イベント『Career Design in Local 東紀州で描くキャリアデザイン』
先日、県立熊野古道センターにて、『Career Design in Local 東紀州で描くキャリアデザイン』というパネルディスカッション形式の講演会が行われ、私も参加しました。
(いきなりツッコミみたいな感じなりますが、タイトルは『Local Career Design in 東紀州』でもよかったのではないかと思いました)
フライヤーの裏面の冒頭に、
『三重県紀北地域活性化局 × 度会県 コラボ企画』
とあります。
度会県のHPはコチラ → https://wataraiken.com/
(先日行われた『東紀州ごちゃまぜ交流会』も同じく度会県が関わっています)
先にこのイベントに登壇した方々を紹介します。
・伊東将志さん(夢古道おわせ支配人)......スピーカー
・山本慧史さん(三重大学東紀州サテライト研究員).....コーディネーター
・日向風花さん(神奈川県出身、慶応義塾大学在学。夢古道おわせインターン生)...パネリスト
・芝山岳さん(尾鷲市出身、筑波大学在学。夢古道おわせインターン生)....パネリスト
・竹端彬良さん(三重大学大学院在学。尾鷲市「海育」企画者)...パネリスト
・植村綾太さん(尾鷲市出身。保険会社勤務)....パネリスト
・郷橋正成さん(京都府出身。元地域おこし協力隊。)....パネリスト
最初に登壇した伊東さん。
いろいろな取り組みされていて、その視野の広さと先見の明には驚くばかりで(←改めて、という意味で)、感想としては色々と書きたいこともあるのですが、一番印象的だったのは、『大企業の3年以内の離職率4割』という数字をどう捉えるか、という話でした。
『大企業に入るために大学に行く』というのがこれまでのルートで、そのルートは今も健在だとは思うのだけど、その一方で4割の人が離職してしまう。
と、いうことは『高校』→『大学』→『大企業に就職』という構造自体がもう時代と合っていないということで、『教育』や『大学カリキュラム』という過程と実内容がもっと変わって行かなければならないのではないか、ということでした。
.......なんてことは20年くらい前から言われてた気もしますが、いよいよ、ってところまで来た感じはあります。
”いよいよ”の後押しをしたのは、コロナウイルスかもしれません。
パネリストの一人、日向さん。
慶應義塾大学に籍を置きながらも、尾鷲の夢古道でインターンとして働きながら、遠隔で授業に参加しています。
コロナウイルスの影響によって通学できなくなり、自宅からの遠隔授業を受け続ける日々に疑問と不安を抱き、インターンとして働きながら、遠隔で授業を受けることを決めた日向さんが、日々実践していること自体が『これからの新しい学びとキャリアデザインの生ける事例』のようにも思います。
伊東さんの『学生インターン受け入れ』『地域おこし協力隊の中間支援』『旅と仕事』の話と、日向さんや他の地域起こし協力隊のこれまで話して来たことを照らし合わせてみると、そこに『地方での働きかた』(ローカルキャリアデザイン)が、ちゃんと実践されているようにも思えるし、そこをちゃんと見ている人は見ているんだな、という、世間的・社会的な注目度の高さもわかってきました。
(実際に多くの人が夢古道のインターンの受け入れの動向に注目しているようですし、この講演会のweb視聴の多さがそれを物語っているように思います)
パネリスト5人(日向さん、芝山さん、竹端さん、植村さん、郷橋さん)の話していることを総合的に考えてみても、
『都会じゃなくてもいい。地方でもどこでもいい』
という共通認識があり、それは、さらにいうと(逆にいうと)『ゆえに尾鷲じゃなくてもいい』にもなります。
『どこでもいいけど、たまたま尾鷲だった』
それでいいと思うのだけど、その『たまたま』の主な要因はやはり伊東さんをはじめとするこの地方の『人の縁』や取り組みがあったからだと思います。
『その地から離れがたき理由を作る』
ことが、その地に愛着を持ってもらうことだと思うし、それは環境でもあるし、人でもある。
日向さんの『たまたま尾鷲で、尾鷲がどこにあるのかも知らなかったけど、今は当事者意識しかない』という言葉が最も印象的でした。
