたのかとも思いましたけれども、当時の医療は現在とだいぶ違っていたでしょうから、こんなブラックジョークを放り込む余地があったのかもしれません。
もちろん、今だって未知の病気や薬品はございますけれども、かなりマシにはなっているでしょうし、当時ほど未知ではなかったと思われます。
続いてはこちら。
ホープはイギリス生まれで、20世紀のアメリカを代表するコメディアンのひとりとして知られます。毒舌で広く親しまれ、長い間にわたって一線で活躍いたしました。
ホープがいじっているザ・ザ・ガボールはハンガリーで生まれアメリカで活躍した女優でございまして、特に9回の結婚と膨大な宝石コレクションで知られています。ホープは彼女の結婚と宝石を「リング」という言葉でいじったわけです。
ちなみに、ザ・ザ・ガボールの言葉も残っています。
ザ・ザ・ガボールもザ・ザ・ガボールでいじりに全く負けていません。清々しいくらいバッサリです。9回結婚した女性でないと辿り着けないような境地にすら見えます。
◆ 今回の名言が載っていた書籍
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