ボビー・ホートン Oh, I'm a Good Old Rebel 和訳

今回もHomespun Songs of the C.S.A volume.1から。
参照した歌詞はこちら。

O I'm a good old rebel, Now that's just what I am.
ああ、俺は古き良き反逆兵 それがまさに今の俺だ

For this "fair land of freedom" I do not care a damn.
なんたって、こんな「自由たる公平な国」だなんて そんな糞みたいなもんにかまうもんか

I'm glad I fought against it, I only wish we'd won,
「自由たる公平な国」と戦えてよかったよ ただ、俺たちが勝てたら、と思うばかりさ

And I don't want no pardon For anything I done.
俺がやった凡ゆることを、許してほしいとすら思わない

I hates the Constitution, This great republic too,
憲法も、この偉大なる共和国も、糞くらえ

I hates the Freedmans' Buro, In uniforms of blue.
俺は黒人解放局なんか嫌いだ 青い服なんか着やがって

I hates the nasty eagle, With all his brags and fuss,
俺は不快なハクトウワシが大嫌いだ 高慢ちきでうるさいやつだ

The lyin' thievin' Yankees, I hates 'em wuss and wuss.
うそつきで盗っ人の北のやつらめ 俺はあの腰抜けどもが大嫌いだ

I hates the Yankees nation And everything they do,
俺は北軍の国が嫌いだし、やつらがやること為すこと全部嫌いだ

I hates the Declaration, Of Independence, too.
俺は独立宣言だって大嫌いだ

I hates the glorious Union- 'Tis dripping with our blood-
俺は光り輝く合衆国なんて嫌いだ 俺たちの血が滴ってるんだぞ

I hates their striped banner, I fought it all I could
俺は星条旗が嫌いだ 俺の持てる力すべてを振り絞って戦ったんだ

I followed old Marse Robert For four year near about,
俺は老いたリー将軍に、4年くらい仕えた

Got wounded in three places And starved at Point Lookout
3箇所で怪我をして、ポイントルックアウトじゃ飢えを経験した

I catch the rheumatism A' campin' in the snow,
俺はリウマチを患ってる 雪の中でキャンプしたからだ

But I killed a chance o' Yankees I'd like to kill some mo'.
けども、俺は幸運なことに、北軍のやつらどもを殺したのさ もっと殺してやりたかったよ

Three hundred thousand Yankees Is stiff in Southern dust,
30万もの北軍どもが、南部の土の中で死後硬直している

We got three hundred thousand Before they conquered us.
俺たちは30万しかいなかったんだ やつらが俺たちを征服する前には

They died of Southern fever And Southern steel and shot,
あいつらは南部の熱に、南部の剣や銃にやられて死んだんだ 

I wish there was three million Instead of what we got.
ああ、俺たちだって300万いたらよかったのによ

I can't take up my musket And fight 'em now no more,
もう今や俺はマスケットを持って立ち上がるなんてできないし、やつらと戦うこともできない

But I ain't gonna love 'em, Now that is certain sure,
けども、俺はあいつらを愛せやしないよ それは自信をもって言えるさ

And I don't want no pardon For what I was and am.
それに俺は、かつての俺や今の俺を認めてほしいとも思ってないさ

I won't be reconstructed, And I don't care a damn.
俺はリコンストラクトされない そんなもん知ったこっちゃない

解説
・この曲はとくに、ユーチューブで、ぜひいくつか聞き比べをしてほしい!
メロディやテンポがバージョンによって全く違うので、ぜひお気に入りを見つけてみてください。
以下、私のお気に入り。

↑ このアルバムはいわゆるコンピレーションアルバムで、色々な歌手(おもにカントリー系の歌手)が歌う南北戦争時代の歌を収めたもの。
コンピレーションなだけあって、どの曲も歌唱力が高いので、この曲に限らずオススメ。

↑ 市民バンド、アン・リコンストラクテッドのもの。i'm a good 'ol rebelはもちろんのこと、とくに彼らのKill the yankee soldierは、ぜひ一度聞いてほしい。

・マース・ロバートについて。マース・ロバートとは、リー将軍の別名。北軍のポトマック軍を7日間の戦いで撃破したのち、部下から「マース・ロバート」と呼ばれていたようである。

・Reconstruction について。リコンストラクションという言葉自体は再建=「復興」的な意味で幅広く使われる言葉であり、たとえば第二次世界大戦の復興などにもリコンストラクションという言葉が使われたようである。今回の場合は南北戦争からの立ち直りと合衆国への併合、そしてとくにひどい状況にあった南部の立て直しを指している。しばしば急進的に行われたため、この曲の歌い手のように合衆国(北部)に不満をもつ保守系の人々の一部が、KKKを形成することに繋がったとされる。

・黒人解放局(Freedmen’s Bureau)について。おもに黒人(と貧しい白人…当時奴隷を所有していたのは白人のごく少数であり、あとの白人は裕福な白人の農園で働く貧しい小作人である)を助けるために作られた政府機関であった。彼らの医療や教育の普及に貢献した。

・uniforms of blueについて。南北戦争時、北軍の制服は国から支給された青色のものだったので、青といえば北軍の象徴になる。他方、連合国政府が支給した南軍の制服は灰色であったので、青と灰というような言い方で隠喩することがある。
とはいえ、南軍はいわゆる反乱軍(rebel soldier)であるから、制服は全員に行き渡っていたわけではなかったようである。制服が支給されなかった人や半ばゲリラ兵的に参加していた人たちは、私服で参加した。その結果、そうした兵士が仲間なのか敵なのか見分けがつかず、戦場が混乱するような一面もあったという。

・ちなみに、南軍の従軍者は、およそ75~100万とされているようである。他方、北軍は160万近くいたようである。勢力に差が開いた大きな原因は、北部人口が南部よりもかなり多かったせいである。
こうした人口の不均衡はそもそも、戦争前から随分と問題になっていた点であった。つまり、北部の大幅な人口増加のせいで、いわゆる「一票の格差」問題が起きていたのである。当然、投票結果には北部に有利な反イギリス・工業化・奴隷制廃止が反映されるわけである。この問題が複雑化し、南北戦争につながったわけだった。

・ポイントルックアウトについて。メリーランド州の場所の名前だが、ここには南軍捕虜の収容所があったようである。環境は当然不衛生で、そのせいで多くの捕虜が命を落とした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?