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レザークラフトにおけるハンドメイドの利点とは何か(その2)

こんばんは、珍しく二日連続の投稿となります!
昨日書いた記事を読み返していて、
「題に対して何の答えも書いて無いな・・」
と思い、レザークラフターとして感じる、ハンドメイドの利点を何点か挙げておこうと思い筆を取りました。

デザイン・寸法変更

先ずはこれですね。
気に入った皮革製品があっても、寸法や色やデザインがこうであればなぁと思う事ってありますよね!
そういったものを再設計して作る事が出来る、というのがハンドメイド、というよりもオーダーメイドのわかりやすい利点です。

とはいえ、作家は元々ある製品をそのまま真似る、という事は著作権的な意味合いで余りしません。
こういう形の〇〇〇という大枠なら指定されたように作りますが、特にデザインが関わる部分は真似られないですね。

皮革製品であれば、名前を刻印(レーザー刻印・スタンプ打刻)したりすることも出来る(出来ない革もありますが)ので、世界で一つだけの物も作りやすいです。
本革は余程の事が無ければ一生使えるので、何かの記念品としては大変オススメできます。

縫製

次は縫製ですね。これはミシン縫いと手縫いではかなり大きな違いがあります。

ミシンは下準備をせずとも、革専用工業ミシンであれば布と同じように縫う事が出来るのですが、手縫いの場合、必ず下穴をあけなければいけません。
その為、ミシンと手縫いでは圧倒的な時間の差が出来てしまいます。
直線30cmを縫うだけでも、ミシンなら10秒で出来てしまう所、手縫いだと穴あけから考えても20分以上かかります。

また、穴あけから手作業なので直線に下穴をあけるという事が思っているよりも難しい作業になります。また、糸も太いため、綺麗に直線に縫うのはレザークラフトはかなり難しいものなのです。
つまり、時間が掛かる事と、機械的な直線が出ない事、がハンドメイドのデメリットになります。


一方でメリットは手縫いならではの美しさと強度の二つです。

前述と矛盾するようですが、手縫いのステッチは作り方によってはとても綺麗なものになります。
レザークラフトの手縫いは、菱目かヨーロッパ目の二つが主流です。
糸が斜めに綺麗に並んでいて、張り合わせという目的だけでなく、デザインステッチとしての役目もあります。

また強度も手縫いが有利だと思います。
私はミシンを所持していないので、現代どのような機能があるかはわかりませんが、基本的にミシンは上糸が下糸を引っ張る事で縫い目を形成しています。なので、どちらかの糸が切れると全体に緩みが発生して糸が抜けてしまい、全部解けてしまうという事になります。
その点、手縫いは一本の糸をクロスさせて縫っていきます。つまり一つの縫い目毎に上の糸と糸が締め付けているので、どこかが切れても連鎖的に解け辛いという利点があります。
また、布と違い玉止めではない方法で糸の終点処理をするので、解けたところだけを後で修繕する事もしやすいです。

ちょっと特殊な点ですが、上下交差して縫うので、違う色を交互に縫い目に出すことも出来たりもします。


ただ、上に書いた通り、私は手縫い専門でミシンを扱ったことがないので、もしかしたら今のミシンはもっと色々出来る物もあるかもしれませんのでご了承下さい。


コバ仕上げ

コバとは革の断面(側面)になります。
皮革製品は、布製品と違い袋状のものを作ってひっくり返す事で縫い代を見せない事が出来ないものも多いです。
出来たとしても、素材の反発力のせいで綺麗に行かないこともあります。
なので、このコバの処理をしてあるものが多いのですが、これは大体手作業になります。

完全に機械だけで作る場合、恐らくは縫い代の革を薄くして折り返してミシンで縫い込むことで切り端を外に出さない方法(ヘリ返し)が取られます。
これはこれでとても綺麗なのですが、コバ仕上げは革の大きな特徴を出せる部分でもあります。

革は裁断面にヤスリをかけ、水を付けたり専用の薬剤を付けて磨くことでとても光沢のある面を作り出すことが出来ます。
素材の上に何かを付けている訳でも無いので、曲げにも強く修正もしやすい、表面との素材感の乖離も勿論ありません。
ロウを塗りこむ事でより強度を高くし、水分にも強くしたりも。
凄く革らしくなりますし、ここの手触りがとても好きだという人も良く聞きますね。

余談ではありますが、出来る革が限られるので、ここの処理を見るとその革の鞣し方がわかったりもします。
マニアックですが、知っていると革製品を見るのが楽しくなりますよ!



と、駆け足になりましたが、ポンと思いついた利点を記事にしました。
ただし、あくまで主観ですし、私もまだまだ駆け出しなので知らない事の方が多くあるので、一作家の視点だと思って読んで下されば幸いです!
また気付いた事があれば、ちょこちょこと更新していきますので、その際にはお付き合い頂ければ幸いです。

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