尾鷲に住んでいる人で、尾鷲で起こっている出来事に対して当事者意識をどれだけ高く持って生活しているか......そう思うと、そう思ってもらえるだけでも(尾鷲在住者として)ありがたく思います。
日向さんと伊東さんの話ばかり続いて申し訳ないですが、、、、経済学を講義室で受け続けたら一流の経営者になれるかはまた別の話であるのと同じで、結局、大学で行われる『地方創生』や『地方活性化』をテーマにした講義を講義室で受け続けていても地方は活性化しないし地方創生もない。
『地方創生とはただの言葉』『地方創生はみんなやってる』『地方創生という言葉を使わず具体的に何をやりたいのか(できるのか)を模索する』←日向さんの言葉。
『実際にフィールドを持ちながら大学に通う』という日向さんの姿勢がこれからのあるべきキャリアデザインなのではないかと思いますし、地方はそういう大学生をちゃんと受け入れるか、その『フィールド』を提供するかという、両方の取り組みが必要だと思います。
大学もフィールドも、お互いがフィードバック、ギブアンドテイクできる関係性が、ローカルキャリアデザインなのではないかと思いました。
あと、個人的には京都出身の郷橋さん。
これまでも郷橋さんとは色々と話をさせてもらってたので、前々からそれはわかってたことなのだけど、郷橋さんの言葉に説得力があるのは、その言葉は研究や考察からの言葉ではなく、実際の経験と実績によって導き出された、削ぎ落とされた言葉だったからだと思います。
言わずもがな、登壇したパネリストさんは、全員、自らの言葉で、自らの意見を主張されていて、素晴らしかったと思います。
私が学生の頃や20代の頃はあそこまではっきりとした、しっかりとした意見は持ち合わせてはいなかったので、関心しきりでした。
会場での質疑応答も、なんか、本質をついた質問と、質問のレベルの高さにちょっとびっくりしました。
とっても有意義な時間だったと思いますが、あの講演会を聞いたそれぞれが得た結論やこれからの展望をもっと、個々が固めていいかないと、『いい時間が過ごせました』で終わっては何の意味もないと思います。
私は私で、何かしら、彼らとの交流を通して、自分の仕事や生き方にフィードバックしていけたら思います。
あくまで自分のために、ですが。
(私も、私がやっていることは常に『町おこしや地域活性のためではない』と主張しております。そう見られがちですが。それは講演会で語られた『地方創生なんてものはない』という言葉と一致するものでもあります。)
先日の『東紀州ごちゃまぜ交流会』もそうですが、一過性のイベントにしてしまうと意味がありません。
できるだけ継続性のあるもにし、実効性、有意性の高いものにしていかなければなりません。
『東紀州ごちゃまぜ交流会』も『Career Design in Local』も、三重県主導の企画でしたが、これをいかに民間が引き継ぎ、継続していくかが課題です。
さて、話は変わりますが、先日、尾鷲市九鬼町の書店『トンガ坂文庫』さん(https://note.com/owasethings/n/ncf3ac26341b6)が、京都の『UP LINK』にポップアップ(出張出店)されていました。
尾鷲にゆかりのある方も多く訪れていたようで、京都在住や京都に近い私の友達も何人か行ってくれたそうです。
『トンガ坂文庫』の店主さんが、私の友人含め、ポップアップに来てくれた尾鷲に縁のある方々と話したところ、皆、「尾鷲のために何かしたい」という想いを持ってくれているようでした。
結局、全国にいる『尾鷲に縁のある人』が、尾鷲のために何かしたい、と思っていた時に、こちら側(尾鷲)が彼らの思いを受け止めてあげることができたり、そのきっかけをこちら側が提供できるかどうか、なのではないかと思いました。
何かしたい、という想いがある人が、尾鷲に関わることのできる『きっかけ』や『余白』のようなものが必要なのだと思います。
そしてそれを聞いて、やはり尾鷲に関わりたいと思ってくれている人に、情報を正しく届けることも重要だと思いました。
このnoteが例え1人でも2人でも、『尾鷲のために何か関わりたい』、と思う人の情報源になっているとすれば、それだけでやるこのnoteを価値があるのだと思います。
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