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一休の杖かパワードスーツか

 全てがその通り実現するわけじゃないと知りつつも、将来について何となく思い描いてしまうものです。例えば、ご年配の方が杖をついて歩いている。それを見て自分も将来、杖をついて歩く日がやってくるのかもしれないと思う。もしその日が来た場合、自分はどんな杖を使うのか。

 とりあえず、街中で実際に使われている杖を見てみると、同じ杖でも細部がそれぞれ異なっています。細分化が進んでいるんでしょう。更に、細部を確認すると、使いやすいよう進化しているのが分かります。昔は杖と言えば木製だったのでしょうが、今はより丈夫なアルミ製になっており、持ちやすいようなグリップがついているものが一般的なようです。ぶら下げておけるようにストラップもついていますし、杖の安定感を増すようにゴム製のキャップが標準装備されています。中には杖の先端がちょっと太くなっていたり、4つくらいに分かれたりしているものもありました。販売サイトを確認すると色も数種類はあるようで、長さが調節できたりとか、折りたためるタイプもございました。

 高い杖とかあるのかなあと思ってアマゾンで軽く調べたところ、36万円を越える杖を発見しました。

 ちょっとした中古車よりも高いです。どの機能がどれだけ値段に反映されているのかは知りませんが、とにかく現在の杖市場が盛り上がっていることは分かりました。

 ただ、不満がないと言えば嘘になります。確かに機能的な杖が増えて来たとは思いますが、個人的には機能的になればなるほど杖っぽさがなくなっていってる気がするんです。もっとこう、見た目に振り切った杖はないものか。例えば、髪も髭もボーボーの仙人が使うような、途中でグニャグニャねじ曲がった木をどうにかそれっぽく加工した杖とか、悪魔に魂を売り渡した人が使ってそうな、その昔は一休さんも使っていたとされる先端にドクロがついた杖とか、なんかそういうのです。

 と思って調べましたら、さすが盛り上がってる杖市場です。仙人が使ってそうな、グニャグニャ曲がった木の杖は見つかりました。例えば、ドラゴンボールの亀仙人タイプです。

 他にも、高級コートをまとったフィクサーが持ってそうな杖とか、調べればいろんな外見の杖が出てきます。一応は先端がドクロの青年一休スタイル杖もあるにはありましたが、メタリックなドクロと申しますか、いかにも装飾といった感じが出てて、マジドクロっぽさに欠けるんです。

 もし魔術が使えそうな外見のおじいさんになったら是非ともマジドクロ杖を使ってみたかったんですが。まあ、普通にいけば杖が必要になるまでは数十年の時間があることですし、そこは杖業界の更なる発展に賭けたいところです。

 そう思っていたんですが、ロボット関係の本を読んでいたら、人の筋力を増強させるパワードスーツというものが実用化に向けて開発が進められていると書いてありました。パワードスーツは身体を動かす仕事に就いている方はもちろん、何らかの理由で筋力が低下している方のサポートとして使うことも将来的には考えられているそうです。つまり、パワードスーツ量産化の暁には、杖の市場を切り崩す可能性がある。杖より安価になることはあまりないでしょうが、強力な競合相手にはなるでしょう。

 パワードスーツは身体の外側に装着する形になるようです。そうなると、杖が必要な方は下半身メインで装着するはずです。つまり、上半身の割にはやたらと太い下半身になって、歩くたびにウィーンガシャンウィーンガシャンと音が鳴るに違いありません。それはそれで格好いい。未来って感じがします。

 魔術が使えそうな杖か、パワードスーツか。とりあえず、現状の進路はこのふたつにしぼっておくつもりです。

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