OWCモノローグ)便所の落書きとしてのモノローグ作品 by 花緒

暇つぶしに魚でも釣ろうかなーって、魚釣りに出掛けたんすよ。
で、ぼけーとアホ面して釣り糸垂らしてウトウトーってしてたら、釣竿を落としちゃったんすわ。
いや、アホかとボケかと。
いや、これでは釣りができんやないかいと思ってたら、金色に輝く女神様がムクムクーって現れて
あなたの落とした釣竿は金の釣竿ですか、銀の釣竿ですか、って尋ねてくるから、
いや普通の釣竿ですやでって答えたら
あなたはたいへん正直者です、正直者のあなたには言いたいことが何でも書ける魔法のノートをあげましょうって、
女神様からノートを渡されたんですよ。
結局、釣竿は返してもらえなかったんで、釣りはできなかったんすけど、不思議なこともあるもんやなーと思って。
 
 
翌朝、せっかくやから、言いたいことが何でも正直に書ける魔法のノートに、言いたいことでも書いてみたろかと思って
そんなことより釣竿返せや女神さんよ、あんたのせいで釣り出来んかったやないかクソババアって書いてみたんです。
 
そしたら、<そんなことより釣竿返せや女神さんよ、あんたのせいで釣り出来んかったやないかクソババア>って書かれた、巨大な文字オブジェがいきなり出現したんですよ。
これどういうことやと思って、この巨大な文字オブジェは何やねんって、ってノートに書いてみたら、一本向こうの通りに<この巨大な文字オブジェは何やねん>って書かれた文字オブジェが現れたんです。
いや、そういうことかい、と。要するに、言いたいことをノートに書いたら、巨大な文字オブジェが街に現れる仕組みなんですわなってわかったんですよ。
 
それなら、ガンガン書いたれとおもって。
いま俺、徳名市っていう街で暮らしてるんですけど、
徳名市の市長は政治そっちのけでセクキャバ通いらしいよって、書いてみたんです。
徳名市長のことはよく知らないんすけどね、ただ、この街のみんながニコニコ笑えるようにーとか嘘丸出しな演説聞いたことがあって、なんか嫌いやったんですよ。
 
そしたら、徳名市役所の前に巨大な文字オブジェが出現して、こらおもろいなと。
それ以来、言いたいこと書くのが辞められなくなったんですよ。
 
徳名市長みたいな嘘つきに文字オブジェ卑劣とか言われた無いわハゲ、
今度、市役所に文字オブジェ放り込んだろかって書いてみたんですよ。
 
 
何やねん、俺の言うことにマジで反応して、
市役所の警備厳重にするとか低脳すぎるだろ、クソカス、って書いてみたんですよ。
 
 
徳名市長が辞任して本当に笑った、次の市長にB級アイドルのラブたんを採用しようぜ、そうしないなら文字オブジェでこの街潰す、って書いてみたんですよ。
 
 
はああ、らぶたん引退宣言ってなんだよ、迷惑かけないように辞めるって意味わかんねえ、俺はらぶたんを愛してる、ラブたんが復帰するまで文字オブジェ作りつづけるわ、あとうんこいきたい、デリヘル呼んでほしいって書いてみたんですよ。
 
文字オブジェのせいで街潰れてきてるな。世界が壊れて、俺とらぶたん以外、全員死んでほしい、世界には俺とラブたんだけでいい、俺には愛がある、俺はらぶたんを愛してるって書いてみたんですよ。
 
 
 
気づいたら巨大な文字オブジェだらけで街は崩壊!
俺の住んでるアパートは倒壊!
やばいラブたんのことばっか書きすぎたわ、と書いたらそのオブジェに押し潰されて俺は死んだんです。
ごめん言いたいことなんて正直に書くべきじゃなかった、俺の正直さは徳名市場の嘘より嘘にまみれてたわってノートに書きたかったんすけど、
残念ながら俺は既に死んでいて、言いたいことをノートに書くことは出来なかったんです…

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