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CAS冷凍?

従来の食品冷凍技術では、表面から中に向かって氷結が進む。水分子が外側の氷に毛細管現象で吸い上げられるため内部は乾燥する。冷凍に時間がかかると、氷の結晶が大きく成長して細胞膜は破壊される。解凍すると、壊れた細胞膜から水分がうまみ成分と一緒に流失。食品はぱさぱさになる。食品をおいしく凍らせるためには、氷の結晶が成長しないように短時間で全体を均一に凍らせる必要があるため、過冷却という現象が利用されている。氷のかけらや不純物がない状態で水の温度を下げると、0度以下になっても液体のままの過冷却水ができる。過冷却水は、衝撃を与えると水分子どうしがくっついて一気に凍る。

CAS(Cells Alive System)冷凍は、食品中の水分を過冷却の状態にして一気に凍らせる。冷凍装置内に磁場を作り水分子を細かく振動させ、低温の水分子どうしが衝突して起こる氷の核の形成を防ぎながら冷やす。十分に温度が下がったところで衝撃を与えて一気に全体を凍らせる。氷の粒が微小なため細胞膜を傷つけることはなく、解凍してもドリップが出ず水分は失われない。CAS冷凍では細胞が壊れないため、移植用細胞や臓器の長期保存にも応用できる技術として注目されている。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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