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押しボタン式信号機で甘い考え

 押しボタン式の信号機がございます。歩行者が車道を渡りたい場合、ボタンを押すことによって信号機の色を変え、車を止めてから渡るタイプの、皆さんご存じのやつです。

 当然ながらボタンを押さないと歩行者側の信号は赤のままですから、普通は押すんです。しかし、厄介なことに世の中は押しボタン式でない信号機のほうが多い。だから、押しボタン式の信号機にやってきても、いつもの癖で待っていれば自然に信号が変わると思い込み、ボタンを押さずに待つという現象が起きる。そして、「なかなか変わんないな」と思ってしばらく経ってようやく気づくこともあれば、後から来た人がボタンを押してハッとする場合もある。

 全ての信号機が押しボタン式になればこんな勘違いはなくなるんですが、信号機が押しボタン式オンリーになったら不便すぎて地味にこの世が終わりそうです。そうかと言って、押しボタン式の信号も需要があるのかなくなりそうにない。そして、人は間違える。信号での勘違いは当分起こりそうです。

 私のジョギングコースにも押しボタン式の信号機がいくつか存在します。日常的に訪れている場所でございますから、私が押し忘れることはまずありません。

 逆に、あまり来ないであろう人がボタンを押さない状態で待っているところを時々見かけます。私はなるべく気まずくならないよう、自然な感じでボタンを押すように心がけています。先に待っていた方はご自身の勘違いに気づいたかどうか定かではありませんが、信号の色が変われば普通に横断歩道を渡ってゆく。当然、私もまた、誰の間違いも気づいてないかのように横断歩道を渡る。慣れたものです。

 とある日のジョギングでは、押しボタン式信号機のそばで3名の方が待っていました。3人いれば誰かボタンを押してるだろうと思ったんですが、それは甘い認識でした。待てど暮らせど、信号が変わらないんです。待ってる全員が押しボタン式だと気づかなかったのかもしれないし、他の人がもうボタンを押しただろうと思い込んだのかもしれない。いずれにしろ、「3人もいれば大丈夫だろう」という私の考えは甘かったわけです。

 私は3人の間をすり抜け、そっとボタンを押しました。信号が変わり、人々が横断歩道を歩き始めます。どうして私が一番申し訳なさそうな顔をしていたのかは分かりませんが、とにかく無事に道路を横断できて何よりです。

 それにしても痛感したのは己の認識の甘さです。どんなにレアな現象でも起きる時は起きると骨身に染みた私、これからは押しボタン式に100人待っていようが、ボタンが押されたか確認しようと心に誓った次第です。多分、信号機に100人待っていたら、結構な人混みをかきわける必要が出てくるでしょうけれども、100人同時に変わらない信号機を待ち続けていては相当な時間損失です。皆様の貴重な時間を失わないためにも、100人待ってても頑張ろうと思います。

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