【第144回】キング・クリムゾンの衝撃
理解しているかどうかは別にして、私は比較的どんなジャンルの音楽も、抵抗無く聴いていると思うのだけれど、その名前を聞いただけで身構えてしまうジャンルがある。それは「プログレッシブ・ロック」、略して「プログレ」だ。「プロ・グー・レッシブ」、その1文字1文字に私を寄せ付けない圧を感じる。「レッシブ」の部分で唾が飛んできそうだ(プログレ・ファンの皆様ごめんなさい)。
私がプログレにここまでネガティブな印象を持つようになったのは、20年程前に「クリムゾン・キングの宮殿」を聴いてからである。というのは分かっているのだけれど、じゃあそのアルバムの何が苦手だったのかっていうのは全然覚えていない。アルバムの印象が皆無である。そりゃそうだ、だって一回り聴いただけで「こりゃダメだ」ってなって聴くのを止めちゃったんだもの。確かなのは「クリムゾン・キングの宮殿」をひと回り聴いて、そのひと回りでプログレに対して苦手意識を持ったということだ。それ以来プログレという名のつくものは徹底的に避けてきた。聴かず嫌いと言われてもしょうがない、もはやトラウマレベルの避け具合だ。そんな「キング・クリムゾンの衝撃」からもう20年も経った。流石にそろそろそんなトラウマとしっかり向き合う時期がきているのではないか。プログレから逃げ続ける毎日にケリをつけようじゃないか。というわけで今回はリベンジ企画、「クリムゾン・キングの宮殿」を聴きなおしてみた。
0.ジャケット
インパクト抜群のイラストで、只者ではない雰囲気がプンプン漂う。良い意味で不気味、このジャケットのためだけに、レコードを購入しても良いと思える。でも部屋に飾ろうとは全く思えない。毎晩悪夢にうなされそうだもの。「クリムゾン・キングの宮殿 画像」で検索すると、このジャケットの顔がたくさん出てきてホラーだ。
1.21世紀のスキッツォイド・マン
かなりカッコ良い。重厚なイントロもカッコ良いし、吐き捨てるかのように「Twenty First Century Schizoid man」と叫ぶボーカルもステキ。しかしこの曲の聴きどころは、テンポがあがる間奏部分だ。鬼気迫る迫力があって、疾走感がたまらない。ギターや吹奏系の楽器(何の楽器かはよくわからない)がかなりカッコ良いフレーズである。それからそのカッコ良い間奏の途中では、急にゴキブリが動き出すかのような演奏部分があって、これがまたなかなか面白い(良い意味でです)。何を言っているのか分からないと思うけれど、聴いてみたら「あー、ここねっ」てなると思う。結構長い曲だけれど全く苦にならない。にしても、こんなにカッコ良い曲なのに全く記憶に残ってないとは。ちなみに以前に私が聴いていたときの邦題は「21世紀の精神異常者」であった。倫理関係の問題なのだろう、改題されちゃった。個人的には「精神異常者」のほうがインパクトがあって好き。
2.風に語りて
1曲目から一転してのどかな雰囲気。主役はフルートなのかピッコロなのかオーボエなのか何なのか、とにかく笛系の楽器がのどかな雰囲気を演出している。クラシックっぽいと言われればそんな感じもする。退屈といえば退屈だけれど、まあギリギリ聴けなくはないかな。でも少し長い。終わった、と思ったらまた演奏が始まったりする。
3.エピタフ(墓碑銘)
2曲目がフェイドアウトしつつ始まる3曲目。曲名がなんだか不穏だが、曲の雰囲気もどんよりとしていて暗め。2曲目とはまた違った退屈さがある。そしてこれまた長い。
4.ムーンチャイルド
3曲目同様どんよりと暗い曲が続く。「坂本冬美」さんの「また君に恋してる」にメロディーが似ている出だし。そしてそれが過ぎるとその後、演奏とは言えないような時間が延々と続く。皆が様子を見ながら、試し弾きでもしているかのような、「これ何の時間?」と問いたくなるパートだ。これが9分くらい続いて、そのまま何事もなく曲は終了する。正直私には全く理解できなくて、これを音楽と呼んで良いのだろうかとまで思ってしまった。退屈どころか音楽を聴いていることを忘れてしまうレベルである。これってライブのときどうしてんだろ。完コピで演奏してたらマジすげぇな。演奏終わったかと思って途中で拍手しちゃいそうだよ。う〜ん、前衛的ってこういう事なのか。
5.クリムゾン・キングの宮殿
音楽を聴いていることを忘れたころに、壮大な演奏が急に始まって、ちょっとビックリする締めの5曲目、アルバム・タイトル曲である。この曲もやっぱりどんよりと暗く、そして長くて退屈な曲だ。終わったかと思ったらまた始まったりして、最後の最後まで油断のならないアルバムである。
というわけで、「キング・クリムゾンの衝撃」から20年以上経った今でも、あいも変わらず難解で聴いていて退屈さを感じてしまうアルバムでした。1曲1曲が長いし、なんだかよくわからない時間があるしで私には楽しむには難しそう。ただ断っておくと、このアルバムは名盤としての地位を確立しているので、この感想はひとえに、私の音楽スキルの不徳と致すところであり、このアルバムに一切の責任はございませんのであしからず。でもリベンジこそならなかったけれど、1曲目「21世紀のスキッツォイド・マン」は純粋にカッコ良いと思えたので、ほかの有名なプログレ・バンド、「イエス」や「ピンク・フロイド」あたりにも後々挑戦してみようかなとは思えた次第。いずれ私にもプログレの良さがわかる日が訪れると良いけれども、私には難しいかもしれん(これでも1ヶ月ほど聴き続けてはみたのですよ)。
何回も
聴いても無理だぞん(キング・クリムゾン)
難解だ
季語はキング・クリムゾン。
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