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【第127回】スピッツ/オーロラになれなかった人のために

今回はスピッツさんの「オーロラになれなかった人のために」について書きたいと思う。書きたいと思うと言ってもこのアルバム、ミニアルバムなので5曲しか収録されていない。なのでそんなに話膨らまないので、今回は私の思い出のミニアルバムの話も交えて書いていこうと思う。まあ、毎回雑談のほうが長くなったりしてるけれどね。
ミニアルバムって言うと、まず思い浮かぶのは「B'z/MARS」だ。私の中でミニアルバムというよりはマキシシングルというイメージが強い。目玉は「孤独のRunaway」。この曲、今聴くとちょっと古臭い感じは否めないけれどやっぱりカッコよい。1曲目に配置されてるし正にシングル曲という感じだ。ちなみに他の曲の記憶はほぼない。
それから「ズボンズ/SUPER FUNCY of ズボンズ」。こちらはズボンズさんのデビューアルバムでもあって、何より1曲目の「Highway A Go Go」のテンションの高さに圧倒される。あまり覚えてないけれど、他にも味のある曲が多く収録されていた気がする。この人たちは歌詞に「マディ・ウォーターズ」が出てきたりして、ルーツにBLUESを感じさせるカッコよいバンドだ。
「ミッシェル・ガン・エレファント/wonder style」も忘れられないミニアルバムだ。インストの「ワンダー・スタイル」からのふてぶてしい「マシュマロ・モンスター」、疾走感抜群の「why do you want to shake ?」、そこフューチャーする?って感じの「バランス」
「チャック・ベリー」のカバーでもミッシェルさんらしい泥臭い「talkin'bout you」と、
ミッシェルさんの魅力がギッシリ詰まっている。ジャケットも渋いし非の打ち所のない尖ったロック・アルバムだ。
最後に紹介したいミニアルバムは「WANDS/WANDS」だ。正直どんなアルバムで、どんな曲が収録されていたのかほとんど記憶にないけれど、僕たち私たちのWANDSさんなので紹介せずにはいられなかった。確かデビューアルバムだったはず。そしてこの人誰ですか?なキーボーディストがいた記憶。黒い下地に赤文字で「WANDS」の背表紙が印象的なアルバムだ。
以上が私の思い出のミニアルバムたちだけれど、ここからが本題スピッツさんの「オーロラになれなかった人たち」の話だ。ちゃんと覚えていましたよ、スピッツさんのこと。このアルバムは2枚目のアルバム「名前をつけてやる」の後に発売されたもの。なぜゆえこのタイミングでミニアルバムを?という謎を感じさせる。そして全体的にとても静かな曲が多いのだけれど、いろいろな楽器が使われていて、ミュージカルのようなアルバムだなという印象。
1曲目の「魔法」なんかはまさにミュージカルの序章といった壮大な雰囲気の曲だ。途中で曲調が変わるとこなんか、場面転換してるみたい。ただ個人的にはあまり印象に残らない地味な感じだ。そして2曲目の「田舎の生活」もかなり物静かで地味な曲。ストリングスの音とかも聴こえたりするんだけれど、終始浮き沈みのない平坦な曲だ。そして3曲目の「ナイフ」でもその地味な印象はあまり変わらない。ただこの曲は間奏で聴けるストリングスがとても美しい音色だなと感じる。まあ、そこってもはやスピッツさんじゃないじゃんって気もしちゃうけれど。それにしてもこの曲の「ハンティングナイフのごついやつをあげる」って歌詞がやけに不穏だ。そういう風に聴くとこの曲、歌詞全体がいろいろ不穏に聴こえてくる。さらに突っ込むとこのアルバム全体、そしてアルバムタイトルさえも不穏に感じる、ような気がする。まあ、そこまでは考え過ぎかな。
さて、そして4曲目が「海ねこ」だ。こちらは今までとは打って変わってとても明るい曲。ここまではぶっちゃけ、スピッツさんを聴いている感じがしなかったけれど、4曲目にしてやっとスピッツさんだなと実感することができる。カッコよいベースの入りから、ストリングスを中心に一気に明るく盛り上がるイントロは、聴くたびにワクワクする。間奏の後の半音上がるメロディーも気持ち良い。このアルバムの中では間違いなく1番のお気に入りだ。そして最後は「涙」。この曲はクラシック・ミュージックをバックに、草野さんが歌っているような感じだ。間奏部分なんかはなかなかの荘厳さだ。とはいえ、やはりこの曲もあまり印象には残っていなくて地味だなという感じ。そしてこの格式高い雰囲気でこのアルバムの幕が閉じる。
というわけでこのアルバムで感じたのは、「惑星のかけら」(第125回参照)と並んでかなり地味な印象のアルバムで、それと後あまりスピッツさんを聴いている感じがしないということ。ストリングスが目立っていて、バンドという感じがしないのだよね。きっと実験的な意味合いが強くて、それでミニアルバムという形にしたのかなと想像した。このアルバムが好きかと聞かれたら、これがフルアルバムの長さだったら正直キツイなと。ミニアルバムという手軽さと、「海ねこ」の存在が無かったら聴こうとはならない気がするなぁ。「海ねこ」はストリングスは目立つけれど、リズム隊に存在感あるからバンドって感じがするのよね。曲も可愛くて明るくてスピッツさんらしいし。というわけで、普段とは違うスピッツさんだけど、「海ねこ」聴けるしお手軽でもあるので、ご一聴してみても面白いアルバムかと。

スピッツさん
海ねこ聴いて
バッチオーライ(オーロラ)

季語はスピッツ。


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