【第138回】初めてのエルビス・コステロ
皆さんは邦楽から洋楽を聴くようになったときのことを覚えておいででしょうか。まあ、いきなり洋楽から聴いていたという方もいらっしゃるでしょうけれど。そういう方は親の影響が大きいのかなと思っていて、私の親は音楽には全く無関心というか、聴きはするけれどBGM的な感じで、こだわりがほとんどない。そんなわけなので私の音楽の入り口は当然邦楽だったわけだ。
邦楽から洋楽を聴くようになったのは、20歳くらいだったと記憶している。当時は「B'z」とか「THE YELLOW MONKEY」とか「米米CLUB」とか「L'Arc~en~Ciel」とかを聴いていて、あ、後「WANDS」も忘れちゃいけないよね。それでそろそろ洋楽も聴いてみたいなと考えるようになった。「何聴くの?」って聞かれて、洋楽の名前出したらカッコ良いとか、その程度の浅はかな考えである。それで洋楽好きの友だちに、邦楽だとこんな感じのが好きなんだけど、オススメの洋楽なんかないかなって感じで聞いてみた。あまり記憶に残っていないのだけれど、確か「レッド・ツェッペリン」とか「エアロスミス」とか、そのあたりの名前があがったんじゃないかと思う。それで少しだけ聴いてみたんだけどいまいちピンとこない。
今考えると洋楽を楽しむにはある程度我慢が必要になるのだよね。聴く訓練みたいな。特にツェッペリンさんなんか今だに難しく感じるし。「なんか洋楽って難しい」ってことで、私の洋楽開発計画は諦め寸前だった。そんな時にどこからか「エルビス・コステロ」の声が「Mr.Children」の声にそっくりだという情報を入手する。どこからの情報だったのかはさっぱり覚えていないのだけれど、その情報を入手したとき、そういえば自分は音楽を聴く上で、ボーカルの声質ってかなり重視して聴いているなと思いついた。これは試す価値ありと速攻でCD屋に走り、そして購入したアルバムが緑がかったケースに入ったベスト盤「The Very Best Of Elvis Costello & The Attractions 1977-86」である。
そしてこれが大当たり。1曲目の「アリスン」こそ普通のバラード曲って感じがして「あ〜、やっぱりダメかな」なんて思ったんだけれど、2曲目の「ウォッチング・ザ・ディテクティブズ」から12曲目の「クラブランド」まで自分の好みにバチッとハマった。ピンときたってやつだ。曲に勢いがあってとてもポップ、そしてメロディーが聴いていてクセになるんだよね。それからやっぱりミスチルさんのボーカルに声が似ているというのも確かにそうで、それも非常に大きかった。そこまでミスチルさんのファンというわけではなかったけれど、声に馴染みがあるというのはスゴく大きい。特に「ウォッチング・ザ・ディテクティブズ」なんかはかなりのシンクロ率で、ミスチルさんがカバーしているんじゃないかと思わせるほど。ある友人にも聴かせたことがあるのだけれど、かなりの衝撃を受けていたのを覚えている。そんなわけで、1曲目から12曲目までを何度も何度も聴くようになった。
前半戦はほぼ完璧な曲たちが並んでいるけれど、当時はその中でも「チェルシー」「パンプ・イット・アップ」が特に好みだったこともあり、この2曲が収録されている「ディス・イヤーズ・モデル」というアルバムも少し後に聴いてみた。このアルバムもそのジャケット含めてとてもカッコ良いアルバムである。ベスト盤はちょっと抵抗があるという方にはこちらのアルバムもオススメだ。
ちなみにこのベスト・アルバムは全部で22曲収録されている。じゃあ13曲目から22曲目まではどうだったのかという話になるけれど、当時は正直全然好きになれなかった。アルバムが進むに連れてどんどん落ち着いてきてしまい、退屈に感じてしまったのだ。私は英語がからっきしダメなので、英語で歌われるバラード曲はどうしても楽しみ難い。それでもこのアルバムは好きな1曲目から12曲目と(1曲目は微妙とはいえ)、退屈な13曲目から22曲目とできっちりと分割されているので、好きな部分を聴きやすかったのがありがたかった。いちいち曲飛ばしとかする必要ないもんね。ここまではっきりと分かれているのもなかなか珍しい。
さて、私がレコードを収集するようになって、約20年ぶりにこのアルバムに、レコードという形で再会することになる。懐かしかった。そして懐かしかった勢いで迷わず購入した。帰宅して早速聴いてみたのだけれど、20年前と変わらずステキなアルバムである。そして20年前はあまりピンとこなかった、13曲目から22曲目の曲たちも、「結構悪くないじゃん」と感じるようにもなっていた。こう見えて私の音楽スキルも少しばかり成長してるのかもしれない。というわけで私が洋楽を聴くきっかけになったアルバムのご紹介でした。
余談になるけれどこのアルバム、作られた経緯とかよく分からんのだが結構雑に、やっつけで作られたんじゃないかと思ってる。その理由はライナーノーツにやっつけ感があるから。スゴい手抜きを感じる文章なのだ。まあそれとアルバムの良し悪しは無関係である。更に余談になるけれど、コステロさんは結構な数のベスト盤を出している。そして「The Very Best Of Elvis Costello」と「& THE Attractions」の表記がないベスト盤がある。私が聴いたのは「& THE Attractions」ありのものになります。もう一発更なる余談になるけれど、「ジョジョの奇妙な冒険」のコステロさんは、第6部で「エルメェス・コステロ」としての登場だ。主人公の相棒として結構登場回数の多い主要キャラクターである。JOJOでは女性キャラクターだったけれど、実物はオシャレなおっさんである。
洋楽の
入りにこの人
推すってよ(コステロ)
季語はコステロ。
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