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【第107回】マディ・ウォーターズ/ザ・リアル・フォーク・ブルース

前回、前々回と「ザ・リアル・フォーク・ブルース」について書いてきたけれど、今回は「マディ・ウォーターズ」の「ザ・リアル・フォーク・ブルース」について書きたいと思う。まさかの3週連続「ザ・リアル・フォーク・ブルース」だ。マディさんについてはちょっと前に「トラブル・ノー・モア」(第91回参照)の感想文を書いてるので、今回はあまり書くつもりがなかったのだけれども、マディさんの「ザ・リアル・フォーク・ブルース」がとても良かったのでスマホを執った次第だ。
全然関係ない話になるけれど、物を書く人って最近はパソコンとかスマホを使用する人がほとんどだと思う。そう考えると「筆を執る」という表現はなんか違和感を感じるよね。近い将来「筆を執る」という言葉は廃れていったりするのかな。もしかしたら「なんで「筆」って字を使うの?」なんていう若者が出てくるかもしれない。別にそれが寂しいとか言いたいのではなく、ただそんな時代がきたら面白いですねと、なんとなく思っただけです。というわけであっているかは分からないけれども、この感想文をスマホで書いている私は、「スマホを執る」という表現にしてみた。
さて、話を元に戻すと、このLPは1947年〜1964年の間に録音された作品の選曲集である。結構録音時期に幅があるので、若干録音の質に差があって、特に1964年に録音された2曲はとてもクリアだ。とはいえ、私はそれほど気持ち悪く感じるほどの違和感はなかったかな。
収録されている内容としては、どっしりとしたバンド・ブルースが多く収録されていて、よりロック色が強かった「トラブル・ノー・モア」よりは、「ベスト・オブ・マディ・ウォーターズ」(第4回参照)に近い内容となっている。男臭いマディさんのボーカルや、これ聴くとシカゴ・ブルースっぽいよねなハープが良い感じだ。更にはマディさん好きなら1度は聴いておきたいデビュー曲「ジプシー・ウーマン」が収録されているのもありがたい。
個人的に1番のお気に入りは「ローリン・アンド・タンブリン」。この曲は「ベスト・オブ〜」に収録されていた「アイ・キャント・ビー・サティスファイド」みたいな、弾き語りに近い曲なのだけれど、軽快なリズムとボトル・ネック・ギターの印象的なフレーズが聴いていて気持ちの良い曲だ。ちなみにこのLPではこの曲以外にも弾き語りに近い、カントリー色の強いブルースがたくさん収録されていて、素朴でありながらも力強いマディさんを楽しめた。
それからこのLPを聴いて思い出したことがあって、マディさんのブルースってなんか説得力があるということ。何を説得されているのかと聞かれると困ってしまうのだが、何というか、これがブルースなのだ突きつけられている感じ。「トラブル・ノー・モア」を聴いていたときはすっかり忘れていたので、これはどっしりとした構えたマディさんのブルースで強く感じることなのかもしれない。前回「トラブル・ノー・モア」もカッコよいけれど、それでも「ベスト・オブ〜」は聴いてほしいなと感じたのはそのせいかもしれないなと、妙に納得してしまいました。

これこそが
ブルースなのだと
マジ言った(マディ・ウォーターズ)

季語はブルース。

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