見出し画像

短い名前ほどよく使うと思ったんです

 名前が長いと使い勝手が悪い。落語の「寿限無」がそれを体現しています。寿限無の内容を調べたら、「主人公である寿限無以下略が友人を殴り、父親が友人のご家族へ謝りに行くも我が子の名前を言っている間に相手のコブが引っ込んでしまった」とか、「寿限無以下略の入学式で両親が子供の名前を呼んでいる間に夏休みが来てしまった」とか、いろんなバージョンがありました。テーマが分かりやすいせいかみんな好き勝手にいろいろ考えているようです。

 逆を言えば、よく使う言葉は短くなってるはずです。そりゃそうでしょう。靴の名前がどれも寿限無以下略レベルだったら靴屋が潰れますし、魚の名前がすべて寿限無以下略レベルだったら魚屋が潰れてしまいます。いや、本当に潰れると思うんです。「商品名が全部長くてやってられっか」とか言って従業員が揃って夜逃げとかして。

 仮によく使う名前ほど短くまとめてあるとします。日本語の最短は1文字です。ここで、1文字で表せるもの、特にひらがなにしても1文字のものが、古来より日本人がよく使うものだったと仮定しましょう。そうすると、大昔の日本人が何をよく用いてきたか、何を気にしてきたか、何を大切にしてきたのか、1文字の言葉から分かってくると思いました。

 というわけで、1文字の単語を五十音順に探し、並べてみました。あくまで現代人の基準で、今も使うだろうという言葉を中心に選びました。いくつか候補がある場合は最もよく用いられそうなものをひとつ選び、1文字で意味がある単語があったとしても日常的にまず使わないと思われるものは除外しました。結果として、以下のようになりました。適切な単語がなかった五十音はひらがなのままにしてあります。

あ胃鵜絵尾 蚊木苦毛子 差死巣背そ 田血つ手戸 名二ぬ根野 歯火麩屁帆 間身無目藻 矢湯世 ら利るれ櫓 輪をん
蛾ぎぐげ五 座字図是ぞ だ痔づで度 場美ぶべぼ ぱぴぷぺぽ

 我々の先祖は一体何を考えていたのか不思議で仕方がなくなるラインナップですね。そもそも前提が間違えているんじゃないかという結論は意地でも避けていきたくなるラインナップとも言います。ちなみに「痔」を「ぢ」で表すのは歴史的仮名遣いだそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?